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107.5日目〆のクランミーティングと農地の転用

「みんな!ミーティング始めるぞ〜」

ユサタクの呼び掛けにより、雑務をしていたメンバー達が農地の中央に集まってくる。


「ソーイチ、毎度のことで申し訳ないが書記をお願いできるか?」

「オッケー。ジョブを変えるからちょっと待って」

「わかった。じゃあその間みんなは報告内容の最終確認をしておいてくれ」

「「「は〜い」」」


書記役を任された俺はスキルやジョブを農業モードから司書モードへ切り替えた後、紙片手に準備完了を伝える。

その返事にユサタクは【コピー】用のポーションを俺に手渡した後改めて、

「それでは5日目のミーティングを開始する」

と、開会の宣言をした。


「まずは情報の整理、その後明日の予定についてだな。じゃあゼロから順番に報告を頼む」

「分かりました。まずは町中で聞いた噂なのですが・・・」

ゼロの報告を皮切りに、各メンバーが手に入れた情報やクランチャットで話題に上がった出来事のまとめ等が報告されていく。

俺は書記としてそれらを丁寧にまとめながらも、


(使い終わったキノコの原木で【下級肥料】ってアイテム作れたんか!木くずを肥料として活用する事もあるとは聞いてたけどゲーム内でも再現できたんやな。ギルド倉庫に材料はたんまりあるし、モチョに増産頼んどくかな)

とか、

(森に入って少し進んだ所に謎の岩があるってウワサ、これ確実にシンボルやん!ただ岩は大陸語以外の文字書いてあるって話やし、明日の探索では言語スキルをフルで入れなあかんな)

など、興味がある情報をココロのメモに刻み込んでいく。


ちなみに俺自身も【農家】にランクアップした事で農業ギルドで購入出来るようになった物品や価格、そしてスキル講習についての発表を行った。

みんなの反応も上々で、特に【種化】や【魔力付与】を取得する際に行うミニゲームについては、


「うう〜。テストも迷路も俺苦手なんっすよね・・・」

「私も・・・。講習受ける時はSTもMPも満タンにして備えないとですね」

セキライとモチョが泣きそうな表情で弱音を吐くのが印象的だった。


そんな一幕も挟みつつも報告はドンドンと進んでいった報告会は

「今日も新情報をこんなに集めてくれてありがとう!」

ユサタクの労いの言葉で幕を閉じた。



「じゃあ、次は明日の予定についてだな。まずは作物の生産についてだが日々の納品クエスト分以外の種まきは魔力草とスタミナ草の2種に専念しようと思う」


「ええ!?折角いっぱい農地あるのに種類を絞っちゃうんすか?」


「ああ。今のMJO内ではポーション系は枯渇気味だし、今後行われる町解放クエストに備えてポーション類を大量生産をしておきたい。また収穫に2日はかかるこれらの作物を育てる事で、俺たちの睡眠時間を確保しつつ、管理が出来るようになるまでの時間を稼ぐ期待もある」


「なるほど。ポーション類の増産は急務ですし、農地管理も同盟相手の【農協】さんはエンジョイ勢なので、数日は管理のお手伝いも期待薄ですしね。先を見据えるなら収穫に時間のかかるこの2種類に絞るのはアリだと思います」

「そうっすね。それまでにレベルが上がれば管理も楽になりそうっす!」

ユサタクの説明にゼロを筆頭に賛同するメンバー達。


「なんだかんだ今リアルでは23時頃やもんな。初日とはいえぼちぼちログアウトする人も出てくるか。って目的の1つにメンバーの睡眠時間の確保も含んでるのに、なんで人手が要りそうな大収穫クエストを受注したんや?」

俺も途中まで納得しかけたが、先程受注した大規模のクエストが理屈に反しているのに気づきツッコミを入れる。


「やっぱそこ突っ込むか」

「ああ、書記してる時は忘れてたけど、今一番知りたい件が絡みそうやしな。で、どういう理由なん?」


「クラン用のポイントが獲得できるとか、初見のアイテムが報酬とか色々理由はある。だが、受注の決め手はこのクエストが出されたギルド側の事情に興味を持ったからだ」

「おお。やっとその話してくれるんか。一体どんな事情なんや?」


「ふっふっふ。実はな・・・」

「実は?」

有益な情報を話す時ほど変に勿体ぶるいつものユサタクの言動に軽くイラッとしながらも続く言葉を待つ。


「今回収穫する1500地区の農地をスキル講習専用の農地に転用しようって計画があるみたいなんだ」

「講習用?確か住民用の食料を生産してる場所なんやろ?それをほとんど潰して講習用の土地にするってギルドの皆さんは血迷ったんか?」


「そんな訳ないだろ。これはプレイヤーの農地保有率の上昇を見て決めたと受付嬢さんは言ってた」

「それに農業プレイヤーが増える事でスキル講習の受講希望者も増えるとの予測から、食料用の土地から転用した方が結果的に街の発展や解放に繋がると考えたみたいです」

クエスト受注時にいた2人がお互いの発言を補完し合うように説明をする。


「確かに面白そうな話やけど、そこまで勿体ぶって話す内容やったか?」

「もちろん!今回の依頼発行の経緯は、俺達が推測していたプレイヤーの行動が世界に影響を与えるっていう仮説の証明になるんだからな」

と、自信満々に言い切った。


tips

下級肥料

モチョが【錬金術師】にランクアップした事でレシピに追加されたアイテム。

使用後の原木5つで1地区分の肥料を錬金することができる。

アーツや手作業で畑に撒く事で、収穫できる作物が1つ増加する。

次回は12月14日(土)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
面白かったので一気に読んでしまいました。 更新を楽しみに待ってます。
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