A woman merchant
せっかく新しい所に来たので、
また散策でもしようか。
歩く。
家が新しい。けど、古い。
掃除はされているが、建物の外見が古い。
僕の街の 家の方がどことなく近代的だ。
502__ _
木々や草花が所々に生えている。
…アイを追いかけた時の村を思い出すな。
「「ここはほのぼのしてるね」」
よく分からないが、そうなんだろう。
「「……」」
散策をするときは
人の有無、家の状態や位置関係、裏道を探す。
これは退屈だった僕が行き着いた項目だ。
人の有無は
エヌの町に行ってから増えたものだが。
一回りして来た。
たまに〖おや、旅の方かね〗とか
〖おはようございます〗と言われた。
会釈をした。
特に目立つものもなく、平然と時が流れるだけの村のようだ。
規模は小さいが、多くの店がある。
さっき立ち寄った店の他にも
飲食店はまだあった。
「「なんか社交的な村だね」」
?
入り口まで戻ってみよう。
「「……」」
〖おはようございます。ここはフィンの村です〗
〖さぞ疲れているでしょう?どうぞごゆっくり〗
村の人が挨拶をしている。
〖ありがとうございます〗
〖さ、行こうか〗
男女が村に入ってきた。
誰だろう、と思った。
会ったことはないが、
何処かで見たことがあるような顔だ。
……はたまた、覚えていたのか。
男女は宿らしい所に行ってしまった。
「「気になるの?」」
そうでもない。
「「……」」
何もすることが無くなってしまった。
見て回るだけだと、この退屈は消えないな。
「「?」」
「「退屈なの?」」
退屈だ。
「「ボクは新しい景色を見ているから
退屈じゃないよ」」
そうか。
{はいはい、そこのお兄さん?}
声をかけられた。
お兄さん?
周りには、若い男の人がたくさん居る。
…僕ではないことは確かだな。
{いや、そうだよ?君がお兄さんだよ}
変なことを言う音源の方を見ると、目が合った。
{どうも、私 商人やっておりまして}
商人。
見たところ、若い女の人だ。
{おっ嬉しいねー 若い女か…}
「「……」」
{突然だけど、お兄さんのような人に
買ってもらいたいものがあるんだよね}
お兄さん……
{ん?その格好…といい持ち物といい}
?
{お兄さん、商人かな?}
商人、?
{(自覚ないの?…それはまぁいいか)
ってことは、同業者って訳だ}
………?
{疑われてる?}
「………」
{えーっと、私はワイ。お兄さんは?}
「……」
「「(なんて答えたらいいんだ)」」
「「(目線が違うのに
エルって言って良いのか?)」」
「「(別の人間だったらどうする?
……そんなはずないけど)」」
{名乗らないパターンの客 兼 商人だね
それも良しとしよう}
「「(それでいいのか)」」
{じゃあ私が商人という証拠として
お兄さんにしか
分からないようなやつ見せたげるよ}
僕にしか分からないもの。
{これはお兄さんが商人だという証拠にもなる}
証拠。
ワイ、と名乗った人は
何かを広げた。
あ、これ……
{分かったということは、お兄さんは商人だ。
で、それを扱えているこの私も商人。
つまり、同業者!!}
「「(同業者推してくるな……)」」
これは、パーツだ。
そうに違いない。
{?業界用語か何かか?
私はそういうの、あんまり知らなくてね}