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トンボめがねの超絶美少女  作者: にごらせ生茶
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男子学生たちの疑惑④

 「…えっ…か、彼氏ですか…? …い、いや~…ほんとに講義で会っても普段は顔を合わせれば少し挨拶するくらいのものなので…よくわかりませんね…。…でも、里村はああいう感じなので男女問わずしゃべりまくっているみたいですが…。…彼氏はいるようには見えないですけどね…。


 宮越さんは…みなさん見たとおりで、男子学生が簡単に近づけるような雰囲気はないので…やっぱりいないんじゃないですか…? …鈴置さんのことはさっき見たとおり、とにかく元気で気さくみたいですが、ちょっとわからないな…」


 篤郎は3人とも彼氏のかの字も出ないような生活をしていることは知っていたが、たぶんいないのではないかと濁し、男子学生たちを余計に刺激しないように回答した。


 「…そうですか…たしかにあれほどの3人に彼氏がいたら、学内中の噂になっているはずだな…。おそらく奇跡的にまだいないんだろう…。よしっ、分かりました。何か色々すみませんでした」


 「いや、いいんですよ、こっちもさっきの鈴置さんのあまりのフレンドリーさにびっくりして動揺していたので話せてよかったですよ」


 そう言うとお互いに話題が出尽くした雰囲気となった。


 篤郎が少し会釈をしながらその場を離れようとすると男子学生たちがまた色めき立った。鈴置彩芽が友達たちと一緒に歩いてきたのだ。


 篤郎は男子学生の様子に気づき後ろを振り返った。


 彩芽は女子学生たちと話していたが、篤郎を見ると、むふふっ、と笑顔になり、またその輪から抜け出してきて、小声で話しかけてきた。


 「…篤郎さん…後で家に伺いま~す。…ん?…ほら…ケーキですよ…♥ 食べに行きま~す…。…じゃあ…後で…♪」


 彩芽は『プレリュード』で一番人気の『ミルクレープ』が篤郎の部屋の冷凍庫に入っているのを想像したらしく、とてつもなく嬉しそうに期待している感じで、篤郎に話しかけて、笑顔でいそいそと小さく手を振っている。


 篤郎は何も言わずに苦笑い交じりの作り笑いをして男子学生に極力見られないように小さくわかったと慌てて合図をした。


 彩芽は篤郎に聞こえていないと思ったのかしょうがないな…と口惜しそうに顔をしかめた後、嬉しそうにまた近づいてきた。両手で口元を包みメガホン替わりにして、声をすこし押さえた感じでゆっくりと言い直した。


 「篤郎さん…。あ・と・でっ♪ い・き・ま~すっ♪ ふふっ♥」


 彩芽は今度こそ篤郎にたしかに聞こえているとわかったらしい。そう言ったあと篤郎の友達たちであろう男子学生に向かって笑顔でぺこりとどうもと挨拶し、篤郎に向って抑えきれず笑顔で嬉しそうに小さく手を振ったあと、友達を追いかけていった。


 篤郎は手を振っている彩芽に作り笑顔+薄目で対応しながらも恨み半分でじっと見送った。男子学生たちの方を見られない。男子学生たちは笑顔で彩芽に挨拶されて感激しているようだ。


 「…あの~“後で家に伺う”って…。鈴置さん…満面の笑顔で“あ・と・で・い・き・ま~すっ♪”…って言ってなかったか…」


 男子学生たちはまさか聞き間違いだろう、信じられない、信じたくないという雰囲気で完全に動揺している。


 「…もしかして…里村じゃなく…す、鈴置さんと…つ、付き合ってるのか…」


 呆然としている男子学生の一人が、彩芽に笑顔で挨拶されたので興奮気味のようだったが、篤郎と視線を合わせずに呟いた。


 「…い、いやっ…実は…隠すつもりはなかったんですが…」


 「…そ、それじゃあ…」


 男子学生たちは恨めしそうに、ショックをかくしきれず、篤郎を悲しげな表情で見つめていた。


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