第23話 魔界オメガへ
「と言うことだ。マリア、俺の世界にいくぞ」
「えぇ、まあ、そんなに連れていきたいって言うんなら仕方ないわよね」
「そこまでいってないだろ」
そんな会話をしながらマリアと他2人はイリア神殿からマリア神殿へと戻ってきた。
仕事部屋の扉を開けるとエリーがマリアの仕事机について仕事をしていた。
「エリー、戻ったわよー」
マリアの声に驚き勢いよく立ち上がる。
「え?! もう帰ってきたんですか?」
「ええ! シンがぱぱっと倒したわ」
「え・・・」
イリアと同じく常識人なエリーもまた同じくマリアの言うことが理解できないらしく、目をパチパチさせてフリーズしている。
「もう、また説明しないといけないの?」
そう言いながらもマリアはイリア区に行ってからのことを1からエリーに説明した。
「信じられません・・・虚無空間越えの魔王を1日で・・・神の常識が変わるレベルですよ。」
「ふーんそうなんだ。あ、私シンとシンの世界行ってくるから!」
ふーんそうなんだで終わらせていい話なのか? 常識が変わると言うのはよほどのことだろ。
「はあああ!!? なんでですか!」
仕事を任せっきりにされた挙句に帰ってきたらまたすぐどこかに行くと言い出したマリアに、エリーはご立腹のようだ。
「なんでって、シンが私を求めてるからよ!!」
「おい、誤解を招くような言い方をするな」
「シン様が・・・マリア様を・・・」
早速誤解している。
「そうよ!! だから仕方ないの! あんな情熱的に求められたら私も断れなかった・・・」
「いい加減にしないと神界ごと消すぞ」
「えっ、えっ。そんなそぶりを一切感じさせなかったシン様が・・・一体何があったと言うのですか。」
「いい加減にしろ。話を改竄するな」
「「えーー」」
相変わらず切り替えの早い奴らだな。さっきまで腹を立てていたと言うのに。
「別にお前でなくともよかったのだぞ」
「またまたー、照れかくすな!」
腰をおり、下から見上げるように上目遣いで俺を見る。
「『照れかくすな』とはなんだ」
ーーーウケるんだけど・・・シンがこんなコミカルに会話してるなんて
いつもは黙っているレオルドが念話を飛ばしてきた。
ーーー黙れ
「シン様とマリア様はお熱いのですね!」
「お前も黙れ」
「なんだかんだ言ってやっぱり私のこと好きなのよね〜シンったら!」
「そろそろ黙らないと殺す」
ゆらりと魔力が体から溢れ出した。
「はい。すいませんでした。」
ふん。最初からこうしておけばよかったな。
「あの、なんでマリア様を連れていくのですか?」
真面目になったか。
「以前俺の世界には神がいないと言っただろう。それで様子を確認してもらうつもりだ」
「そんなこと言いましたっけ?」
ーーーシン。神がいなくなったらどうなるかは聞いてたけど、神がいないとは言ってないよ
「言った」
ーーー何強がってんだよ
クスクスと笑っている声が聞こえる気がする。
「んー。わかりました。だったら、いいですよ。マリア様を連れて行って。その間仕事はエリーがしておきますから」
「え?! いいの?! ありがとうエリー!」
マリアがエリーを抱きしめる。
「ちょっと・・・苦しいです。」
エリーも満更でもない感じだ。本当に仲がいいんだな。
「今から行く」
「え!? もう行くの? 早すぎんでしょ。ついさっき魔王と戦ったばかりなのに…」
「戦ったうちに入らん」
「まぁいいわ! じゃーそういう事だから、エリー長くても100年以内には帰ってくるわ!」
「100年…ですか。分かりました。」
マリアとレオルドがシンの肩を掴む。
「転移」
シンの耳につけてある勾玉が淡く光る。




