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112.プチ説教とお悩み相談

「レンタル農具の返却及び講習終了を確認しました」

ペーターからの相談を受ける前に、まずは農具の返却と講習終了の報告の為、農業ギルドに向かって事務作業を進め、その後は少しだけ受付のアレンとのお喋りを楽しんだ。


「それにしても1週間弱で初級農業スキルをコンプリートするなんて、やっぱり渡り人様の成長速度は別次元ですね」

「そやな〜。これが何週間と続いてたら心折れてたわ」


「ははは。でもソーイチさんが努力したから、この速さだとも思いますよ」

「そ、そう?ただ頑張ったって自覚はあるけど、講習に関してはペーターの助けもデカかったと思うわ」


アレンから頑張りを褒められ照れるが、その努力する量を大幅に減らしてくれたのはペーターのおかげだったので、その点は話しておく。


「ペーターさんといえば、付与魔術ですね」

「うん。まだランク的に講習受けれるの俺だけやろ?その分みっちりとサポートしてくれたわ」


「へぇ〜。じゃあソーイチさんはナイスタイミングだったかもですね」

「うん?どういう事?」


「既にお聞きかもしれないんですが、1週間後を目処に講習の受講可能人数を増やす予定なんです。なので今まで通り付与魔術のサポートを受けるのが難しくなりそうなんですよ」


「なるほど。何枠増えるか知らんけどMP足らんくなるか・・・って、もしかしてペーターの悩みこれか?」

「悩みですか?」


「ああ。講習終わった時にお世話になったお礼を言ったんやけど、付与魔術に触れた時に少し顔色に翳りが見えてな。その時に聞いたら悩みがあるって答えたんよ」

「ああ〜。ペーターさんは意外と真面目だし、受講者の扱いに差が出ちゃうのを内心気にしてるかもですね」


「恩恵バリバリ受けた俺が言うのもなんやけど、そりゃ気になるか」

「ええ。気になると思います」

「よし!じゃあ合ってるかの確認含めて、早速ペーターの相談内容聞いてくるわ」

「以上が俺が思うペーターの悩みやと思うんやが、当たってるか?」

と、寄り道なしで再び管理農地に戻った俺は先程アレンと考えた内容が当たっているか確認する。


「まあ、当たってはいるんだが・・・。その前に一ついいか?」

「なんや?」


「俺の為を思って色々と気を回してくれたのはありがとう。だが、悩み事というナイーブな話を勝手に広めるのはダメだろ!?」

「ああっ!ごめん!?」


ペーターの言う通り人の悩みというのは、その人物の内面の軟らかい部分に関わってくる。

悩みが一切聞き出せない状況ならば、お節介ではあるが周囲に聞き込みするのも手段の一つだろう。

だが既に相談に乗ると約束した状態で、他者に広めるのはデリカシーがないし、頼ってくれた相手の信頼も裏切る結果にもなる。


(こんな初歩的な事に気づかんとか俺は何してんねん!相談を攻略する為にゲーム感覚でやってたとしか思えんわ!?)

普段なら絶対しないであろうミスに、俺は最新AIを使い感情まで再現している住民達を、内心ただのNPCだと考えてたのではないか?反省する。


「ほんまにゴメン!今回はマジで俺のデリカシーというか色々と配慮足りんかったわ!」

「いいよ。ソーイチに悪気はないとわかってるし、それだけ俺の悩みに向き合おうとしてくれてたんだろ?」


「あ、ああ」

「だから俺は大丈夫だ。ただ俺以外に同じミスをしたらソーイチが損するだろ?だからこそ今後は同じような事はしないでくれよ」


「ああ。デリケートな話は無闇に触れ回らんように気をつけるわ」

「よし。じゃあお説教はここまでにしようか。相談を受けて貰う身なのに色々言って悪かったな」

「それこそ気にせんといてや」

そう言葉とともにペーターの少し吊り上がった眉が元に戻り、本番である相談が始まった。



「既にお察しの通り、俺の悩みは講習での付与魔術での支援についてだ。ソーイチはどう思う?」


「そうやな〜。受講者の視点でいえば、付与魔術もらった方が絶対楽やしバンバン掛けて欲しいとは思う。ただMP足らんとかの理由で同じ講習内で差が出るんやったらハナから無しの方がええとも思う」


「やっぱりそうか・・・」

俺の返答は想定内だったようで、ペーターは諦めがちな顔で相槌を打った。


「ところで講習増えるとは聞いたけど、枠はどれくらい増えるん?」

「そうだな・・・。今の予定だと【耕す】【種蒔き】【水撒き】のセットで1日45人、【苗植え】や【剪定】【肥料散布】などの果樹園系は1日5人までって感じだな」


「合わせて50人か。じゃあ、全員に付与魔術かけるとしてMPどれくらいいるん?」

「肉体の負担が大きい【耕す】と【剪定】に絞ったとしても、中級で1500、上級で2400は必要だな」


「マジか・・・。俺のMP200ちょいやで」

「まあ、見習いならそんなもんだろ。ただ上級付与魔術師まで上げた俺でもMPは1000程だし足らんな」


「1000!?それやったら中級はポーション込みでいけるんちゃう?」

「そりゃポーション有りならギリギリいけるが、受講者への付与魔術はあくまで管理業務のついでだ。なのに自腹を切ってまでするのは流石に嫌だぞ」


「そりゃそうか。それならサポート希望者には講習代とは別にオプションで料金上乗せしたらポーション代賄えるんちゃう?」

「オプション?」

俺の案が意外だったのか、ペーターは少し驚いた後考え始めた。



次回は2月1日(土)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
まあ講習料+教材費みたいなものなら出すな ゲームによっては習得時間短縮に課金アイテム使わせに来るケースもあるし
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