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95.【オモイカネ】の2人と苗植え

「じゃあ買い物終わったし、これから苗植えてくるわ」

「待ってください!果樹園は通常の作物栽培とは別に剪定作業もあります。必要になるのは明日以降ですが、その点は覚えてて下さいね」

「オッケー。【剪定】スキル取る時に詳しく聞いとくわ」


アレンからの注意事項を受け止めながらも、逸る気持ちが抑えきれずギルドを出て駆け出す。数分後、農地に辿り着いた。

果樹園作成前に誰か居るか辺りを見回すと、ユサタクが見慣れないプレイヤー2人と談笑していた。

1人は赤いベストに黄色いシャツ、グレーのズボンを履いた小柄な女の子、もう1人は性別はわからないが全身真っ黒な鎧を身に纏っている。


(キャラ濃そうやな〜。ネタになりそうやし、挨拶に行くかね)

好奇心と作家としての本能がごちゃ混ぜになりながらも、談笑してる所に参入する。


「戻ったで〜。見ない顔やけど、どちらさん?」

「良い所に戻って来たな。こちらがウチのPP取得トップのソーイチです」

「は、はじめまして!クラン【オモイカネ】のリーダー兼、情報販売統括のプロスです!」


「私は【オモイカネ】の戦闘部隊リーダーの黒百合と言います。お会い出来て光栄です」

「ソーイチです。【オモイカネ】といえば、今日ウチの農業の情報を広めてくれるあの?」


「そうそう。情報発表の前に、打ち合わせと追加情報の確認をしてたんだよ」

「【ユーザータクティクス】の皆さんのおかげで、大規模な販売会出来そうですよ。買い手も円卓さんを含めた有名クランも多数参戦しますし、新たな情報源も増えそうですしね!」


「それは良いな。情報ギルドの販路が広がるのは、俺達のような売り手側の安定した売り場になるし、【オモイカネ】の躍進は他人事じゃないからな」

「そうそう。お互いWin-Winや。こっちが買う事も絶対あるし、どんどん勢力増やしてってや」


「そ、そうですか!?黒百合ちゃん、期待に応える為にも今日の販売会は絶対成功させようね!」

「そうね。まずは発表中に噛まないように練習するか代役を立てるべきでしょうね」

「酷い!?」


まるで漫才の様なやり取りをする【オモイカネ】の2人。というか黒百合はゴツい見た目に反して女性のようで少しびっくり。

その後、少しの雑談をこなした俺は、果樹園を始める為に会話を切り上げようとする。しかしそこは情報クラン、新しい事は見逃せないとプロスから見学の申し出をされる。


「厚かましくて申し訳ないですが、是非作業を見学させて下さい!」

「ええよ。まだ売れる程の情報揃ってないから、果樹園関係はオフレコでお願い」

「こちらも検証不足な情報は販売出来ないので、それまでは心の中に秘めておきます!」

プロスはお口チャックのジェスチャーをする。

それを微笑ましく思いながらも、果樹園用の農地を設置する場所まで歩いていく。


「それにしても南1地区も大分埋まってきたな〜」

「そうだな。南1は全部で300地区あるし買い占めるか?下手に他ギルドが買うと面倒だし」

「Eランクで所持できるんは称号持ちでも150地区が限界やし、生産ランクDに上がらん限りは無理やな」

「そうか・・・。残りの150はウチと農協で分け合うとするか」

「オッケー。俺も収穫まだの奴納品して上限まで買い占めるわ」


「凄い話ですね。1地区も持ってない私達的にはこの状況を見ても現実感がないですよ」

「俺の場合はクランからの支援が大半やな。形ある物で返したいけど、すぐには無理やしな〜」

そんな雑談をしながら歩いていると、ちょうど良さそうな空き地に辿り着く。俺は3人が見守る中チケットを千切ると、通常より遥かに大きい農地が目に前に現れた。


「話には聞いてましたが、通常の農地よりもすごく広いですね!」

「そうやな。まあでっかい木が5本分と考えたらそれぐらいのスペースはいるしな〜」

そう言いながらアーツで苗を植えていく。


「使う地区が5倍やから経験値5倍かもと思ったけど、そんな事は無かったか」

「予想通りだけどちょっと残念ね」

「だが考え方によっては、これは使えるぞ」

「そうですね!農地の管理が難しい人は見習い卒業後に所持農地を果樹園に変更すれば、維持する労力は1/5になりますしね!」


「ああ、称号目当てで土地買って放置ってのが減るかもしれんのか」

「この方法も説明会での内容に追加しちゃえば、農地完売もあり得るかもですね!」

「う〜ん。完全独占はヘイトが溜まりそうだな。後2時間程あるが会場に行ってもう少し詰めるか?」

経験値のデータだけでも、色々思いつく両クランリーダー。その優秀さを頼もしく思いながらも、俺は農地を広げ、全ての苗を植え続けたのだった。


tips

キャラ紹介:黒百合


クラン【オモイカネ】の戦闘部隊のリーダーであり、黒づくめの全身鎧を身に纏った女性。

戦闘スタイルは相方の付与魔術師からのバフを受けての単騎突撃。

基本その相方とペアで活動してるが、コネ作りも兼ねて他パーティに混ざってのフィールド狩りをする事もある。

非戦闘時は鎧を解除してるが、その姿を見たものは少ない。



次回は6月4日(火)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

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