寝坊して午前休になりました③
「どこって家で寝てたよっ、俺の靴もあったじゃん? 外に出ていないってわからなかった?」
「えっ? 家にいた? あたしたちがあんたの靴がいくつあるかなんて把握しているわけないじゃん、あんたがいないからもう先に行ったのかと思って、もうひとつのテレビ、ソファのある部屋のアコーディオンカーテンも開けて覗き込んでみたけれどいなかったんじゃん。それで慌てて出てきたんだけど♪」
彩は篤郎の言い分に反論しながらもまったく機嫌が悪い感じではなかった。何やら口に含んでいるようでもごもごしている。
「…まぁ…た、確かにそのとおりだ…。俺の靴のことなんか分かるはずないか…。お前らに見せたことのない部屋で寝ていたし、ソファの下にもぐりこんでいたな確かに…」
篤郎は彩たちを責められるような状況になかったなと考え直した。里村彩、宮越あおい、鈴置彩芽の見たことのない部屋で寝ていたし、どうやら、ソファに寝ていたならともかく、足のついたソファの下に転がり落ちてさらに体の半分はソファの下に潜り込んでいたために3人はソファの背もたれ側からのパッと見で篤郎の姿が見つけられず、もうすでに家を出ていると思ったらしい。
「それにしてもあんたの家、思っていたよりもずっと広いね~8畳間、2つなのかと思っていたけど、8畳間、3つかよ。いや待てよ…それにテレビ、ソファの部屋にもアコーディオンカーテンで区切られた空間が見受けられたな…4部屋なの? それにキッチンも見たところ相当に広い…キッチンだけで8畳くらいはあるんじゃない? …そして、昨日勝手に使わせてもらった時、見て驚いたけど、洗面所&脱衣所も8畳くらいはあったな、一体あんたの家どれだけ広いの? …8畳間の部屋が4つ…キッチン、洗面所&脱衣所も入れれば8畳間6部屋分だよ…大学生の一人暮らしにはとんでもなく広すぎる謎の間取りだよこれは…。シェアハウスに誰も入居してこなくて1人で住んでるとか?
もはや一人ものの住む間取りでは全くないよ、そしてあの、あたしらが使わせてもらった、結論から言うとあの“怪しい感じのベッド”は一体何なの? まあ、あたしたちからするとあんなとんでもなく大きな、寝心地の良いベッドがこんな身近にあるとは思ってなかったから、それはそれはものすごい体験だったけれどね。まるでそれなりの値段のホテルの一室に止まったような気分だった。
寝心地が良かったおかげで体にエネルギーがあふれ返っているよ。ベッドに全く詳しくはないんで良くは分からないが、ものすご~く寝心地からして高そうに思えたけど? …あれどうしたの? …まぁ、とにかく、なんかものすごい寝心地に感動したわ、おかげで疲れもスッキリだし、そして今思い出してみると、なぜかとてつもなくベッドの寝心地の良さと大きさが凄すぎて、部屋1つベッドって…。そして独り者のくせに8畳間換算6部屋分のスペースで一体何をしているのやら…♪」