From the beginning
???
「…………」
ほんの一瞬だった。
目の前のパズルやエヌ達が見えなくなった。
僕の疑問に対する答えなのか、
知らない景色が目に入ってきた。
考えることは何も無かった。
エヌのおかげでBPが5、上がったのだが
まだ頭が悪いことを悟る。
この場合、僕のすべき事は何なのだろうか。
辺りを見回す。
前方は何処かの村か町のような所
後方はあまり緑のない砂地
何故僕がここに立っているのか解らないまま、
少しでも安全な場所へ向かうことにした。
501__ _
〖おはようございます。
よくぞここまでお越しになられました〗
〖ここはフィンの村。
ゆっくりしていって下さいな〗
若い人と少し年老いた人が声をかけてきた。
フィン?何処だそこは?
……ここの名か。
エヌの知識を使い、会釈をして前に進んだ。
人がいるな。エヌの町と同じだ。
「「ここの人は愛想が良いね」」
エル、居たのか。
「「居たのかって ずっとくっついてるでしょ…」」
「「それにしてもさ、目線高くない?」」
?
……言われてみれば、そんな気がする。
あと、少し声が低いような。
〖あら、旅のお方ですか〗
「旅?」
〖…? その格好は旅人さんですよね〗
「はい、(多分)そうです」
〖では、何か食べていかれますか?
ここまで来て、さぞお腹が空いているでしょう〗
僕は空腹がないのだが。
「いいんですか」
〖えぇ、安くしときますよ〗
家のような所に案内された。
〖何が宜しいですか?〗
渡された紙に、色々と文字が書いてある。
読めない。
「一番美味しいのは何ですか」
〖お値段高めですけど、これが人気です〗
「ではそれでお願いします」
〖はい〗
その人は部屋の奥に入っていった。
エル、凄いな。人と会話が出来るなんて。
「「表音の効果忘れたの?
これくらい、最初から可能なんだよ」」
知らなかった。
あと話し方が違う。
「「そういうもんだよ」」
?
「「(ちょっとエヌの頭を借りてるけど)」」
ただ、自分勝手なことしか言わないかと思った。
「「酷いな」」
〖何かおっしゃいましたか?〗
「あ、いえ」
エルが人が来たことに気付く。
〖食事をお持ちしました〗
「…ありがとうございます」
〖では、ごゆっくり〗
頭を下げ、目の前の物を見る。
これを食べるのか?
僕には空腹はないが、物は取り込める。
この見知らぬ物を食べても害はないのだろうか?
「「大丈夫だよ、……値段ついてるから」」
よく分からないが、食べるか。
……この棒は何だ?
「「箸だよ」」
箸?これで食べるのか??
「「……」」
「「持って食べる。以上」」
持つ、か。……持ったがこれでどう食べるんだ?
「「……あぁもう」」
手が動く。
自分の意思で、ではない。
エルが動かしているのか?
「「ほら、口開けて」」
全てがエルの 思いのままではないことが分かった。
「ごちそうさまでした」
〖では、200Gになります〗
考えてもいないのに、
ひとりでに僕が何かを取り出した。
…に、200G?
「「(200G?)」」
「?」
「「(これがお金……だけど、
使ったことないやつだ)」」
〖どうしましたか?〗
「…あの、どれが200Gですか?」
〖?………ふふ〗
その人は、少し微笑んだ。
〖これが100Gですので、この硬貨を2枚ですね〗
「はい」
〖ありがとうございました〗
笑顔でそう言われ、家を出た。
「「店だよ、あれ」」
店?
……ものを売ったりする場所のことか。
「「そういう所では、お金が必要だからね」」
お金。
「「今払ったのがお金。
単位はボクも聞いたことなかったけど」」
「「無くなるとなにも買えなくなるからね」」
そうなのか。
大事な物だな。
「「うん」」