9.プライズポイントと隊長任命
『賞金のポイント?』
『ああ、忘れてるかもしれないがMJOは賞金付きだからな。もちろんそのためのシステムもあるんだよ』
『そりゃあるやろうけど、大会とかのイベントで決まるんとちゃうの?』
不遇職を選んだ自分としては関係ない所で決まると思ってたし、賞金の条件をイメージで言ってみる。
『いや、このゲームは単発でのイベントで決まるんじゃなくて、期間ごとプライズポイント通称【PP】の所持・獲得数で決まるんだよ』
『【PP】ね〜。それと俺が最速でランクアップするのが関係あるん?』
『関係大有りだよ。【PP】の入手条件はいくつかあるから詳しくは後で調べておいてくれ。今回ソーイチに関係ありそうなのが、【プレイヤーで初めて成し遂げる】の条件なんだ』
『初めて成し遂げる?』
『ああ、今回はFランクと農家ギルド加入の2つは確定として、あと特別依頼も初達成の【PP】の対象になりそうでな』
『なるほど、だからアイテム使ってでも最速でする必要があるってわけか』
『ああ、ソーイチの場合は他とは違ってギルド内での作業だし達成後に移動の必要がない。こっちは移動だけで往復2時間、索敵でもっとかかるからな。あと依頼自体が高効率だからかなりの確率で行けると思うぞ』
『なるほどな〜』
どこまでも理詰めで俺に対して最速ランクアップを促してくる。
『もちろん最初のランクアップだからかなり少ないだろうけど、もしかしたらプレイヤー初の【PP】取得者になれるかもしれないからな。不遇職からのプレイヤー最前線!!ワクワクしないか?』
『おお!よくネット小説とかで見るやつやな!』
(ネタ集めで始めたのに実際に小説みたいになるかもしれんのか!?)
思わぬ所で最高のネタに出会えそうでワクワクが溢れ出しそうになってくる。
『おうよ。それに【PP】取得時はワールドアナウンスが流れるからそれで、うちのサポートチームとして名前を売って欲しいんだよ』
『それが目的かい!!でも、めっちゃ面白そうやしチャレンジしてみるから、達成できたら是非とも語り継いでくれ』
あまりにも即物的なユサタクの目的に突っ込みながらも自慢したさも有り宣伝の許可を出す。
『任せろ!後方腕組み面で自慢しておくよ。あとついでにもう1つお願いがあってだな・・・』
笑顔から一転少し気まずそうに話を持ちかけてきた。
『どうしたん?』
『ソーイチは今回以外でも依頼書作成は受けるんやろ?』
『まあな』
『それじゃあ、ソーイチを我がチーム【ユーザータクティクス】の情報隊長に任命したいんだ』
『ダサっ!!なにそれ?』
あまりのダサさについ声を荒げてしまう。
『せっかくキメてたのにダサいて・・・。いや、ソーイチは暫くギルドの人と働くし、メインジョブも【見習い司書】だろ?普通のプレイヤーとは違う情報が手に入ると思うんだよね』
『まあ、実際称号の情報とか教えてもらえたしな』
『だからソーイチには情報収集も積極的にして欲しいんだ。もちろん対価は払うし、何かイベントがありそうならアイテムや人員もできる限り揃えるから』
『どっちみちネタ集めにいっぱい調べるつもりやしその時のメモとかでよければええで。その代わりゴールド弾んでもらうけど』
『オーケイ、交渉成立だな。報酬は期待してくれ』
『あいよ』
(ゴールド稼ぎが1番大変そうやし、丁度よかったな。ぼっち脱却にプレイヤーも紹介してもらえそうやし)
そう考えていると頭の中に機械的なアナウンスが流れた。
ー【瞑想】を取得しました。メインスキルが埋まっているため控えスキルに移しますー
ー【休憩】を取得しました。メインスキルが埋まっているため控えスキルに移しますー
『おっ、【瞑想】と【休憩】覚えたわ』
『おめでとう。それじゃあ早速ランクアップ作戦よろしくな』
『おうよ』
そう言ってコールを切り上げると俺は目を開けた。
tips
プライズポイント【PP】
MJOで賞金獲得に必要なポイント。基本的な取得方法は
①プレイヤーで初めて成し遂げる
②フィールドボスやレアエネミーを討伐する
③特殊なイベントやクエストをクリアする
④大会などで上位入賞する
の4つである。
集計期間は現実世界で3ヶ月(ゲーム内で2年)ごとに行われ、累計PP取得と期間PPのそれぞれ上位100名に賞金が授与される。(最初の期間は期間PPのみが対象)
ブックマークや評価していただきありがとうございます!!
今後とも本作をよろしくお願いします。