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第2話 マラガ行き道中

やはりな、これだけ大きなところだ。盗賊が出ないはずがない。


雲から顔を出した月のあかりがレオルドを照らす。その瞳は冷たく、何かが欠落しているような目をしていた。


女神も多少は夜目が効くようで、レオルドの様子に気付いたが、なにが起こったのかは理解が追いつかない様子であった。


「なによこれ! なんで人が死んでるの」


「奪われる前に奪った。ただそれだけだ」


蘇生リザレクション


光の魔力つぶが現れレオルドが落とした首が時間が巻き戻されるように本来あるべき場所に戻っていく

光の魔力つぶの1つが俺の体に触れると、淡くひかり、消えた。先ほどの違和感は、勘違いではなかったようで、はっきりと懐かしさともいえぬ何かを感じた。魔力の蓋が開くような未知の感覚も感じた。レオルドも同じような感覚を味わったらしい。


「勝手に人を殺さないで!」


「やられる前にやるのは常識だろう」


「ここではダメなの! バカ勇者。死んだら仕事が増えるっつーの」


仕事と言う言葉で天使の言葉を思い出す。


「心の声が漏れてるぞ。貴様それでも女神か。それに貴様は仕事しないではないか」


「うっさい! 仕事くらいするっつーの」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


言い合っているうちに世が明けた。盗賊たちは寝ているようだ。

じきに見回り兵がやってきてどうとでもなるだろが、念のため束縛バインドをかけておく。


「次からは勝手の人を殺さないでよ! あとこの辺りから魔物が出るわよ」


ポンコツ女神がうるさい。


「指図するな。それならば既にレオルドが片っ端から倒して行っている、出会すでくわす心配はない」


「指図するなとはなによ! あぁ、それでさっきからレオルドの姿が見えなかったのね」


かなりの数がいるようだが、所詮は魔物。1も100も変わらん。


「レオルド、1匹回せ」


「・・・・・・御意」


すると、森から牛ほどのサイズの猪型の魔物が突っ込んできた。

それを正面から片手で受け止め軽く捻り、首を折った。猪型の魔物は脱力し、大きな音を出しながら地面に倒れた


「あんた、なかなかやるじゃない。この私が選んだだけのことはあるわね!」


「魔族だぞ。今更魔物程度にまけるわけなかろう」


「あっそ。にしても、これ、通常より2回りほど大きいわ、きっと魔王出現の影響ね」


「丸一日なにも食べてないな。こいつで飯を作れ」


「ふっ、スーパー美少女天才女神マリア様の実力を見せてあげるわ!」


そういってどこからか調理器具を取り出す。


「おい、今どこから出した」


「うっさいわね、女神の力ってことにしときなさいよ」


淡々と料理を作り始めるマリア。その真剣な顔にはいつもの駄女神の雰囲気はなく、女神というにふさわしい雰囲気を醸し出していた。


料理ができるまで暇だ、レオルドと剣でも交合まじあわせるとするか。

近くの木から枝を1本とり硬化ハーデンをかける。


「レオルド、少し遊ぶぞ」


「御意」


レオルドもすでに準備が整っているようだった。


「いくぞ」


「・・・・・・」


「ぴぴっ」


鳥が鳴いたのと同時に地面を蹴り、上から斬りかかる。


レオルドは一歩引いて最小限の動きでかわし、流れるような動きで首元に剣を振り返してきた。


俺はそれをギリギリのところで棒を持ち直し、それを受け止めるが反動で10mほど飛ばされる。


「伊達に世界1の剣豪と言われていないな」


「・・・・・・」


今度は同時に地面を蹴り、お互いに音をも置き去りするほどの速さで、打ち合う。


がしかし、やはりレオルドが数瞬速い。こちらが3度振れば、もう既に5度は振っている。


音速を超えてもなお表情を一切崩さない。


踏み込みから数刻遅れて、けたたましい音が鳴り響く。その音はもはや木をぶつけ合うような鈍いものではなかった。


10分程打ち合いが続き、1度距離をとった。


「少し本気を出すぞ」


そう言って、身体強化魔法使う。


シンの周りに黒く薄いモヤが現れる


「望むところです」


言い終わると同時に地面を蹴った。 ドンっという鈍い音を立て地面にひびが入る。 強化によって剣速も力も上がった俺の攻撃を、レオルドは表情も一切崩さずに純粋な剣術と己の力のみで捌いていく。


俺が弱いわけではない。レオルドが異常なのだ。実際俺は、俺たちが生まれる前、世界最強の剣神と言われていたアーサーと互角である。レオルドはそれを瞬殺する。いかにばけものじみた存在かわかるだろう。


2分ほどつば迫り合いが続く。


「おーい、できたわよ」


料理が完成したようだ。 1度中断し、マリアの元へと向かった。


食欲をそそる香ばしい香りが漂ってくる。


「ふふん、美味しそうでしょ!」


この女神、自分の料理にかなり自信があるようだ。


「飯など養分が取れればそれで良い」


「まあまあ食べてみなってー」


さあ食べなさい! そして、あまりの美味しさに驚き、私なしじゃ生きられない身体になるわ!

なんでこんなに自信があるのかって? 何を隠そう、神界料理コンテストのグランプリといえばこの私だから! 小さい頃から料理させられてきた経験がこんなとこで活かされるなんて、、、 私の料理でガッチリ胃袋掴んでやるわ!


丁寧に調理された先の魔物の肉を口に運ぶ。


「・・・うまい」


衝撃が走り、自然と笑みがこぼれた。今まででもかなりいいものを食べていた自負があるが、こんなに旨いものは初めてだ。

このポンコツにこんな特技があったとは。


「でっしょー、ふふふ」


ニヤニヤしてとても満足そうな顔をしている。遺憾だが少し見直した。今度からはちゃんと名前で呼んでやろう。


ぐへへ、シンの胃袋GETー!!ちょろいわねー!はっは。問題はレオルドだけど、どうだろ?


シンの隣を見る・・・・・


無表情で次々と肉をかきこんでいた。物凄いスピードで。。(なんだこれ、旨い)


え、どっちなの?美味しいの?おいしくないの?


「ね、 ねえ、おいしい?」


「・・・・・・・・」(口には出さない)


・・・いやわかんねーっつーの! スーパー美少女天才女神マリア様を無視すんなし!






〜〜〜〜マリア日記〜〜〜〜


魔王討伐二日目


昨日は寝てない。あのバカ二人のせいで。なにが「夜目が効く」よ。こっちは疲れてるんだっつーの。

あ、あの二人魔族だったっぽい。勇者なのに魔族、、、。魔族にしてはなんか違和感あるんだよなあ。


お気に入りの棒無くした。料理前に隠しておいたのに。


イノシシ料理美味しそうに?食べてた。私に胃袋掴まれたとも知らずに。まあ、相変わらずイケメンだ。うざいけど。


PS.

料理食べさせた後から、あの二人が妙に優しい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


後日、某木の棒はレオルドがシンとの打ち合いに使っていたことがわかったそうです。


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