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トンボめがねの超絶美少女  作者: にごらせ生茶
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男子学生たちの僥倖(ぎょうこう)③

 あの2人は学内でもかなり評判で学部以外の男子学生たちからも注目の的になっている。そのことは噂としてはよく聞いていたが、学部の違う目の前の男子学生たちがあの二人について熱く議論しているのを実際に目の当たりにすると、ほんとうにけっこうな人気があるのかもしれないと篤郎は実感した。


 宮越あおいに人気があると言われれば、十分に理解できるが、男子学生たちの話によると里村彩もそこまでとはいかなくてもかなり人気があるようだ。


 里村彩の方はその容姿でというか元気でサバサバした性格が受けているらしい。気持ちの良い食べっぷりだし、誰にでも明るく気さくに接しているし、男女問わず、里村彩を見つけると、「あっ、里村だ」と自然に打ち解けた感じで表情が明るくなる。親しげに里村彩に声をかけたり、同じ学部内で里村彩のことを話題にしている学生たちも結構見かける。皆から慕われている感じだ。


 男子学生たちの話を盗み聞きしているうちに篤朗は彩とあおいをめぐる学内の噂について色々と考えを巡らしていた。


 「…あれっ? …あの無駄にこむずかしい顔は…。やっぱり! 篤朗さんだ! 篤朗さーん!! そんなとこで何柄にもなく考えこんでいるんですかー!? ねぇ…ちょっと待ってて!! すぐ戻るっ!!」


 学食の方から篤朗を呼ぶよく通る大きな声が聞こえた。男子学生たちも遠目から聞こえてきたその元気な声に振り返った。篤郎がその声に反応し振り返ると、女子学生数人の集団が見えた。その集団から離れたところに学食に入る人、出てきた人たちがたくさんいたが、明らかにその女子学生数人を遠巻きに取り囲むようにしている学生たちがいる。


 その数人の女子学生の中から、輝くような生命力を放ちながら笑顔で元気よく手を振り、友達たちの方を向いて一言何か言った後、こちらに向かって嬉しそうに走ってくるのは、見間違えようがない。鈴置彩芽だ。


 「…はぁ…はぁ~っ…、くそっ、ポカリのプルタブもまともに開けられないなんて…わ、わたしは高校3年間一体何をやっていたんだ…はぁ…はぁ…。また昨日みたいに食後にすぐ走っちゃいましたよ! どうしてくれるんですか? でも昨日はラーメンでしたから、昨日よりはマシですけどね、食後速攻ダッシュはやっぱりきついですね…。ふーっ…。…で? 何考えているんですか? もしかして…“4年の誰かさん”のことですか?」


 鈴置彩芽は篤郎の前にたどり着くと、切らした息を整えつつ、首を傾げながら篤朗の顔を覗き込んで探るように、屈託のない笑顔を見せて様子を伺っている。


 そばにいた男子学生たちが、里村彩、宮越あおいの時にもましてざわめきだした。

 

 「…おいっ! …あの子…1年の鈴置彩芽じゃないか!? …これはやばいっ…! こんなところで見られるなんて…っ! どうなってんだ今日は…っ! 噂には聞いていたが、まだ心の準備が出来てなかったよ…!


 そ、それにしても…こ、これは…か、可愛い…。これはとんでもない逸材だっ…ある筋からの情報で大学最寄りのコンビニでバイトしている様子を隠し撮りしたという写真は見たことがあるんだが…。


 そいつの話によると鈴置彩芽目当てにコンビニに買い物に行く奴が相当数いるらしい…。なんでも、鈴置がレジに立つと、鈴置の方ばかりに会計の客が行列するらしい…。


 …それにしても、実物は写真以上だ…。写真がすごくて、これはいくらなんでも写真写りがたまたま良かっただけだろう、よほど何か加工してるんだろうとか思っていたが。これは…すごいことになった…。こんなことがあるのか…写真とは…まったく別人レベルだ…。…か、可愛えー…。え、笑顔が眩しすぎる…。なんなんだこの大学は。…里村、宮越、鈴置…。…俺たちは一面、とんでもなく幸運な大学生活を送っているらしい…。


 …ところで鈴置彩芽が笑顔を向けまくって親しげに話しているやつは一体何者だ!? 鈴置彩芽がものすごい打ち解けて話している…。顔まであんなに近づけて…ま、まさか…彼氏か…?」


 「…そ、そうかな~、俺も鈴置彩芽の写真は見ていたけど、俺が思っている以上…というほどではなかったな…。おそらく写真の数十倍くらいは可愛いだろうと思っていたけど、俺のスカウターではせいぜい…写真のまあ…10倍程度ってところだな…。とは言え、足の震えはさっきからまったく止まっていないが…」


 1人の男子学生が鈴置彩芽から目を全く話さずに呟くように言うと喉を鳴らした。2人の男子学生は「はぁ~?」と呆れたような、寒いなお前的な視線のツッコミを入れていた。いずれにしても3人とも足がプルプル震えている。

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