The use of ability
エヌさん、ここで一息 お茶でもどうですか?
と言いたげに
アイが水筒を差し出す。
『ありがとう…… 僕のだけどね』
あと、使った体力の分だけ 食べて下さい!
…みたいな表情で
アイがリュックを差し出す。
『……うん 僕の……』
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手を払う音が聞こえる。
“終わりました”
「「早い」」
“これで通れるようになったでしょう”
玄関前が空いた。
“あら、ドアが開きませんね”
‘(どうするんですか?)’
“もうこれは 一つしかないかと”
『ちょっと待って、破り入るのは止めて』
『一応ここもエルの街中なんだから……』
“何をおっしゃいますか エヌ様”
“私はそんな はしたないことはしません”
Aが光る何かを ドアの鍵穴に入れて 何かをし始めた。
『え』
『……さっきのは はしたなくないのか…?』
“あれは目的があったので 例外です”
『……』
Aの動きが止まった。
開いたのだろうか。
“失敗しました”
……
『……』
“なんですか、その目は”
“誰だって失敗など山程”
『表音もか…』
『(って 完璧でもないけど)』
“……”
「「……」」
エヌがドアを開けようとする。
『開かなくなった……』
周りに変な空気が充満した。
『ま、まぁ最初から 鍵がかかってたんなら
どっちみち開かなかったけど…ね』
“申し訳ありません…”
“またこのような 機会があるときには成功させます”
「「もうないんじゃない?」」
無念そうにしながら、
Aが消えた。
僕の街で
調べられる所は もうここしかない。
ここが入れないということは……
‘透視を使いましょう’
“そうですね”
Aが… アイが家を見た。
“……埃、クモの巣だらけでよく見えませんね”
『見えないかぁ……』
透視、か。
でも それを使っても見えなかったんだ、
街に戻るしかないな。
_ ___g… ___ __…
『…?』
『ねぇ、何か聞こえなかった?』