表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/160

99.意外な出会いと迷路

【魔力付与】の講習は、先程受けた【種化】と同じく少人数用の部屋に案内された。ただ違っていたのは、講習を受けるのは自分だけではなかった点である。


「俺以外にも講習受けるメンバー居たんやね」

「僕もびっくりです。リアルは23時前なのでガチ勢はフィールドに夢中だし、エンジョイ勢はそろそろ寝始める時間ですし」


先に座っていた白いローブを身に纏った優しげな目をした青年に話し掛け、互いに自己紹介をする。名前を聞いてびっくり、相手は【円卓の騎士】サブリーダーのマーリンだった。


「いや〜。ウチの最大のライバルのサブリーダーとお会いできるなんて光栄やわ〜」

「それは僕のセリフですよ!PP最大保有のソーイチさんと、ここで会えるとは思ってなかったです。良かったらフレンド登録しませんか?」

「勿論ええで」

マーリンからの申請に承諾し、ゲーム初めてのクラン外のフレンドが出来た。

その後の雑談の中、気になっていた事を尋ねた。


「確かマーリンって【付与魔術師】やったよね?見習いでも取れるこのスキルはとっくに取ってると思ってたわ」

「僕たちは戦闘メインのクランですからね。時間のかかる講習は基本的に後回しなんですよ」

「へぇ〜。じゃあ、逆に今回受けたんはなんでなん?」

「ははは。それはあなた達のせいですよ」

「え!?」

苦笑いしながら答えるマーリンに驚く。


「ちょうど冒険者ギルド内で行われている情報販売、基本的に掲示板に情報を落とすあなた方が売り込む情報、その内容を把握できるまでは、町で待機になったんですよ」

「なるほど。そういう事やったんか」


俺達が手に入れ、販売に踏み切った情報販売会、それが巡り巡ってこの出会いに繋がった事に、感慨深い何かを感じた。その後、少しの雑談をしていると、講師が部屋へと入ってきた。


講師の挨拶が行われて講習が始まったのだが、【種化】の時と違い、簡単な説明が行われた後、実際に講師による実技の見学であった。

彼が剣に【魔力付与】を行うと、うっすらと光の膜が包む。


「見ての通り、武器に使用すると武器自体が魔力で覆われる。こうする事により、物理攻撃に耐性のある魔物に対しての有効打を得られる。他にも様々な使い方があるが、それは自身の試行錯誤によって見つけてくれ」


どうやら、この講師は実戦での発見に重点を置くタイプのようだ。それでも幾つかの使用方法を教えてくれたので、それをまとめていく。


【魔力付与】 戦闘・生産[付与(他魔術系ジョブでも等倍の経験値入手可)

消費MP 10以上

獲得基礎経験値 消費MP×(1+スキルLv/10)

武具に使用すると無属性の魔力を纏わせる事が出来る。(威力が変わらないので最低限でよし)

魔力電池の充電(1MP/秒)

水に流し込むと【魔力水】というアイテムになる。


話終えた講師が、スキルボードを用意している間、申し訳なさそうな顔のマーリンにメモのコピーを頼まれた。承諾した俺は【4枚刷り】のアーツを使用し、その内の1枚を渡す。

そんなやり取りをしている間に講師の準備も終わったようだ。


「お待たせ。これが今回スキル習得に使用するスキルボードだ。今回のスキルは魔力の通り道をイメージする力が求められるので、それを意識しながらやってみてくれ」

(説明も少なかったし、今回は小テストじゃないっぽいな)


そう考えつつ、俺とマーリンは目を瞑り、スキルボードに手をつく。そしてシステムアナウンスに従い、スキル習得を開始すると、頭の中に複雑な迷路が浮かび上がった。上部にある説明を読むと、


スタート地点からゴール地点までの道筋を辿って行って下さい。挑戦料は1回当たりMP10、ミスするごとに迷路の難易度は低下します。


と書いてあった。

(小テストの次は迷路かい!スキルボード関連ってもしかしてミニゲーム集なんか?)

そんな事を考えつつも、迷路に注目する。まずは勢いで解いていくが、半分にも満たない所で行き止まりになった。その後もミスを重ねて行ったが、6度目の挑戦でなんとかクリア、無事スキルを取得する事ができた。


(あぶな〜。ポーション飲んでなかったら詰んでたな!)

内心ヒヤヒヤしながらも、目を開きステータスを確認、無事スキルが追加されているのを確認し終えた所で、先に終わらせていたマーリンが話しかけてきた。


「お疲れ、ソーイチさんはどうだった?」

「MP残ってる間になんとかクリアできたわ。そっちは割と余裕っぽいな」

「ああ。僕の趣味があの手の脳トレ系なんでね。初回クリア出来たよ」

「初回!?まじか!?」

あの巨大迷路をクリアしたマーリンの実力に驚きを隠せない俺。


「2人共、おめでとう!無事スキルを取得できたみたいだな。このスキルは万能というか、色々な行動の基礎になるものなので、研鑽を積んでいってくれ」

「「はい!!」」

「よろしい!じゃあ、帰っていいぞ」

講師からの許可が出たので2人で部屋を出る。その後受付まで戻り、早速魔力電池の充電の依頼がないか尋ねる。すると、


「お疲れ様です。すでに魔力電池の依頼書、ご用意してますよ」

と、2枚の依頼書を差し出した。


================================================

【魔力電池の充電】

500MP分の魔力電池を満タンまで充電(魔力電池は貸し出し)


【必要技能】魔力付与


【報酬】 3000ゴールド 150BGP 75AGP

【期限】 依頼受注後より1週間

================================================


「ふむ。少し安いですが、町中だけで稼げるのは悪くないですね」

「せやな。ポイントは負けるかもやけど、依頼書作成より稼げるし、早速受けるわ」

俺達は、揃って同じ依頼を受注した。


tips

少し先の【円卓の騎士】アーサーとマーリンのコール

『お待たせしました。販売会はどうでしたか?』

『農業系の情報や特殊アイテムの販売等、盛り沢山だったよ。すぐにでも転職すべきだと僕は思う』

『そこまでですか・・・』

『というか、転職可能な仲間達が大急ぎで【見習い農家】への転職と農地を制限いっぱいまで購入してるよ』


『わかりました。私もすぐに向かいます』

『よろしく。それより、そっちはどうだった?』

『無事スキル獲得です。それと・・・』

『なんだい?勿体ぶって』


『ソーイチさんがいましたよ?』

『マジで!?』

『アーサー、ロール崩れてますよ』

『し、失礼。それより彼も付与魔術師に?』

『ええ。後、フレンドになってきました』

『ええ!!』

以下自慢するマーリンと悔しがるアーサーの会話が続く。


次回は6月12日(水)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] アーサーくんはラノベ読者かな どことなく見た目を寄せてそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ