表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/159

115.【コピー】と転移の隠れた仕様?

「気合い入れ直しといてなんやけど集合時間まで結構あるな」

「だな。とりあえず暇つぶしに収穫とかしたらどうだ?」

「せやな」


冒険するぞと気合を入れ直した俺だったが、実は待ち合わせ時間まで5時間はある。そこでお悩み相談中に回復したSTとMPを消費する為、収穫と充電を行う。もっとも1時間分の回復ではそれぞれを消費するのに5分と掛からず終わってしまった。


「よし!これでSTもMPも空っぽや」

「お疲れ様。それより頼みたい事があるんだが、今大丈夫か?」


「冒険まで暇やからいけるけど、なんかやる事あるん?」

「実はアマネから頼まれてたんだが、新聞を100部追加してくれないか?リアルで深夜とはいえ、売れ行きが全く落ちないみたいなんだ」


「新聞用のポーションはたっぷり貰ってるしええで。ただ原本書いてから2時間以上経ってるけど、【コピー】出来るんかね?」

「どうだろう?もし無理ならもう一度手書きで原本書いてもらう必要出てくるが・・・」

「書き直しか〜。面倒いし、まず【コピー】出来るかダメ元でやるかね」


そう呟きつつ物は試しとポーションでMPを回復させた上で紙束を取り出し【5枚刷り】を発動させる。すると、

「うわ!時間経ってもいけるんか!?」

「そ、そうみたいだな」

驚く事にあっさり成功してしまった。

朝に作成してから上書きしていないとはいえ、数時間経過しても変わらずコピー出来た事実にユサタクと共に驚く。

とはいえ目的には好都合なのは確かだし、一旦は驚きを脇に置き【5枚刷り】を放ち続けた結果、ポーションの空瓶数本と新聞の山を作り終える事が出来た。


「はい、ちょっと多めに作ったで」

「お疲れ様、じゃあアマネのとこにひとっ飛びしてくるよ」

「ありがとさん。ついでに今日分の追加は無いからそれも伝えといて」

「ああ、伝えておくよ」

そう言い残すと、ユサタクは転移の輝きに包まれ、目の前から姿を消した。


「さて、これから何しよ?アーツ無しで収穫って気分でもないしな〜」

STとMPを使い切った俺は次の行動を決めかねていた。というのも、午前中から張り切りすぎ&午後からの冒険を控えているので、手作業での収穫は正直面倒になっていたのだ。

俺は少し寝転がり考えていると、

「じゃあ、まったりしたらいいんですよ」

と、モチョが上から覗き込みながら話しかけてきた。


「い、いきなりやな。でも、まったりか。ええな」

ゲームのアバターとはいえ可愛い女の子に上から覗き込まれたのに少し照れながらも、まったりするという響きに惹かれる。


「ソーイチさんってプロゲーマーでもないのに私達以上に一心不乱に前進し続けてたじゃないですか。ここらでゆったりまったり休みましょう!」

「そうか。そうやな」

たった1日だけとはいえ、一心不乱に走り続けたのだ。ここらでまったりしてもバチは当たるまい。


「じゃあ、ここで寝そべりながら読書とかするかね」

「良いですね!でもゲームとはいえ汚れちゃうかもですし、あの椅子持ってきましょうよ!」


「椅子ってこの前ゲットした【木漏れ日の安楽椅子】のこと?あれデカいから持ってくるの無理やろ?」


全身ゆったり出来るだけの椅子というのもあり、安楽椅子は結構大きい。なので持ち運びは無理と諦めようとするも、モチョから待ったがかかる。


「持ってくるだけなら転移でびゅーんとすぐですよ」

「転移って物にも干渉するん?」


「ええ、飛ぶ際に手に触れているものは一緒に飛べますよ。というか干渉しないと転移のたびに服が置いてけぼりになって、素っ裸になるじゃ無いですか」

「ああ、確かに」


言われてみれば当たり前ではあるが、てっきりゲーム的なお約束だと思い込んでいた。


「というわけで、ホームに飛びますよ!」

そう言ってモチョは俺の手を握る。

女性経験の少ない俺は一瞬ドキっとしてしまったが、そんな感情を置き去りにして、次の瞬間には自分達のホームへと転移していた。


「パ、パーティ組んでなくても一緒に転移出来るんやな」

俺は内心の童貞魂を隠しながら、それっぽいことを言うと、

「確かにそうですね。無意識でやってました!」

と、モチョはテヘペロっと舌を出しつつウインクする。


「いや、知らんかったんかい!」

「いや〜、いちいちパーティ組んで転移とか面倒じゃないですか〜。だから面倒くさがる私の内なる心がこの行動をさせたんですよ!」


「ちょっと文学っぽい言い回しやけど、やってるのアホ丸出しやからな」

「バレましたか」

少しキツめにツッコミを入れてもめげずに、愛嬌を振りまくモチョ。


「それにしても、パーティ無しでの転移って、めっちゃ応用効きそうちゃう?例えばレイドレベルでの移動とかで」

「ああ、パーティ全員が1人ずつ運べたら、倍の人数運べるわけですからね〜」


「というか、触れながら一緒に飛ぶのが1人までとも決まってないしな。何人まで行けるんやろな〜」

「調べるの面倒ですし、後で【オモイカネ】に投げときましょうよ」


「まあ餅は餅屋って言うし、それが一番か」

「じゃあ難しい話はここまでって事で、椅子持って戻りますよ」

「オッケー」

こうして俺たちは【木漏れ日の安楽椅子】と共に、みんながいる管理農地へ転移したのだった。




次回は2月22日(土)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
転移組体操?
転移する人に触れている人に触れている人がどうなるかも気になります! あと転移する瞬間に(無断で)触れた場合とかはプライバシーの問題がありそうだし、制限されてそうですね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ