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にこいちさんこいち

 翌朝、まずは死亡した者達の鎮魂(ちんこん)を祈る事とした。マヤとキューブの三人も一緒だ。初めて顔を見せたボトムと呼ばれる三人目のキューブは無口な女の子で、内戦時も無投票を貫き、即時停戦を唱えていたそうだ。こちらも見た目は園児で、ローブのフードを目深に被っている。キューブが全員死亡して権限を取り戻した島のブレインが惑星管理機能復旧の為に復活させた三人の内の一人なので、彼女も建設的な性格と考えて間違いなかろう。


 まずはキュービック六人の墓へ。死亡者の内三人が復活しており、生まれ変わった当人が(そば)にいるのだが、それでも惑星管理に携わった彼らが職務中に死亡したのは間違いない。目の前にあるこの墓は本物なのだ。帝国の夜が明けなくなってから百年以上経っているから、少なくとも彼らはその間ずっと戦っていた事になる。ヒコザは深々と頭を下げた。


 墓地は広く墓の数は数十を数えた。彼らは代々有機生成して復活しており、精神だけは受け継いでいると言っていた。フォースの力を得て仮に寿命が無限と考えても、何かしら命を落とすこともあろう。惑星の管理を任せうる人材の希少性は高い。永遠の命と復活が必要な措置なのは分かるが、数千年は流石に長かろう。


「何というか、君たちをここに縛っているのが僕達フォースなんだね。僕らが永劫の定めを背負わせてしまった。本当に申し訳ない」


 三人のキューブ達は互いに顔を見合わせ、困った顔をした。すぐにライトがついと前に出て両手を腰に当てて上を向いた。


「ありがとう。唯僕らとしては、その話はもう何度も繰り返していてね。これはこれで良いだろうと結論が出ているんだ。そう、何千回も議論したよ。辞職を願い出る相手も居なかったから、勝手に辞めたって良いだろうとか、実際に辞めたりしてね。結果皆戻って来るのだけど」

「何故戻ってくるんだい」

「下界で出来た友達はあまり寿命が長くないんだ。だから寂しくなって又ここに戻ってくるって訳」


 次に向かったのは収容された海賊船、ビエンの光号の乗組員の墓地だ。

 総勢四十四名。全員病死が確認されている。遺体は火葬され、共同の碑が建てられている。全員が国際手配中の犯罪者と分かっているが、キューブの計らいで丁重に弔われている。彼らが異界の魂の輪に入れず永遠の暗黒を彷徨う事の無いよう、そして次の生では真っ当な道を歩くよう願った。



 +++



「やぁ、これはいいね」


 パワードスーツに搭乗したヒコザは目を輝かせていた。


「テララにもこういうのは有ったけど、ここまで乗りやすくは無かったよ」


 銀の島での艦船の修理は専ら修繕槽と呼ばれるプールに船ごと漬けて、含まれたナノチップと各種元素で元の形状に再成形すると言った手法で行われており、ブレインがお休み中の現在、その方法は使用する事が出来ない。しかし無限に稼働する前提の浮遊島である。あらゆる設備は整っていた。


 ヒコザが提案したのは艦船の残骸から使用できる部分を選り分け、そのスクラップから一隻ずつ組み立てよう、というものだった。据え付けの汎用AIで一般形の修復ドックは使用でき、クレーンで本体や艤装(ぎそう)を支える事が出来たが、そこで解体箇所を持ち上げ引っ張る役割が必要だった。パワードスーツの出番である。テララ製に比べ本体が小さく、手足が大きいそれは、パワーの割に取り回しが良かったので、ヒコザは大いに気に入った。これは関節がやたら多く、その構成は重機より医療器械に似ていた。何より二足歩行が厨二心をそそるのである。である!


「硫化タンクげっと!モジュレーターも一緒に外しておこう。奥はバラストか?加圧室は空いてたっけ」

「三番が九時に空くわよ。タンクは六番ローリーにお願い」


 マヤはオペ室でパーツの整理と再使用の手筈を整えている。隣ではレフトとボトムが対面CADと相談して艦船の再設計を行っていた。



 +++



「どうしてこうなった」


 裏の小川から滾々(こんこん)と湧き出る清水と鉱物資源。昨日まではせせらぎだったそれはもはや河川であり、岸辺には打ち上げられた色とりどりの岩塊がうず高く積まれている。

 こちらもパワードスーツを着たライトがせっせとその資源の仕訳をしていた。少しでも動きが止まると女神さまに激を飛ばされるので必死だ。


「次はボーキサイドじゃ。このままでは使えんからAIかヒコザに確認するが良いぞ。さぁ早う収めるが良い」


 人使いの荒い屋島姫であった。

テララの船と違ってキューブの船は頑丈です。

特に内部機構の強度は比較にならず、少々の衝撃は問題になりません。

今回は係留中に破壊された艦船が多く損傷度も大きいのですが、宇宙空間や海にパーツが散乱することなくドックに残っていたので、再利用が可能でした。

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