第17話 正義の反対〜マリア神殿にて〜
最近始まったドラクエタクトにハマってるんですよ。
メリージャへと向かったが魔王がいなかったため神殿へと戻ってきた4人。イリアから連絡があり、ここにいた魔王が別の世界へと向かった可能性が浮上。勇者シン等を引連れ、マリアはイリア神殿へと向かおうとしていた。
「イリア! 今から行くわ。ちょうど勇者もいるし」
「大丈夫なの? そっちの世界は女神が不在になるわよ、、、」
「大丈夫大丈夫! エリーがいるから!」
「エリーって、あなたのとこの天使よね? まぁいいわ。今回は急すぎて何も準備できてないから、少しでも時間を稼いで。そしたら私があとから応援に行くから。」
「稼ぐんじゃなくて、討伐するわよ?」
「……え?」
イリア様も同じ反応してる。やっぱりマリア様がおかしいだけだったんだ。よかったエリーは正常で。
「こっちの勇者、この前魔王が発生した時そいつで遊んでたから、大丈夫よ!」
「えっと、、、。色々言いたいことはあるけど、わかったわ。お願い。」
それで一旦通信を切った。マリアの倍程の経験があるため、魔王の強さと危険さを知っているイリアは、マリアのいうことが理解できなかったようだ。
マリアが真剣な顔でこちらをむく。いつものマリアを知っている者からすれば違和感しか無い。しかし、マリアは俗に『美少女』と言われるような顔をしているので、黙っていれば、、、、というやつである。
「今からイリア神殿に行くわ。そしてそのままイリア領におりて魔王討伐よ!」
いつもの表情に戻った。さっきの表情はどこ行った?
「いやー、世界線の傷が小さくて助かったわー。また仕事が増えるとこだった」
ああ、そういうことか。女神らしい姿を見れるかと期待したが綺麗に裏切られたな。
「マリア、その、なんだ、世界線を超え、虚無の空間とやらを通り、また世界線を超えるというのはどれほどのレベルのものなのだ? いまいちピンとこぬ」
「んー、例えばー・・・。そうねーー自主規制ーー」
一瞬場が静まりかえった。『マリアはなんで黙るの?』という顔をしている。
「その例えでわかればたいしたものだぞ」
「マリア様・・・下品。」
エリーが言った。
「とにかくありえないの! けどまあ、あんたくらい魔力があってあのクソ硬い魔法障壁があれば自力で世界線こじ開けて、虚無の空間渡って、また世界線ブチ破って異世界にいく事くらいできると思うわ。あんたありえないから。」
「言葉使いに気を付けろアホ女神」
「だぁぁぁれぇぇぇがアホ女神よ!!!!」
机をバンバン叩くマリア。
「お前だ」
「なっ?!」
長くなりそうだと思ったのか、エリーが口を挟んだ。
「マリア様、急いで行かないとまずいんじゃ無いですか・・・? 世界線を破るなんて事、普通の魔王じゃできませんし。今回の魔王はかなり危険だと思います。下手したら世界を破壊されかねません。」
不安そうな顔をしながらエリーがいう。その言葉でマリアも平常心に戻る。
「大丈夫よ、こいつらムカつくけど強いし。」
そのムカつく原因は自分で作り出している事に気づけ。
「自分から原因を作り出しているくせによく言うな」
「なんですと!!」
椅子から立ち上がりガルル。と犬のように唸るマリア。
またしても危険?を察知したエリーが仲裁に入る。
「マリア様! 落ち着いてください。シン様もあまりマリア様を煽らないでください。」
「まあいいだろう。子供からそんな顔で頼まれているものを断るのはいい気分では無い」
あぁ、こいつ地雷踏んだわ。
エリーの方を向くと案の定ぷくっと膨れていた。
「子供じゃ無いです!!!」
そして何故か私がぽこぽこと殴られる。何故?!
「なんで?! ま、まあまあ、、さ、行こっか? ね? ちょっ、、、痛い痛い!! 」
マリアがエリーの頭を撫でる。
「むー。」
目に涙が溜まって今にも溢れ出しそうだ。きっとシンに言われたから何かやり返したいけど、やり返すのは怖いからできないことからの悔しさなんだろうな〜
「もう、さっさといくわよ! 後エリーに『子供』は禁句だから!」
「わかった。早くいくぞ」
え? エリーの事になるとそんなに素直に聞くのね? ……これって差別じゃないの!? そう思いながら黙ってシンの方を見ていると。
「どうした? 珍妙な顔して」
「誰が珍妙な顔よ!」
床をドンドンと踏み鳴らす。
「いいからとっとと行くぞ」
むすっとしているが、いつものことだ。あっちに付く頃には元に戻っているだろう。
「はいはい、わかってるわよ」
聞いたところかなり危険な事態らしいが、この女神はそれを理解しているのか?
まあいい。それより。
そもそも何故魔王が脅威なのだ? なぜ全ての魔王を敵視するのだ? 話が通じるやつもいるだろう。誰も殺そうとしていないやつもいるだろう。現に俺がそうだ。そして俺の世界にいる連中もそうだ。
しかし、襲われれば黙っておく訳にも行かない。俺の世界の魔族は侵攻しようとはしていない。ただ大切な家族、友人を守ろうとしているだけだ。
なぜ人間や神は魔王や魔族を敵視する。何故だ。なぜ神は魔族を殺そうとする。手を取り合い共存したいと願うもの達もいるだろう。
魔王だから殺すのか? 違うだろう。誰かに危害を加えようとせぬ者は殺すべきではないはずだ。殺していいわけが無いはずだ。
だが、こいつら神も正義を全うしていると思いこんでいる。魔族もまた、自分の正義を全うしていると思い込んでいる。『正義の反対はまた別の正義』か。何故分かり合えぬ……。
「どうしたの? 難しい顔して立ち止まって」
「なんでもない。行くぞ」
「指図すんなっつーの。私は女神だぞ」
「女神ならば多少の役にもたて」
「はあ?!!」
そういうやりとりがありながらも、危機感のないマリアと、勇者の2人はエリーを残しイリア神殿へと転移門で移動した。




