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第12話 帰還

ヴリトラ編終了です。

ヴリトラを消滅させ、雲がはれ、大地が元の色に戻っていく。そんな最中1人だけ今まで行ってきた数々の言動に絶望し、白くなっている人物がいた。


まずいわ、まずいわ、まずいわ。思えば、それっぽいこと言ってた気がしなくもないわ。ただの嘘だと思ってたけど。


「どうしたマリア」


ビクッ!


シンから声をかけられ過剰に反応する。


「な、何?!」


 マリアの様子から察したのか、シンは。


「言っておくが、俺はむやみに人を殺しはしない」


どの面下げて言うてんねん! あ、いや、確かに。確かにそうかもしれない。殺したり、殺そうとしたのって、全員盗賊だったし。いやでも、、、


「お前の無礼な態度はなかなか新鮮だったぞ」


ねぇこれアウトじゃないの?! 違うの!? セーフなの? 完全に無礼だと思われてんじゃん。私ここで自分が召喚した勇者に殺されて終わるの?!


「そ、そう? なら良かったけど」


とりあえず強がるマリア。


「あぁ、だから安心しろ殺すことは無い」


助かっ、た?


「これで帰れるな。早く俺たちを元の世界に戻せ」


ああ、そっか。帰りたかったんだもんね。寂しくなるな。


「わかったわ」


 マリアが詠唱すると地面に魔法陣が現れ、3人は神界へと戻った。

これで、勇者シンと、側近レオルド、女神マリアの魔王討伐の旅は終わった。3人はマリア神殿へと戻ってきた。


 久しぶりに帰ってきたマリアを天使エリーは出迎える

 「お帰りなさいませ。マリア様。それに勇者の方々」

 

 こちらにぺこっとお辞儀をする。


 マリアは「ただいま〜」と一言だけ残し、フラフラと仕事部屋のソファへと向かった。そしてソファにダイブした。


 「えっと、マリア様があんな様子ですので、私が接待いたします。こちらにおこしください」


 エリーは来賓用のスペースへと案内する。


 「早く帰りたいのだが」


 「マリア様があんなご様子ですので、、、もうしばらくお待ちください」


 あいつは何であんなに疲れているんだ。ただついてきただけではないか? とシンは心の中で思った。


 「仕方ない」

 「あいつはいつもあーなのか?」


 シンは暇をつぶすためにエリーと話す。


 「はい、基本的にはあんな感じです。」


 エリーはそれにお茶を用意しながら答える


 「よくそれで女神が務まるな」


 「雑務は私がこなしていますので、なんとか。」


 と、苦笑いをこぼす。お茶をこちらへ運び、俺とレオルドの手前に一つずつ置く。


 「もういっそ、お前の方が女神でいいのではないか?」


 お茶を手に取り冗談を言う。


 「そんなことにはいきませんよ。女神は大天使ミカエル様が直接指名してるんですから。」


 お盆を抱え、机を挟んだ先に立ったまま冗談に答える。


 「なるほど、その大天使ミカエルと言う奴も相当なアホのようだな」


 ムッとした表情をするエリー。その表情も、感情が表に出るところもマリアにそっくりだ。


 「そんなことはありません。私が天使としてここにやってきた頃はマリア様はまだ立派にお仕事なされていました。だから最初は立派な女神だったんです。」


 「何かきっかけがあったのか?」


 「はい、私がお仕えしてから100年ほど立った時に、1枚だけ書類の代筆を頼まれ。」


 100年か、その単位の時間が簡単に出せると言うことは、神族もかなり寿命が長いのだろうな


 「なるほど、それでお前の優秀さに気付いたと言うわけか」


 「そんなことはないですよ。」


 口ではそう言っているが、満更でもない顔をしている。


 「あ、自己紹介遅れました。私、マリア様の側仕えの天使のエリーと申します。」


 ペコリと頭を下げる。


 「ああ。確かにそうだったな。こことは別の世界で魔王をしているモーリス・シンだ。そしてこっちがレオルドだ」


 召喚された際、すぐに下界へと降りたため、挨拶がまだだった。


 「魔王!? 魔王なのですか? 世界を征服したいなんて、、、考えて、、、るんですか?」


 驚いた表情をする。魔王を倒すために召喚した勇者が実は別の世界の魔王だったのだから、無理はないだろう。


 「なんだ? お前も知らなかったのか? そう言うことは特に考えていない」


 「はい、慌てていたもので。と言うことは、そちらの世界では人と魔族が共存しているのですか?」


 不思議そうに首を傾げながら聞いてくる。魔王に征服欲がないことがそんなに珍しいものなのか?


 「いや、対立しているな」


 「え?」


 表情がコロコロと変わる。マリアにそっくりだな


 「何か変なのか?」


 「いえ、基本的に神は魔族を排除しようといたしますので。対立しているとなるとなおさら。」


 神か、俺たちの世界にもいるのか? 


 「神など一度も見たことがないな」


 「え? 人間と争っているのに一度もですか?」


 神が魔族を消そうとしないことがそんなにおかしなことなのか?


 「俺は100年以上は生きているが見たことがない」


 「そうなんですか、あなたの世界の話を教えていただけますか?」


 「マリアが目を覚ますまでならな」


 「ありがとうございます」


 ニコッと笑う。まるで子供のような笑顔だ。


 「俺たちの世界は魔族の国『魔界オメガ』と人間の国『人界サンペラ』で完全に対立している。」


 コクコクと頷いている。


 「俺は魔界オメガの現魔皇だ。人界サンペラの王は剣神アーサー」


 「え、、、魔族の王? 土地を占める割合は?」


 「ああ、そうだ。魔界が6割だな」


 その勢力は今も拡大が続いている。


 「そう、なんですか。」


 しばらく話していると、マリアがおきた。


 「あ、マリア様おはようございます。」


 エリーがマリアの元へと駆け寄る。こんないい部下を持ってあいつは幸せだな。


 「ふぁあ。よく寝た」


 グーっと背伸びをするマリア。


 「マリア、何か忘れてないか」


 俺は椅子から立ち上がりマリアに問う


 「あ! そうだった。」 


 マリアはソファから起き上がり元の世界へ帰るを魔法陣をかき始めた。

 

「今回は助かったわ」


 書き終わりこちらに話しかける。


「あぁ、悪くない体験だった」


そしてシンとレオルドがその中心にたつ。マリアが詠唱を唱え、転移が完了する間近、


「あぁ、言い忘れていたが、多分近いうちにまた魔王が現れるだろうな。あれは確実に魔族が絡んでいた」


「あ、私も言い忘れてたけど、こっちの1年があっちの1日だから、戻ったら召喚される前の状態とほぼおなじだと思うわ。全員があんたみたいな速さで動いてたら話は別だけど」


 そうか、こっちの1日が大体10秒として、あちらでは1分ほど姿を消したことになるな。


 魔法陣から白い光が立ち込める。その光がシンたちの元に集まり、光が消えた頃にはシンたちの姿はなかった。

御覧くださりありがとうございました。


(1章も終わったことですし、下にちょっとスクロールして頂いて、空の星を青に染めてもらえればな、なんて思ってます。お願いします!)


一章が終わるのがあまりにも早すぎたので第二章からは伸ばし伸ばしで長めに話を作ろうかなと思います。

一章完結記念で、特別編を挟もうと思うので、お楽しみに! 一万文字以上書くつもりです。

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