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第28話 人界サンペラにて〜アーサー〜

 「おい!止まれ!!!ぐはああ!!」

 「やめろああああ!!」


 城の中は阿鼻叫喚の地獄絵となっていた。


 「ははは!! 女神である私にタテついた罰よ!!その身を持ってつぐなえええいい!!!」

 

 そう叫ぶのはもちろんマリアだ。この世界に女神は1人しかいないからな。


 「ぎゃはっっははは!! さあどんどんやってしまいなさい! シン!」

 「お前ここにきた目的忘れてるだろ」

 「え? なにが?」

 「はぁ。ついたぞ。あそこが現王アーサーのいる所だ。」


 いかつい豪華な扉を蹴り開けて王の間へとズカズカと入っていった。護衛が1人もいない。


 「アーサーよ!! 黙って今から言うことを聞きなさい!!! これからこの世界は滅びるわ! てことで…なんだっけ? てか…イケメン……?」

 「はぁ、お前の世界に人間も魔族も転移すると言う話だっただろ。それより、ひさしいな、アーサーよ」


 軽い挨拶にいかにもな椅子に座った若い王が声を発する。


 「ははは、誰かと思えばシンじゃないか。えらく小さくなったものだな」


 え……シンたちより長く生きてるって聞いてたからもっとお爺さんかと思ってたけど……若い爽やかイケメンじゃないのよ!? 


 「ああ、少しばかり配下の実験に付き合ってやっている」

 「ふーん? で? 今日はなにしにきたのかな。現魔皇モーリス・シン」


 言葉が終わると同時にそばにあった剣を右手で飛ばして来た。弾丸をも超えるその投擲は、真っ直ぐに吸い込まれるようにしてマリアの頭に直撃した。しかし、シンが魔法障壁を貼っているため、もちろん無事だ。


 「ひっ?!!」

 普通いきなり剣なんか投げる!? 女神よ!!? なにこの人……怖い!!!


 「やめておけ」

 「ははは、小さくなった今ならやれるかもなんて思ってたけど、それはないみたいだね。相変わらずの硬さだ。僕が全力を持ってしても3枚しか破れなかっただけはある。で、そこの君? 女神とか言ったかな? 随分と荒々しい女神だねぇ。君の声はここまで聞こえてたよ」


 アーサーはその鋭い目でマリアを睨み付ける。 


 「わ、私じゃないわよ!! 全部シンがやったんだから!! 私は関係ないわよ! そもそもどこに女神に剣を投げつけるバカがいるんだ!!」


 アーサーがシンの障壁を破れなかったと聞いて強気に出るマリア。 


 「ここにいるけどね、なんなら次は僕が直接君の首を刈り取ってあげようか?」

 「ふんっ!! やれるもんならやってみなさいよ!」


 マリアの様子をぴったりと説明した言葉がある。『虎の威を借る狐』だ。


 「もうその辺にしておけ。本題に入るがアーサー先ほども言った通りこの世界は滅ぶらしい。そこでだ。人間と魔族で同盟を結び、共にこいつの世界へ転移すると言うことを考えている。率直に言おう。同盟を結べ、これは交渉ではない。命令だ」

 「随分と傲慢だねぇ。いきなり現れたかと思えばガキの姿をしていて、そして訳のわからないことを言う頭のおかしな女と、小さな子供まで連れて来て。」

 「訳のわからない女とは私のことか!!」

 「眉唾物だよね、いきなり現れて神だのなんだのと」

 

 どうやら信じていないらしい。


 「信じていないようだな。確かにこいつは頭のおかしな女だが女神であることは本当のことだ。お前も聞いたことがあるだろう。先代魔皇、俺の父に当たる男が神を退けたと言う話を」


 私をばかにしてんのか!?


 「ああ、聞いたことはある。でもそれは伝説上の話だろ。何百年続いて来たと思っているんだい? 魔族と人間の争いが。それが君の一存で同盟を結んだとして、争いがなくなるとでも?」


 アーサーがシンを煽る。


 「最近地震が多いのはわかっているだろう。あと勘違いしているようだが、これは俺の厚意であることを忘れるなよ。別に人間如きこの世界から消し飛ばすのはわけない。しかし俺とて何かを殺すのは気が引ける。だから、わざわざお前たち人間も共に生存できる道を掲示してやっているのだ」

 

 アーサーが深いため息をつき、こちらを見据える。王たる威厳をいやがおうにも感じさせるそのたたずまいに、マリアはゴクリと息を飲んだ。


 「わかった。ま、確かに君の厚意で僕らが生かされているのは確かだ。同盟を結ぼう。悪かったね、女神さん。試すような真似をして」

 「ふんっ。許すもんですか!!」


 「ははは、これは手厳しいことを言われてしまったな。これからお世話になると言うのに、女神さんに嫌われれば僕はどうしたらいいのかわからなくなるなぁ」

 

 冗談めかしくアーサーは言葉を発する。


 「では、急いで人間をまとめよ。遅くても1週間いないには転移し始めるぞ」

 

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