96.資金確保と付与魔術師ギルド
苗を全て植え終わり、あとは1日待つだけとなった。
見学していた3人は打ち合わせの為、会場となる冒険者ギルドまで転移していったので1人になった俺は、休憩しつつ次の予定を考える。
(後残ってる作業は付与魔術師ギルドで電池充電出来るようにするのと、昨日手に入れた転送符に書かれてる文字の解読作業やな。解読はいつでも行けるし、予約必要そうな付与魔術師ギルドから行くか。って俺所持金3桁やん!?受講料絶対足りんし金策せな!)
素寒貧な現状を思い出した俺は、農地に備えている回収ボックスをまず確認する。仲間によって俺の農地から収穫された作物が沢山入っていた。
俺は、その中からジャガイモとカブを50個ずつを納品用に取り出す。そしてサブジョブを【見習い付与魔術師】に変更し、次の目的地へと歩き出す。
まず回収したカブとジャガイモを農業ギルドに納品、結果15,000ゴールドとポイントを稼ぐ事が出来た。
(こんだけあったら受講料は大丈夫やろ。後はすぐに受講できるかやな。17時から【剪定】スキルの受講も控えてるしそれまでには受けたいな〜)
そんな考え事をしながら、歩いていると魔術系ギルドが固まっている一角が見えてきた。
俺は一軒ずつ看板を確認していくと、通りの一番奥に付与魔術師ギルドを見つけることが出来た。
ギルドに入る前に隣の区画を確認すると、フラスコやトンカチが描かれた看板が並ぶ。どうやら生産系ギルド専用の区画のようだ。
(付与魔術系は生産でも応用が効くって話やし、こんな配置になってんのかね?何人か魔法使いっぽい格好の住民が出入りしてるっぽい。こういう細かい設定は俺の作品でも使えそうやな)
作家魂の性なのか、ただのギルドの配置から、つい考察やネタ探しをしてしまう。
しばらくの間考え事をしていると、何やら妙な気配を感じる。俺は周りを見回すと、不審そうな視線を複数向けられてるのを感じた。
(あかん。よく考えたら、ここ道のど真ん中やん!そんなとこで只々立ち竦むってそりゃ不審な目で見られるわ)
いかに怪しい行動を取ってたかに気付いた俺は、周りの視線から逃げるように付与魔術師ギルドへ入っていく。
「いらっしゃいませ。どのようなご用件ですか?」
「【見習い付与魔術師】に転職したので、ギルドの登録をしにきました」
「なるほど。準備をしてまいりますので、その間にギルドカードのご準備をよろしくお願いします」
幸い、先ほどの不審な行動はギルドからは見えなかったのか、受付の人からは普通の対応で登録が始まる。
「お待たせしました。それではギルドカードを確認しますね」
「はい。どうぞ」
俺は案内通りギルドカードを差し出す。カードを確認していく笑顔から少し驚いた表情へと変わっていく。
「まあ。あなたがソーイチさんなんですね」
「確かに俺がソーイチですけど、何か噂でも出てるんです?」
「新聞の一面を何度も飾ってるじゃないですか!」
「ああ、確かに俺やウチのクランの話出てましたね」
「それ以外でも農業ギルドのアレンが、渡り人の中でも特に信頼できる人がいるって褒めてましたよ」
「そうなんですか。裏でも褒められるって、なんか照れるな〜」
自分が知らない所で、ポジティブな噂話がされているのを知り、少し照れてしまう。
「それは兎も角、まずは登録からですね。今回担当させて頂くグラントと申します」
「ご丁寧にどうも。俺はソーイチです。って知ってるか」
散々、知ってると言われた相手への自己紹介に少しはにかんでしまう。
釣られてグラントも笑っていたが、咳払い1つし、話を元に戻す。
「こほん。ソーイチさんは現在【見習い付与魔術師】をサブジョブにセットしてるので、入会可能でございます。只今カードに情報を反映中ですので少々お待ちください」
忙しそうにしているので、作業が終わるまで静かに待つ。数分後、登録が終わったのかカードを差し出すグラント。
「お待たせしました。登録が出来ましたので、カードをお返し致します。反映されているかソーイチさんからもご確認お願いします」
そう言って差し出されたカードを受け取ると、
ー初期設定以外のギルドの登録を確認出来ましたので【スキルプリセット】が解放されます。こちらは5種類までメインスキルの構築を登録する事が可能ですー
とシステムアナウンスが流れた。
(マジか!?説明から察するに、農業用と司書用みたいに状況別にメインスキルをワンタッチで変更出来るやつやろ!ってグラントが不思議そうな顔してるから早く受け取らな)
便利機能の解放に喜びたいのは山々だが、グラントを待たせないよう、グッと堪えてカードを受け取りカード内容を確認する。
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NAME:ソーイチ
冒険者ランク E(1,150/5,000)
戦闘職ランク G(0/50)
生産職ランク E(1,110/5,000)
(登録ギルド:司書・農業・付与)
所属クラン:ユーザータクティクス (20/20名)
クランランク E(1200/5000)
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「登録確認できたで。これで俺も戦闘職の仲間入りか〜」
「おめでとうございます。では、登録出来た事ですし付与魔術師や戦闘職ランクについて説明しましょうか」
浮かれている暇もなく新たな解説が始まった。
tips
スキルプリセット
事前に5セットまでメインスキルを構築出来る機能。
現時点では戦闘用と生産用の2セットだけ使っているプレイヤーが大半である。
次回は6月6日(木)午前6時に更新予定です。
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