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103.【剪定】講習と剪定痛

大変お待たせいたしました。これからは週1更新出来るよう頑張ってきます!

ギルドを後にし歩く事数分、講習開始の少し前に管理農地に到着した。手続きを手早く終わらせた俺は、ペーターと今回の講習場所である果樹園まで向かう。


「それにしても1日に何度もスキル講習を受けるとか相当張り切ってるな!」

道中、少し驚いた表情をしたペーターから話しかけられた。


「農業系って殆どセットしてるだけで効果あるやろ?こういうスキルって最初の内に揃えるんが一番効率的なんやしそりゃ張り切るよ」

「確かにそうだな」


「それに畑仕事って基本的に待つのが仕事やし時間はたっぷりあるんよ」

「なるほど、時間の有効活用って訳か。それよりギルドが閉まるまで後3時間弱だし、今回は今まで以上にバフ増し増しでやるか」


「マジか!?めっちゃ助かるわ!」

「気にするな。俺の今日の仕事はこれで終わりだからな。ソーイチの手助けっていうより、俺が帰りたいだけだよ」

「そっか。じゃあペーターが家族の元へ早く帰れるよう俺も頑張るわ」


付与魔術のお礼を伝えるも、自分の為だからと冗談っぽく躱される。その後も色々な事を話しつつ移動していると、やがて数多の樹木が整然と並んだ区画へとたどり着いた。


「遠くからはうっすら見えてたけど、広いな〜」

「渡り人が来るまではここが果物系の生産を一手に引き受けていた区画だからな。っとお喋りはこれくらいにして、講習始めるから準備してくれ」

「わかった」


俺はギルドから借りた講習用の剪定ばさみを手に持ち、それ以外の荷物を仕舞い込む。それを確認したペーターは俺に数種の付与魔術をかけた後、

「じゃあ、これから【剪定】スキルの講習を開始する」

と、講習開始を宣言した。


「まずは上を見てくれ。不自然な方向に伸びた枝があるだろ?」

「ああ、確かにあるな」

言われた通り樹木を見てみると、1本当たり2〜3本ほど不自然な場所に伸びた細い枝が生えていた。


「あの枝を切り取っていけばええんか?」

「その通り。今回はどの枝を切るのか俺が指示するから、指定した枝を切り取っていってくれ」

「了解」

「じゃあ、まずは左の樹の上から3段目の枝の下に伸びたやつを根本から切り取っていってくれ」


言われた通り根元へハサミの先端を持ち上げて使用すると、驚く事に力をほとんど使わず枝を切り取ることが出来た。

(お、思ったよりスパッと切れるんやな!?1本の樹につき余分な枝もあまり生えてないし、今回は楽勝やろ!)

意外に簡単だった事に気を良くした俺は、鼻歌混じりで枝を次々と切り取っていく。だが半分を過ぎる頃には、体のある異変のせいで余裕は消し飛んでいた。


(首と肩めっちゃ痛い!バーチャルやのに1週間ほぼ休まず執筆してた時並に痛いんやけど!?)

そう、俺の首から肩にかけて重度の痛みが発生していたのだ。


(考えてみたら枝って基本的に目線の上やし、ずっと上向きながら腕を上に伸ばして切り取るって作業って首や肩に負担かかるわな〜。って理由わかったら余計に痛なってきたんやけど)


あまりの痛さに一旦作業を中断し、首と肩をグルグル回す。すると横で見ていたペーターが苦笑いしながら話しかけてきた。


「さっそく剪定痛を味わってるみたいだな」

「剪定痛?この酷い痛みのこと?」

「ああ。剪定って他の作業とは違って、ずっと上へと重力に逆らった状態で作業し続けるだろ?だからその時起きる痛みを剪定痛ってみんな呼んでるんだ」

「なるほど、じゃあこの痛さは全部重力のせいか!」


痛みの原因を知り、ただの自然現象である重力に殺意を芽生えてしまう。


「じゃあ、もし重力の魔術とかあったら剪定痛から解放されるんか?」

「あははは!!確かに魔術師の中には重力系統の魔術について研究してるって聞いたことがあるが、農業で使うってのは考えたことなかったな!」


俺の愚痴混じりの疑問に、ペーターは一瞬ぽかんとした後、大笑いする。


「そんなに笑うことか?1回でもこの痛さを味わったんなら使いたくもなるやろ?」

「わからん事もないんだが、そんな高度な魔術を剪定の為に使うのは勿体ないだろ」


「なんでや?」

「そりゃアーツ使えば剪定痛は起きないからな」

「あっ、そうか」

スキル取得の為に今回は手作業で剪定してるが、アーツを使えば剪定痛とはお別れになるだろう。


「なんや〜。折角いいアイデアやと思ったけど意味ないやん。ええアイデアやと思ったのに〜」

「そう不貞腐れるなよ。渡り人は成長早いし案外すぐにでも重力魔術覚えるかもよ。そしたら試してみればいいだろ」


「う〜ん。重力魔術ってのはカッコよさそうやけど、そこに労力をかける為のモチベーションが湧かんな〜」

「まあ、試す機会があればやってみてくれ。万が一有用だったら発見者のソーイチの名前が農業史に残るかもだぞ」

「ははは。そりゃ魅力的やな」


そんなくだらない事を駄弁りながらも作業を続けていく。幾度ものストレッチタイムを経て開始から1時間を過ぎた頃に、


ー【剪定】を取得しましたー

とスキル取得を告げるアナウンスが流れた。


tips

【剪定】

効果:スキルLv×5%の確率で収穫時1〜3個作物が増加する。

習得法:アーツを使用せず100本の樹木の剪定を行う。※スキル講習で覚える際は取得までの本数は半分となる。


次回は11月16日(土)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
久しぶりの更新キターー!!! 待ち甲斐があった!
ご帰還お待ちしていました!(*`・ω・)ゞ 続きが読める事がたいへん嬉しいです!
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