第1話 マリア区 ファルア王国
記念すべき本編第1話目です!
主要人物の女神マリアのキャラ設定にかなり苦労しました。
3人はファルア第4区域の首都ファルア王国の中心街に出た。
ここが首都か、首都と言うだけあってかなり栄えてる様子だ。人も多いし人々が幸せそうだな。なれない服装のせいか、かなり注目を浴びている。これはあまり人前に出ないレオルドにとってはきつかろう。ん、妙な気配、、、
「おい女神、魔王の元へ連れていけとっとと倒して帰るぞ」
シンは女神をせかす。
「その、、、あのーー。すいません何も知らないんですよね、、えへへ」
この女は何を言ってるんだ?
「何も知らないとはどう言うことだ」
マリアはもじもじしながら、
「えぇーと、そのー、あの、、、」
「早く答えろ」
俺が急かすとマリアは開き直り、
「仕方ないじゃない!!女神だってね、暇じゃねーんだっつーの!!大体、あんたが急かすからこっちは何も準備できてないんだっつーの!」
開いた口も塞がらんとはまさにこの事だな。自分の管理下の領地の問題を知らんとはポンコツもいいところだ。亜種から魔王になるまでほったらかしていたんだ、この世界ではどんな進化過程なのか知らんが、かなりの期間放っていたのは間違いないだろう。
「使えんな、貴様、やはり帰れ」
魔力を放出し凄むが、このバカには通じていないようで、
「ふん! 帰るわけないじゃない。わたしはあんた達のお世話しないといけないのよ」
「いらん」
「うっさい。黙ってついてきなさい!」
「、、、、、、」
無言の圧力をかける
「あーもー、わかったわよ!邪魔しないから連れて行って!」
「足手まといはいらんのだがな、貴様が喚くせいで人の注意が集まり、レオルドが辛そうだ。とりあえずここを離れて情報を集める、案内しろ」
「私に命令しないで!」
「元はといえば、貴様のズボラさが原因だろう」
「 うぐ、、、」
マリアを黙らせ人々の視線から逃れるようにその場を離れた。
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ファルア王国を出て、きれいに整備された道をゆく
騒ぎ散らしていたマリアも落ち着き・・・・・・
「おい、どこへ向かうつもりだ」
前を歩いているマリアに問う
「王国から北西の方角にあるマラガと言う場所よ。あと、おいじゃなくてマリア様と呼びなさい!」
数歩先を歩くマリアは手に木の枝を持ち童のように振り回し、楽しそうにしている。さっきまであんなに騒いでいたのに。ちょろいのだろう。
「おい、なぜ転移を使わない。歩くより早いだろう」
「あぁ、それね、私も疑問なんだけど、私の区域は、転移は使っちゃダメってことになってるの、冒険者ギルドが決めてるみたい。まあ、使える人はほとんどいないんだけどね。てか、名前呼べ!」
このバカにはわかっていないようだが、なるほど、人間の世界で転移が当たり前になれば護衛の必要がなくなり、冒険者たちの仕事が減ってしまうと言うのが大きな理由だろう。さっきから、商人とその護衛らしき者達をよく見る。転移は俺の世界でも使える者が限られている。俺は当たり前に使えるが、隣を歩いているレオルドは転移はおろか魔術さえ使えぬ。転移はかなりレベルの高いものなのだ
「マリア、この世界について、色々と聞きたいことがある」
マリアはその言葉を聞いて、ニヤニヤしながら近づき、飛びついてきた。
「なになに! なんでも聞いて! ふふーん、やっぱり私がいないとダメなのね」
きゃああああ。抱きついちゃった!ほら、シンこのスーパー美少女女神マリア様が抱きついてあげてるんだから、デレなさ、、、あれ?なんだろうこの感じ、懐かしいーーーって、痛っ!?
「離れろ気持ち悪い」
ガチンッ
抱きついてきたマリアに鉄拳を叩き込む。ん、なんださっきの違和感。妙に落ち着くような-−−
さておき、女は頬を膨らましてこちらを見ている。
「いったーい!! 女神さまになんて事するのよ!!」
「いいから答えろ」
「よくないっつーの!」
かまわず続ける
「この世界と元の世界で勝手が違うことはないか」
「ちょっ、はなしおわってないんだけど!」
しつこいマリアと俺の間にレオルドが入る。
「・・・・・・」
「何よあんた! どきなさい」
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レオルドがマリアを落ち着かせ質問に戻る
だんだんと日が暮れてきた
「で、この世界と元の世界の違いね。まあ、基本的に同じよ魔王討伐に影響が出るほどの違いはないと思うわ」
まだ、少し根に持っているようだが俺には関係ない。すぐ調子は戻るだろう
「そうか、魔物なんかは出るのか」
「ええ、でも、この辺りは王国にちかいから滅多にでないわ。王国兵たちも見回ってるし」
先ほどのように手に木の棒を持ちクルクルと回しながら答える。
「どの程度の強さなのか確かめておく必要があるな」
元の世界にも魔物は存在していたが、特に害はなかった。そもそも魔物というものは知能が低い魔力体の総称である。わかりやすくいえば、バカは魔物で賢いのが魔族ということになる。それゆえ、魔族との間には絶対的な力の差があり、魔物が魔族に勝つということはありえない。ゴブリン族で例えるならば、キングゴブリン以上が魔族である。
「あとどのくらいで着くのだ」
「二日はかかるわ、暗くなってきたし今日は野宿しましょう」
「問題ない、魔族は夜目がきく」
「シン、魔族だったの?それにしては何か違和感が、、、」
「そうだ。なんだ、何かあるならはっきりといえ」
「いえ、なんでもないわ。先を急ぎましょう」
さっき抱きしめたときの違和感はなんだったのかしら。魔族にはない神々特有の、しかもなんだか懐かしい魔力ーーー
進んでいくうちに太陽は完全に地平線へと沈み、代わりに月明かりが夜道を照らす。今夜は満月だ。
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「・・・・レオルド」
シンは小声で連れてきた男の名を呼ぶ。
名を呼ばれたレオルドがコクリとうなずく。
次の瞬間。レオルドが消え。
ボトッ。
月灯の消えた暗い夜の静寂に何かが落ちる音だけ響いた。
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