Courtesy
「………」
『あ』
「……何をしている」
『見ての通り。料理』
「(そんなもの見れば分かる)」
『(なんだ、この矛盾)』
❲食べていけ❳
「……?」
❲お前、何も食ってねぇだろ❳
「……」
‘あなたの為に作ったんですよ’
“上がって下さい”
5--__ _
「(どうする?僕。こいつら信用出来るのか?)」
「(毒を盛られている可能性も……)」
『大丈夫だよ。毒なんて入ってない』
「なっ!?」
『それ手に入れるんなら
もっと食べ物が欲しいくらい』
「(読まれた、?)」
❲そこは素材だろ。アビの共有とかあるし❳
『関係ない話しないで』
❲え❳
「(アビ……リティ…?)」
「(知ってるのか?能力を…)」
『………』
『何か情報持ってるね』
「……」
『取引しよう?』
「……」
『君がご飯を食べる代わりに
君が知っている事を話してもらう』
『これでどう?』
『万が一、毒でも入っていたら
何も話さなくて良いよ』
「…(僕が食べる事前提で話が進んでないか)」
「…(万が一ってなんだよ)」
「…………」
「いただきます」
“なんだかんだ、食べることにしたのですね”
「………」
‘食べないと生きていけませんからね!’
「………」
‘まぁ、私達は必要ないんですが’
「…………?」
「ごちそうさまでした」
❲で、毒は入ってたか?❳
「無かった」
「(むしろ旨かった)」
『(ほ、誉められてる……)』
『じゃあ話してくれる?
商人だから、色んな事知ってるよね』
「………」
「(取引は取引だ)」
‘(意外と律儀ですね)’
“(私の、商人へのイメージが上昇しました)”
「僕は、普段 珍しい物の売買をしている。
その中にはアビリティの売り買いもしているが、
場所によっては違法な場合がある」
‘(違法なんですか?)’
“(分かりません)”
「だから、同業者との取引以外では
あまり口に出していない」
「(バレたら面倒だし)」
『………』
『なんでフィンって所を目指してたの?
アビの取引の為?』
「表向きのノーマル商人として行くつもりだった」
『同業者がいたら?』
「相手の扱っているものを確認する」
「(騙されているかもしれないからな)」
『……(大変だな)』
「……さっきまでは、フィンまであと少しだったんだ
ほんの手前くらい」
❲?❳
『(向かってたのかな?)』
「少し立ち眩みがして、目を閉じた。
気付いたらこの場に立っていた」
❲??❳
『………』
『飛ばされた ってそのこと?』
「……」
「(こいつら、僕の何を知っているんだ。
さっきから知らないはずの…)」
『あぁ、ごめん。
僕は透聴持ちなんだ。これ、知ってるよね?』
「知っている」
『でも、遠くの声を聞いたのはあっちのAだけど』
「A?」
“私の事です。Aと申します”
「………」
「…いちいち人の名を覚えるのは嫌なんだ」
『それだけ多くの人と関わってきたんだね』