Challenge
………
「「………」」
{私がまだ知らないだけかも}
{町人なら知ってるんだけど}
多分、違う。
{だよね}
「「エヌは町人だけど エルは街人」」
{…なんか街人ってお洒落}
そうか。
508__ _
{あっ長話しちゃったね}
「いや大丈夫」
{これからどっか行くとかある?}
「まだ決めてない」
{じゃあ都市は?}
「……」
{もし行くんなら地図でもあげようか……
ってこれが第三の声か!}
……
「「(表音が操った声的な?)」」
{そう!}
でも、エルが僕を操って声を出しても
それは僕の声だ。
エルは僕の能力だから、
別人という程の声の違いはない。
なので、どの声も基本は一緒ということだ。
「「(声色的には違うかな)」」
{いやいや}
{それぞれ異なってる}
?
{お兄さんの声は透聴で聞こえるものだし、
表音の声は透聴を使わなくても聞こえる。
で、表音がお兄さんの言葉を代弁する時は
(又は勝手に言う時)誰にでも聞こえる}
{表音単体で話しても聞こえるけどね}
{…だけど}
{表音がちゃんと
人と話すってことになると
(対、村の人 とかの場合)}
{やっぱりお兄さん自体が喋らないと
違和感あるよね}
{人はそこまで見ないけど}
喋らない?
聞こえているなら喋っているも同然では。
{声が聞こえるなら、そりゃあ口も動くよ}
確かに。
皆、音があれば動きがあった。
僕の声は
相手側が透聴を使うという手段でしか
伝えることが出来ない。
表音がせっかくあるのだから、
いかにも話しているという様子を
作らなければいけないかもしれない。
{まぁ、旅芸人辺りだったら
腹話術ですよって言い訳出来なくもない}
「「芸人ではないね」」
{見た目もね}
僕の格好はこの姿じゃない。
{だろうね}
エヌは常に透聴を起動しているから、
僕が喋ってもエルが喋っても
同じに聞こえるんだろうな。
{私は区別して聞くことが出来る}
どうして、?
{使い分けっていうのかな、
それが上達してきてるから}
「「(商人だし)」」
{あと、表情が一切変わらずに無言でいられると
何考えてるか知りたくなっちゃう人 なのもある}
一切……
自分を鏡で見たのは 先程が初めてだったので
「「(ケイだけど)」」
当然 今までは顔なんて気にしていなかったが。
「「(ケイだけど……)」」
変わっていないのか。
「「表音側だけど
エルが笑った所は確認出来てない」」
{そうかそうか}
{これからの為に
練習すればいいんじゃない?}
何の?
{声に合わせて口を動かす練習}
そんなこと、出来るのか?
まず、能力だとはいえ
エルとは考え方が似ないので 息が合わない。
次に、お互い息が合っていないため
そういう事は難しい。
最後に、難しいと思ったことについて
あまり良い結果は期待されな
「「やるしかないよ、この村に居る間は」」
……
珍しく前向きだな。
「「ボクは前でも後ろでもないけど」」
そういうところだな。
「「え、何」」
「「この機会になんか出来るようになろうよ」」
{うんうん、その意気だ}
{まずは……}
僕がずっとここにいて 話していていいのか?
{?}
商人は客が来たら
{来ないね}
?
{ちょっと前から居るけど、全然来ない}
来ない。
{なんでだろうねー、…………続けよう}
「「(なんともいえない顔だ)」」