共鳴リングと強制メダル
それからまた数日して、ジュンがブルモンの飼育に少し慣れてきた頃、父さんがモンスター小屋にやってきて両手に持っていたものを見せてきた。
「ジュン、いいものをやろう。ちょうどさっき、金物屋に修理に出していたものが、返ってきたんだ」
「これは?」
「これは、共鳴リングと強制メダルだ。こっちの共鳴リングは手首や首につけられるようになっていて、これを使うと、前よりもモンスターと心を通わせることができるようになる。だが、野生のモンスターに使っても効果がないからな。あくまで、卵から孵化などしてある程度信頼関係があるモンスターのみ使用可能だ」
「そうなんだ。それで、そっちは?」
「こっちは強制メダルと言って、これは野生のモンスターを手なずけたい時に野生のモンスターに当てて使うんだ。野生モンスターに当てると、中から麻痺成分が辺りに飛散してモンスターを強制的に拘束させることができる。その間はモンスターが弱っているため、共鳴リングで無理やり服従させることができる。ただし、こちらは一度使うと効果がなくなってしまうのと、無理やり従わせるから信頼関係は希薄だ。言うことを聞かせられるようになるのにとても時間がかかるし、世話をするのはとても大変になる。だからどうしても欲しいモンスターがいる時だけ、よく考えて使うんだぞ」
「はーい。わかったよ」
言うと、父さんは僕の左手首に共鳴リングを調節して付けてくれた。
「こっちの強制メダルは、自分の部屋になくさないように取っておきなさい。父さんはこの強制メダルがあまり好きじゃなくて、ブリーダーの頃もほとんど使ったことがなかったんだ」
「え、どうして嫌いだったの?」
「単純に無理やり従わせることが好きじゃなかったからな。それに、効率も悪いしな。周りは強い野生のモンスターを求めて、あちこち強制メダルで強制的に従わせたりもしてたが、結局、言うことを聞いてくれなくて、泣く泣く逃がしている人が大半だったよ」
「ふーん……」
強制メダルは、あまり使い勝手がよさそうじゃないな、とジュンは思った。
「けどな、言うことを聞かないからといって、逃がすのは、もっと悪いことだと父さんは思うな」
「それは、そうだね」
確かにね。
ジュンは父さんから『共鳴リング』と『強制メダル×1』をもらった。