104.講習終了とスキルプリセット
「その様子だと無事に取得出来たみたいだな。おめでとう」
「ありがとさん。肩と首を生け贄になんとか覚える事が出来たわ」
「ははは、いいじゃね〜か。俺達の場合スキル取得まで数日はかかるんだ。たかだか1時間ちょいで覚えれただけマシってもんだ」
「マジか!今ほど渡り人で良かったと思った事ないわ」
俺の様子を察したペーターから祝福の言葉を貰う。それに対し冗談で返すも、この世界の住民事情を聞き逆に驚く羽目になった。
「それよりまだ講習時間が1時間くらい残ってるがどうする?スキルのレベル上げは出来るが・・・」
「絶対嫌や!スキルレベルはアーツ使ってじっくり上げるから今日はこれまでって事で」
「やっぱりそうか。それじゃあ完了の手続きするから管理小屋まで戻るぞ」
「りょ〜かい」
言われた通り2人で管理小屋まで帰り、手続きを手早く済ませる。その後ペーターは形式ばった口調で、
「それでは今回の講習を終了する。そろそろギルドも閉まるから寄り道せずに報告に行くんだぞ」
終了の宣言をした。
「オーケー。ちなみに明日の朝イチでまた予約してるから、そん時はよろしく頼むわ」
「明日もか!?それじゃあこっちも準備しとくから遅れるんじゃないぞ」
「あいよ。じゃ〜またな〜」
「気をつけて帰るんだぞ」
明日について簡単に話した後、ペーターの見送りを背に真っ直ぐ農業ギルドへ向かった。
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「お疲れ様でした。今回の手続きは終了でございます。次回のご予約は明日の午前6時30分、【苗植え】と【肥料散布】の2つの受講となります」
「了解。ちなみに管理農地いく前に、朝イチでギルド寄ったらいいん?」
「いえ、朝も早い事ですし、直接向かって大丈夫ですよ」
「そっか。じゃあ明日は直接向かうわ」
「はい。明日も頑張ってくださいね!」
「ありがとう。アレンも残りの業務頑張ってな〜」
今日と明日の手続きを終え、帰ろうと扉の方へ向かう。
すると扉に触れるタイミングで目の前がピカっと光り、ユサタクとフワフワが目の前に現れた。
「うぉ!いきなり目の前に出るとビビるやん!」
「すまんすまん。でも『事前に転移しますよ』とか伝えるのは無理だろ」
「ですよね〜。転移する度にクランの方に宣言するのも変な話ですし〜」
「そりゃそうやけど・・・。それより、何しに来たん?」
「朝受注したクランクエストの報告とクランで使う用の種の買い出しにな。ちなみに納品の方はソーイチの畑からも出してるから分け前を渡すよ。だからそれまで待っててくれないか?」
「ええよ。でも後で転移で農地まで連れてってな」
「わかったよ。じゃあ、行って来る」
「では、少々お待ちくださいね〜」
そう言って受付の列に向かうユサタク達を見送った後、俺は待合用の椅子に座る。見た感じだとクエスト関連の列は長く、少し時間が出来てしまった。
(しばらくかかりそうやな〜。何かすることは・・・。そや!今のうちにスキルプリセット試すか)
待ち時間中の暇つぶしを考えた結果、スキルプリセットを設定する事に決めた。
(確かメインスキルを5種類まで記録出来るんやったよな。とりあえず2〜3個作るか)
所持スキルを確認し、それらをテーマ毎に揃えていく。とは言っても現在の所持スキルは14とかなり少ないので、あっという間に作り終えることが出来た。その成果は以下の通り
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① 農業専用モード(メインJob:見習い晴耕雨読 サブJob:農家)
メインスキル(7/11)大陸語Lv3/耕すLv1/水撒きLv2/種蒔きLv2/収穫Lv2/種化Lv1/剪定Lv1
②休憩モード(メインJob:司書 サブJob:見習い晴耕雨読or見習い付与魔術師)
メインスキル(8/11)大陸語Lv3/古代語Lv1/エルフ語Lv1/待機Lv3/瞑想Lv2/休憩Lv3/メモLv8/魔力付与Lv1
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まず①の農業専用モードだが名前の通りほとんどのスキルが農業時に作用するスキルで構成されている。
ぶっちゃけ【大陸語】は正直必要ないかなとも思うが、まあ念の為という感じでセットしている。
次に②の休憩モード。こちらは休憩スキル3種と言語3種をセットし、残った枠に【メモ】と【魔力付与】をセットすることで休憩中の読書のメモや余ったMPの有効活用が出来るようになっている。
本当はもう1つフィールド用にプリセットを作りたかったのだが、所持スキルが14と少なすぎるため断念、当分の間は休憩モードと併用にする予定だ。
(う〜ん。満足する出来ではあるけどスキル枠に空きが目立つな〜。いや、逆に伸び代と考えるべきか?)
不恰好なスキル欄に少し不満ではあるが、ポジティブに思考を切り替えようとする。
その後ステータスチェックなどをしていると、
ー特別クランクエスト【作物の納品依頼】を達成致しましたー
ー特別クランクエスト【ギルド農地で大収穫】を受注致しましたー
とクエストクリアと新たなクランクエスト受注を知らせるアナウンスが流れた。
tips
渡り人と住民(NPC)の成長格差
通常、渡り人と住民の成長速度には大きな差があり、レベルに関しては10倍、スキルの取得・熟練に関しては20〜50倍の差がある。
ただし、住民の中にも【剣術】や【魔術】など、 1分野は渡り人と同等かそれ以上の才能の持ち主もいる。
次回は11月23日(土)午前6時に更新予定です。
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