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102.初戦闘?と農業ギルド

「うわぁ〜〜!!ヤバいな!」


初めてのフィールドに、純粋な衝撃を感じた。

都会育ちの俺にとって見渡す限りの緑や、ほのかに香る青臭い匂い、草を踏み締める感触のリアルさは、初めてこの世界に降り立った時とはまた違った感動を覚える。

閉門まで中途半端な時間のせいか、門の周辺にはプレイヤーは1人もいない。純粋な自然そのままの景色がより大きな感動を俺に与えたのかもしれない。


(5日目にして初めてのフィールドを経験したのは逆に良かったかもな)

考察が当たっているのかは別として、結果として感動を味わい尽くせた事に満足感を覚えた。


(このまま横になるのも有りやけど、折角やしブラブラするかね)

俺は先日作成した採取用のマップを片手に、門周辺をうろうろする。


(おっ、野生の薬草発見!畑のしか見た事なかったけど、ちゃんと生えてるんやな)

天然物の薬草にある種の感動をしつつも、拾っては移動を繰り返す。薬草やただの小石など大したアイテムはなかったのだが、幼い頃に祖父の田舎で行った小さな冒険を思い出し少し楽しい。

こうして夢中になって拾っていると、頭にアラーム音が鳴り響いた。


(折角楽しなってきたのにもうタイムリミットか)

講習時間を忘れない為に、事前に設定していたアラームがなり、渋々ながら北門へと小走りで戻る。残り半分に差し掛かったタイミングで、俺の前を1匹の魔物が立ちはだかった。


(おお!これがベビースライムか!初めて見た!)

この世界で初めて出会った魔物は、王道とも言える小さなスライムだった。普通ならそのまま戦闘に入るのだが、時間もあまりないので事前に用意していたアイテムを投げかける。


「ピギャア!?」

「おお!図鑑に載ってたけど、マジでベビースライムって塩で倒せるんやな!」

それは【塩玉】という塩を丸く固めただけのアイテムだ。魔物図鑑でベビースライムの弱点を知っていた俺はこっそりとモチョに頼んでいたのだ。

その事前準備が功をそうし、あっという間にベビースライムを撃破、この世界での初戦闘はあっけなく終わってしまった。


「うーん、初めてがこれはあかんかったか?バトルしたって感動が全くない・・・」

少し残念な気分になりながらも、ドロップアイテムの【スライムの被膜】を拾い、再び門に向かって走り出す。


その後は邪魔が入ることは無く町に到着し、そのままの勢いで農業ギルドへ向う。

講習の時間よりかなり早めに到着した俺はギルドの扉を開けると、


「すいません、登録お願いします!」

「農地って何ヶ所まで買えますか!?」

そこには普段の数十倍のプレイヤーで賑わっていた。


情報販売会の結果だとは思うが、あまりの変わりように驚く。

ただ、見習い卒業後に利用できるスキル講習の窓口には誰も並んでいなかったので、これ幸いと受付をしていたアレンに話しかける。


「お疲れさん、凄い活気やね」

「あっ!ソーイチさん!【ユーザータクティクス】の皆さんのおかげで、今凄いことになってるんですよ!」

「やっぱこれってウチが原因?」


「もちろんですよ!お昼を過ぎたくらいから急に100人以上の渡り人様がいらっしゃって、嬉しい悲鳴が止まりませんよ!」

「そりゃ良かった。でも流石にここの窓口はガラガラやな」

「ですね。ただ混み合うのも時間の問題でしょうね」


その時の混雑を思い浮かべてか、苦笑いするアレン。俺は慰めつつも本題である【剪定】の講習についての、注意事項を尋ねた。


「う〜ん。今回は【耕す】と同じく実地での習得作業になりますので、お渡しする農具くらいしか変更点はないですね」

そう言って、剪定用のハサミを取り出す。アイテムの詳細を確認すると、この農具も経験値が取得がない代わりに、スキル獲得までの労力が半分になる効果があった。


「実地場所も管理農地にある果樹園ですし、やり方も実物を見るのが分かり易いと思いますよ」

「そっか〜。ゲットまでの時間短縮になればと思ったけど、そういう理由ならしゃーないか」

中途半端に空いた時間を有効に活用しようと思ったのだが、当てが外れて少しがっかりする。それを見たアレンはある提案を投げかけてきた。


「それなら今のうちに次の予約しちゃいます?この様子ですと数日中には講習も混みそうですし」

「ああ〜。卒業の時期が一気に被るかもやな。じゃあお願いしたいけど残りの講習ってなんやっけ?」


「残りは【苗植え】と【肥料散布】の2つだと思います」

「おお。残り2つか!じゃあ両方とも予約したいんやけど、最短でいつになる?」


「明日の午前6時30分の枠でしたら2つセットでご予約できます。いかがなさいますか?」

「ええね!じゃあ予約お願い」

「かしこまりました。それでは手続きをしてまいりますので、少々お待ちください」


そう言って席を離れるアレン。俺はその隙を見計らってクランコールに報告し、モチョ達との冒険はそれ以外の時間になるよう調整をお願いした。

その後戻ってきたアレンに講習料を支払った後、ノアの近況についての雑談していると、いい感じの時間になっていた。


「ありがとう。アレンのおかげで講習までの半端な時間を有効活用できたわ」

「お役に立てたみたいで良かったです。ではソーイチさん、いってらっしゃいませ」

見送りの言葉を背に俺は講習場所であるギルド管理農地へ歩いていった。


tips

ベビースライム

門の周辺に出現する。

打撃耐性は多少あるが、それ以外のステータスは低い。

塩や乾燥系のアーツが弱点であり、それらを使用して討伐すると通常ではレアドロップである【スライムの被膜】が確定でドロップするようになる。



ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >通常ではレアドロップである【スライムの被膜】が高確率でドロップするようになる。 前に図鑑読んだ時は「確定ドロップ」と書いてあったはずだが。 どっちが正しいのん? あと、前に「使用…
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