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ミックスジョブオンライン〜ラノベ作家はネタ集めの為賞金付きVRMMOに不遇職で挑む  作者: モトマル
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94.ペーターの過去と果樹園の説明

「おっしゃ!スキルゲットや!」

「よくやったな、ソーイチ。見事な集中力だったぞ」

「ペーターこそ完璧なタイミングで付与魔術掛けてくれてありがとうな」

ペーターからの労いの言葉に、俺は感謝を伝える。その後の雑談で、作業前から気になっていた事について尋ねる。


「作業前から気になってたんやけどペーターって付与魔術師やったんか?勝手に元戦士と勘違いしてたわ」

「よく言われるよ。現役時代はBランク冒険者だったんだが、メインが【上級付与魔術師】、サブが【上級剣士】でな。ひたすら自分を強化して戦うスタイルだったんだよ」


「へぇ〜。一騎当千って感じでかっこええな。それやったらギルド農地の管理人じゃなくて憲兵になればよかったのに」

「俺も妻子ある身だからな。危険な仕事するのは勘弁だよ」


「ああ〜。ご家族心配しちゃうもんな」

「幸いここの管理人は危険度は低いし、付与魔術が実技講習に役立つしな。第二の天職だよ」

「良いセカンドライフで楽しそうやな」


NPCなのにどこか世帯じみた人生観が逆に俺の琴線にふれ、ついつい笑ってしまう。

それに釣られたのかペーターも含み笑いをする。しばしの間、ギルド農地に笑い声が響いた後、思ったより長居したのを思い出した。


「あかん。楽しすぎて、つい喋り込んでしまったわ。スキルも覚えた事やし、これで失礼するわ」

「今回覚えたスキルは全ての農業の基礎だからな。手動でもアーツでも良いから、いっぱい畑を耕していくんだぞ」

「おう。頑張るわ!」


去り際のペーターからのアドバイスに拳をあげる事で応え、俺はギルド農地から立ち去った。

連続で2つのスキルを手に入れた俺はスキップ混じりで駆け出す。

なんとなく住民やプレイヤーから不審な目に見られている気もしたが、そのままの勢いで農業ギルドに入り、アレンへ講習終了の報告する。


「ふふ。スキップでここまで戻ってきたんですか?」

「テンション上がってついな。それより、【耕す】のスキル講習無事終了したで」


「おめでとうございます。それでは、お貸しした鍬の返却とスキル講習費の6,000ゴールドの提出をお願いします」

アレンの案内に従い、【修練の鍬】と6,000ゴールドを差し出す。


「というか受講料払って無かったんやな。遅くなってごめん」

「こちらこそ受け取り忘れてしまい、申し訳ございません。誠実なソーイチさんだから良かったものの、他の人ならごねられる可能性もあった訳ですしね」


「流石にギルド敵に回してまでする奴はおらんやろ」

「偶にMPやSTが足りない事でスキル取得が出来ず、返金してくれとごねる方もいますからね〜」

「そんな事する奴おるんか!?」

渡り人(プレイヤー)なら兎も角、現地住民でも面倒な冒険者がいるのを聞き驚く。


「こほん。嫌な話はこれくらいにして、次の講習会の予約はなさいますか?」

「今日中に受けれる奴はある?」

「そうですね・・・。【剪定】スキルでしたら本日の17時に実地試験を行えます。予約なさいますか?」

「うん、お願いするわ」


今度こそ忘れない様に受講料5,000ゴールドを支払い、無事に次のスキル講習の予約が完了する。少しの事務作業の後、アレンは予約札を俺に差し出した。


「お待たせしました。【剪定】の講習は本日の17時、場所はギルド農地で行います。その時予約札をペーターさんに渡せば講習開始となりますので、紛失しないで下さいね」

「了解。忘れへんうちに仕舞うわ」

そう言ってそそくさと予約札を仕舞い込んだ。

講習の予約を無事終えた俺は、先程見た販売リストについて質問する。


「ちょっと聞きたいんやけど、新しく果樹園が購入できるって販売リストにあったやん?それについて教えてちょうだい」

「果樹園関連についてですね。まず果樹園用の農地は通常の農地5地区分を1区画として扱います。そこで苗は1区画に5株植えることが可能です」


「ここまでは販売リスト通りやな。それで、植えてから収穫までどれくらいかかるん?」

「苗を植えてから24時間後に最初の収穫が可能になります。その後は7日間にわたり、1日に最低10個の果物を収穫できるんです。」


「え〜と、苗植えてから最後の収穫まで、8日間で1区画最低350個、通常の畑でなら22時間の種で400個以上か。野菜はそこそこの確率で2個以上出来るし、もっと差が広がりそうやな〜」

「その分、作物1つ当たりの単価はお高いですし、果樹園ならではの利点もあるんです」


「利点?何それ?」

「それは最後の収穫を終えてから24時間以内に木こり系のスキル【伐採】を使用すれば、1本当たり10個の木材を採取することが出来るんですよ!」

「マジか!うちのリーダー【木こり】持ってるし、農地で木材を確保できるのはええな!」

果物だけじゃなく、追加の資源まで手に入れると聞き興奮が抑えられない。


(確か燻製のときに使うチップってリンゴの木のやつあったよな。このゲームがどこまで再現されてるか知れんけど、建物以外での活用も見えてきそうや)

木材の特性すら把握していない中、妄想がどんどんと溢れ出てくる。


「以上が果樹園でのおおまかな流れとなります。何か質問はございますか?」

「いや、十分や!ちょっとお高いけど全種類欲しなってしまったわ」

「それはよかったです。では購入ご希望という事でよろしいですか?」

「ちょっと所持金確認するから待ってて」

そう言いながら所持ゴールドを確認すると、6万ゴールドとちょっと所持していた。


「今回は南地区の果樹用農地4区画とリンゴ・ブドウ・イチゴ・オリーブを5株ずつお願いするわ」

「それでは4区画4万ゴールドと苗代2万ゴールド、合計6万ゴールドですね」

「はいよ。俺のほぼ全財産や、受け取ってくれ」

「ははは。受け取り辛いですよ」


そう言いつつもアレンは代金を受け取り、農地のチケット4枚と合計20株の苗を俺に手渡す。

所持金がまた3桁になってしまったが、俺は農家生活の新ステージへの切符を手に入れたのだった。


tips

果樹園用農地


通常の農地5地区分の広さ。

新規で購入する場合は農地5地区分のゴールドが必要だが、既に所持している農地を果樹園用に変更することもできる。

その方法は、農業ギルドに変更希望する農地の地区番号を、果樹園農地変更届に記載し提出する。

その届け出が受理されれば、申し込んだ農地のみで使用可能な【用途変更チケット(果樹園)】というアイテムが渡されるので、それを使用する事で果樹園用農地に変更できる。

次回は6月2日(日)午前6時に更新予定です。


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] 宵越しの金どころか当時の金すら持たねぇ生活してる お金の目処が立ってるからこその投資ですね
[一言] あれ?ひょっとして農業レベルが上がって高品質な果樹を育てられるようになったらフィールドでの【伐採】では手に入らないような高品質な木材が手に入ったりして。 高品質素材って高品質なアイテムを作る…
[気になる点] 情報売ってもっと果樹園拡張しようぜ
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