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90.CGPチケットのズルい使い方

おかげさまで、今年の目標だった累計100話更新達成致しました!

ここまで続けられたのも皆様のおかげですm(_ _)m

これからも頑張っていきますので、本作にお付き合いよろしくお願いします!

「時間は掛かりましたが、何とかクリア出来ましたね〜」

「円卓に初回クリアを取られたのは少し痛かったけどな」

「いいじゃありませんか。遅れたからこそシークエに成果が上乗せ出来たんですから」

「そうっすよ!初達成よりもイベント上位の方が獲得PPも多いに決まってるっす」

特別クランクエスト達成に沸き立つメンバー達。俺はそれを眺めつつ、忘れない内にギルドカードを確認する。


=============================

NAME:ソーイチ 

冒険者ランク E(950/5,000)

生産職ランク E(710/5,000)

(登録ギルド:司書・農業)


所属クラン:ユーザータクティクス (20/20名)

クランランク E(1200/5000)

=============================


「Eランクなってから日が経ってないし、Dまでは遠いな〜」

「ここからが本番って話ですし仕方ないのでは?」

「せやな〜。まだゲーム内で2000日以上あるしゆっくり上げていこか」

「ですね!」

俺の独り言に、同じくギルドカードを確認していたモチョが反応する。そんな中ユサタクが少し考え事をしながら話しかけてきた。


「ソーイチ、この依頼受けた時から思ってた事があるんだが・・・」

「どうした。なんかモゴモゴしてるけど、なんか思い付いたんか?」

「ああ。今回の報酬ってゴールド以外にCGPチケットってアイテムを10枚貰ったよな」


「そやな。使えば500CGP貰えるから、生産ランクEの仲間が増えそうや」

「そのチケットだが、10枚中9枚をソーイチに使えば、初のDランクに到達出来るんじゃないか?」

「「ええ!?」」


最初から分配ありきで考えていた俺とモチョは、チケットの思わぬ使い道に驚く。だが、考えてみればスタートダッシュが肝心なこのゲームにおいて1人にリソースを集中するのはアリだとは思うが・・・。


「う〜む。それが出来るのかわからんけどズルっぽいな。好感度下がりそう」

「だよなぁ。それが有りそうだから踏ん切りがつかないんだよ」

有効な作戦ではあるがリスクは高い。互いにどうしよか悩んでいるとモチョが解決策をバッサリと言う。


「2人とも、ごちゃごちゃ考え過ぎですよ。こういう時はアレンさんに聞けばいいじゃないですか」

「そうするしか無いか。こういうズルはシステムか心情のどっちか引っ掛かるかもやし、俺が確認するわ」

「頼んだぞ」


2人に見送られながら、俺は早速アレンの元へチケット一点集中の件について尋ねる。すると、

「説明してなかったですね。こちらのチケットは1つの依頼で2枚までしか使えないんですよ」とアレンは答えた。


「そうなん?」

「ええ。かなり昔に1人にチケットを注ぎ込んだ事件が頻発したそうなんですよ。それで力量の無いままランクだけ上がる者たちが増えてしまったんです」

「ありゃりゃ。そりゃ大変やな」


「大変ってもんじゃないですよ!これはランクシステムの信頼を損ねる事態です。過去に災害が発生した際、高ランク生産者を招集したのですが、ハリボテさん達は全く役に立たず、物置き以下だったそうです」


「マジか。知らんかったとはいえ、ズルの方法聞いてすまんかったわ」

過去に起きた事件を聞き、自分達がどれほどやばい事をしそうになったのかに気付き、即座に謝罪をする。


「いえいえ。与えられた手段から最良だと思う手段を取るのも、冒険者の力量ですしね。アイデアが浮かんでも無断で行わない慎重さ、私好みですよ」

「そう言ってくれると助かるわ。じゃあ、ランクアップはクエストを地道にこなすのが一番ってわけやな」


「一般的にはそうですが、ソーイチさん達の場合は毎日特別クランクエストを受けると効率よくCGPを稼げると思いますよ。」

「あ、また同じ依頼でてるんや」

「ええ。特別クランクエストは種類ごとに1日1回受注できます。クランで300地区ほど持つ【ユーザータクティクス】さんなら通常納品と併用しても依頼達成は余裕だと思いますよ」


「せやな。個人とクランどっちも出来そうや。ちなみに納品以外にウチで受けれるやつある?」

「スキルが足りないので今は納品だけですね。農業系スキル2種類所持者が10人以上居ますと、お手伝い依頼が開放されますよ」

「オッケー。今の話伝えてくるわ」

そう言って皆の元に戻った俺は、今聞いた話を共有する。すると早速【作物の納品依頼】を受注するユサタク。


「チケットは俺は無しでいいから、ソーイチが2枚、残り8枚は皆で分けてくれ」

「リーダーいらないんですか?」

「ああ。俺は木こりの方で生産ランク上がってるからな。みんなはチケット使ってランクを上げておいてくれ。

「「「了解!!」」」

チケット分配で、あえてユサタク自身の分配をなくした事でスムーズに決定。


「じゃあ、お手伝い依頼発生の為に俺達は戻るがソーイチはどうする?」

「まだまだ聞きたい話あるし、別行動でええやろ」

「わかった。取得した情報の共有、頼んだぞ」

「おう。任せてくれ」

ユサタク達は農業スキル修得の為、農地へ転移していった。それを見送った後、再びアレンの元へと向かう。


「さっきはありがとう。クランクエスト関係の情報共有出来たわ」

「それは良かったです。それでソーイチさんの顔付きから察するに、まだお聞きになりたい事があるようですね」

「そうやけど、そんなに顔に出てた?」

「ええ、出てましたよ。それに皆様が転移で帰宅する中、1人残るのも変ですしね」

「なるほど」

顔色や状況だけで俺の行動を読まれた事に、納得と同時に搭載されてるAIの凄さに驚く。


「じゃあ単刀直入に聞くけど、【農家】にランクアップした際にできる事教えてくれへん?」

「その質問が出るという事は見習い卒業出来たんですね!おめでとうございます!」

「ありがとう!それでどうなん?」


「見習い卒業した方には、新しい農具や、新形態の農地の販売。クエストの追加などは勿論ございます。そして何よりも・・・」

アレンは一呼吸置いて、溜めを作ってから、

「スキル講習を受ける事が出来るようになるんですよ!」

目玉となる追加要素を自信満々に答えた。



tips

過去のハリボテ高ランクの経緯と発覚


生産・戦闘問わず、本来ランクアップの際はポイント以外にもギルド職員の認定試験が必要になるのだが、過去にハリボテ高ランクとギルド職員がグルとなり、試験無しでランクアップを行っていた。


その後、災害が発生、対処の為に高ランクの者達を招集した際に、一部の能力の無い高ランクの者達が露見し、ハリボテ高ランクの実態が明らかになってしまう。


その件で人々からのギルドへの信頼度は大きく下がり、一時期は解体寸前まで陥りそうになったのだが、時の領主がチケットの厳格なルールの設定と不正者の処罰の徹底化を進めた事でなんとか存続する事が出来たのだった。


次回は5月25日(土)午前6時に更新予定です。

その次からは2日毎更新に戻ります!


ブックマークや評価・誤字報告していただきありがとうございます!!

今後とも本作をよろしくお願いします。

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