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トンボめがねの超絶美少女  作者: にごらせ生茶
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男子学生たちの僥倖(ぎょうこう)①

 正門前の入口よりもかなり学食に近い位置に校舎に入れる連絡通路があるので、そちらの方に足を向けぶらぶらと歩き始めた。


 すると篤郎の斜め前を歩いてきていた男子学生たちが目についた。見覚えがあるな…確か、同じ学年の別学部の、と思った。名前は知らない。その男子学生たちはおっ! と驚いたような顔をして、篤郎の後ろの方に焦点を合わせ目で追い始めた。


 「…おい! あれ見ろ! 里村だっ! ものすごい勢いでこっちに走ってくるぞ!」


 男子学生たちはあの里村か? とあたふたしだし、目を憧れでキラキラさせながら食い入るように眺め始めた。


 篤郎は男子学生たちの会話も、里村彩が走ってくる足音も聞こえてはいたが、後ろを振り返ることはしなかった。


 次第に走る足音が大きく聞こえてきた。


 「…お、おーいっ、さ、里村っ! おまえこんなに暑いのに、ほんとにいつも元気だなっ! そんなに走ってどこへ行くんだ?」


 一人が里村彩のことを知っているらしく、声をかけた。


 里村彩は少しスピードを落としながらその男子学生の声に気づき、そちらを見た。


 「…あっ! ハロー! 午後の講義の最高の席を取るべく急いでいるんだよっ! それじゃあ、あんたたちも急がないと何も食べられなくなっちゃうよん♪ ではね~!」


と言ったか言わないかのうちに颯爽と走り去っていった。超猫背モードにして寂れた感じにオーラを消していた篤朗の存在には男子学生に声をかけられたので気付かなかったらしい。


 しばらく学生たちは何も言わずに里村彩が快速で走り去っていくのを眺めていた。


 「ちょっと、彩~っ!」


 里村彩が颯爽と走り去って間もなく、学食入口に出てきた宮越あおいが、彩はどこだ?とキョロキョロ見回して呼んでいた。いないと分かると、こちらに向かって走ってきた。食後に走るのがきついらしい宮越あおいは息を弾ませてちょっとフラフラしている。


 男子学生たちがあおいの存在を確認すると急に色めき立ったのが分かった。


 「…よ、ようっ! み、宮越…。お前も講義の席とりか? さ、里村はもうとっくに走り去って行ったぞ…」


 あおいが近くを通過すると、少し緊張気味に彩に声をかけたのと同じ学生が声をかけた。


 「あっ、君は…! 久しぶり~! これから学食? 購買? もう厳しいかもしれないよ、急いだ方が良いかも。今ここを彩がものすごい勢いで駆け抜けたでしょ? やっぱり通った? はぁ~、彩が待ってくれてないし、速すぎてもう影も形もないよ…。じゃあね~♪」


 「ああ、ほんとに今すごいスピードで走っていったぞ…じ、じゃあ…」


 あおいがそう困ったように笑いかけて手を振ると男子学生は、ぎこちなく返事をした。


 あおいが走り去っていくのを男子学生たちは喉を鳴らし、じっと見つめていた。


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