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第5話 言いたいのは ”頑張れ!”てこと?

~磯谷視点~


△教室内△


今日は、学校中がバスケ部の話題で持ちきりだ。

僕は特にバスケに興味は無かった。

創設以来初のベスト16とか全く僕の生活に関係ないし。

ただ、クラスメイトの及川くんが活躍したのは少し喜ばしいとは思っている。

しかし、それが佐藤さんに関係があるとなれば話は別だ。

あの時、無理にでも会話に入っておくべきだったと今さらながらに後悔する。

もし、一緒に応援に行けていれば・・・無理か。


「はぁ~」


ため息しか出ない。

そりゃ~、佐藤さんが応援してくれれば発奮するだろう!

及川くんは、そう言う意味でも凄いなと思う。

そして、その成果は他の運動部へも波及し、休み時間毎に佐藤さんへ話しかけに来ている。


「はぁ~」


気持ちが焦る。

佐藤さんの隠れファンは多い。

とにかく可愛いし、華奢で可愛いし、性格もちょっと変わってて可愛いし、話し方も男子みたいで可愛いし、、、、。

女子1人の応援で、試合結果が変わるなんて思ってないけど、男子なら格好良いところを見せたいよな~。

勉強では絶対かなわないものな~。

ああ~、次から次へと応援に来てくれと頼んでいる。

あいつら、佐藤さんと話をするだけでも嬉しそうだよな~。

僕も、ロボットコンテストに・・・無理か。


「はぁ~」


応援依頼が途切れ、今、及川くんが佐藤さんのところへ行って何やら話をしている。

ん? 及川くんと目が合った。

及川くんはボクの話をしているのか?

すると、佐藤さんが僕を見て少し笑ったような気がした。

あ~、駄目だ。恥ずかしさのあまり慌てて視線を逸らしてしまった。

すると、“たったったったったっ”とこちらに近づいてくる。

あ~、全身に緊張感が走る。

恥ずかしくて、目をつぶり下を向く。

“ピタッ”と足音が止んだので、どうやらボクの目の前で彼女は止まったようだ。

恐る恐る目を開けると…。


「うわっ!」


目の前に、綺麗な瞳が輝いていた。

どうやら、佐藤さんはボクの顔を覗き込んでいたようだ。


「磯谷くん、大丈夫?」と心配そうな彼女に、ボクはただ“あうあう”と挙動不審キョどるしかできない。

すると、ため息まじりに、そして少し怒ったように「駄目だな~君は」と言い、言葉とは裏腹に和やかに笑った。


彼女の笑顔は、美しく心を暖かくしてくれる。

そして何故か力強さも感じる。


「心配しなくても大丈夫だよ。磯谷くんは学校を卒業する頃にはモテモテだから! それに、今でも充分イケメンだから勇気を出せば、チャンスはあると思うよ。・・・でも私としては、ちゃんと相手を見て良い人を選んで欲しいかな?」


いや、頭が真っ白で分からない。

何故にボクは思い人から勇気づけられているのか?

そして何故に上司目線なのか?


「だいたいスポーツマンって賞味期限が短いのよ。

 それに大成するのはごく一部の人間だけで、卒業すればただの人?だし、

 人によっては、マイナスにすらなり得る(脳筋!)からね!

 その点磯谷くんは、、、」


・・・まだ続いていたんだ。

全然頭に入ってこないけれど。

とにかく、なんだろう? 脈あり?


「一美ちゃん!」


僕は、思わず立ち上がって佐藤さんの両腕を掴んでいた。

自然と名前で呼んでいるし。しかも”ちゃん”付で!

自分でもテンパっているのが分かる。


「はいはい、そこまでよ」

と藤宮さんの冷めた言葉が突き刺さった。


「どうどう。落ち着いてね磯谷くん」

と鈴木さんは少し優しい。僕は馬じゃないのですが。


そして、無情にも藤宮さんに”バリ”と引き剝がされ、佐藤さんを僕から遠ざけられてしまった。


しかし、なぜか嫌じゃない。

この二人ともこんなに仲が良かったかな?


手を振りながら去って行く佐藤さんに、僕も手を振り返し、何となく一歩前進した気がした。

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