Have you been deceived?
{喜んだ所で、買う?}
ワイが商売の顔に戻った。
…僕が商人なら、必要という話だったな。
今は本人ではないので よく分からないが
ケイの為に買う方が良いのではないか?
持ち物を探ると、同じ物は無かった。
でも、類似の本はあった。
集めているんだろうか。
なら、なおさら買わなければ。
{どうする?}
買おう。
506__ _
「「いいの?勝手に買っちゃって」」
ケイが得をするだけだ。
「「そう」」
{じゃあね、5000Gで}
5000G。
さっきの店で200Gだったから、相当高いな。
{私からすると安めだよ?}
?
{高く買っちゃうとさ
アビを売っても儲け、少なくなるからね}
{財布のマイナスがずっと残るし}
なるほど。
「「…」」
{そもそもアビの存在を知っていて
なおかつ 買うっていう人が貴重なんだけど}
確かに 居なさそうだ。
知っていれば
もうこの周辺は人だかりができているだろう。
{いやーでも
知られ過ぎていない っていうのが魅力だよね}
「「価値が上がるとか?」」
{私には分からないけど。多分そうだね}
僕が無意識に財布を取り出した。
この動作は商人だからこそなのか?
……
先程出した硬貨が二枚で200Gだから、………
「「……」」
………これで500G、600G…無い。
「「?」」
5000Gは持っていないみたいだ。
{いや、それ5000G}
??
{その硬貨五枚で5000Gだよ}
???
さっきの人と言っていることが違う。
どちらかが嘘をついているのか?
「「騙されたか、騙されてるか」」
{……………}
何だ?
ワイの髪が
{……あーそうかそうか、そういう……}
戻った。
{見事に盗られたね……}
盗られた?
{お兄さんさ、飲食店とかで
硬貨の価値が分からないとかって言ってたね}
これは、透聴か。
{お、知ってるね。お兄さんは持ってないのに。
長年の経験かな?
…私の方が年上だけどねっ}
「「………」」
…言ったな。
初めて見た物だから。
{初めて?商人なのに??}
{それは後にしよう}
{……実を言うと、この村}
{ぼったくりが多いって噂なんだよ}
ぼ、?
{お兄さんみたいな世間知らず?には
やんわりと嘘をつく}
「「やんわりと…」」
{普通の人は気付くから しないけどね}
{あっ、知ってるだけで
私は同じ事してないからね!?
分からない人には教えてあげるし……}
{まぁ、これでこの村の事が分かった…って
考えた方がマシだね…}
……
「「取り返すことは?」」
{無理かな}
「「なんで」」
{それで承諾したんなら、あっちは
騙された方が悪いって目で見てくるだけだよ}
そうか。
僕は知識不足だから
ここはケイにどうにかしてもらおう。
「「?」」
僕がケイになった時。
「「名前はケイだよ」」
……
{その会話からして、お兄さんは
自分がケイだっていう自覚は無いんだ?}
無い。
{ふーん……}
{じゃ、お兄さんは誰?}
エル。
{エル……}
「「ボクもエルっていう」」
{名前一緒にしたんだ、仲良いね}
よくはない。
「「うん」」
{えー……状況を整理させて?}
{お兄さんはエル、お兄さんはケイ}
{中身だけエル……外側はケイ……}
{声は?}
ケイ。
{思考は?}
エル。
{表音の名は?}
エル。
「「(いるかこの確認……)」」