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トンボめがねの超絶美少女  作者: にごらせ生茶
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トンボめがねの超絶美少女①

 …その頃…。ごった返していた購買に一人のとんぼメガネの女の子が颯爽と現れた。


 それを見た男子学生たちのほとんど、一部の女子学生までもが、彼女のたどり着いたパンコーナーから数歩退いた。


 「…パンが…ない…」


 寂しそうに呟いた女の子を男子学生たちがざわざわと遠巻きに見つめていた。中には自分の買ったパンを差し出すべく、出ていこうとしている男子学生もいたが、“やめとけっ…”と他の連中に止められていた。


 その女の子はかなりの無表情だった。というより笑みを含まないクールな感じの表情でパンの棚をこんなことあるんだ、と驚きと悲しみの表情でじっと見つめていた。携帯の時計で時間を確認している。12時35分。午前中の講義が終了して25分足らず。


 女の子はふと周囲を見回した。


 周囲にいた男子学生が騒然となり、女子学生の一部が声を上げた。


 「…か、かわいいな~…。何年の子だろう…。…こんな子うちにいたのか…」


 「…きゃっ、こっち見た…! いやだっ…かわいいー…誰、あの子…。…一年生? …竹岡さんって言うの…?」


 女子学生たちもヒソヒソとその女の子を遠巻きにしながら噂していた。


 彼女はそういった周囲の声や様子はまったく気にしてはいなかった。昼食をまだ確保できていないらしく、パンを目当てに購買にやってきたものの、パンは一つも見当たらなかった。


 しばらくどうしようかとキョロキョロしたあと、今度は他の棚に目をやりながら、おにぎりコーナーに向かった。


 今度はおにぎりコーナーの近辺にいた学生たちが、ふと隣にその子がいるのを発見すると、やはり驚いて数歩遠巻きにした。


 「…おにぎりも…ない…」


 クールな表情のままでではあったが、こんな切ない、悲しい現状があるのだと驚きを隠せない知的な様子だった。しかし特に険しい表情もしなかった。ただ淡々とした感じだった。しかしやはりこんなこともあるのか…と驚きは隠せないようだった。携帯で時間を確認した。12時36分。午前中の講義が終わってまだ26分。


 例のごとく、おにぎりを買うことのできた男子学生やすでに買うために手に持っている男子学生がその子におにぎりを渡そうとしていたがやはり止められた。


 数人の仲間と一緒にいた女子学生も買ったおにぎりを1つ持っていて、渡そうかどうしようかと迷っていたが、なかなか勇気が出せずに結局断念した。


 その女の子は購買中をキョロキョロと見回し、他に何か良さそうなものはないかと眺め回した。


 彼女の一挙手一投足をすでに購買にきていた大半の人たちが遠巻きに眺めながら、ヒソヒソと話している。


 女の子は何もめぼしいものがないと分かると、レジに歩いていった。


 「…あの、パンも…おにぎりもないみたいですけど…今日はパン、おにぎりはない日ですか?」


 その女の子はパンとおにぎりの棚に何もないと目をうるうるさせながら、レジをしていたバイトの男子学生に、右手の人差し指で斜め後ろを軽く指し示しながら問い合わせた。


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