Mountain hut
“反逆とは、
相手側に逆作用する能力 というものです”
『?』
‘私が 姿を消すために使っていた能力 はそれに当たります’
『そういうことだったんだね』
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「「で、試運転っていうのは?
透視で エヌ達を監視か 観察してたとして
味覚記憶って何の試し?」」
“あぁそれは”
あ、あそこに何かある。
『うん?』
見えてきたのは古びた一軒家だった。
『どちらかと言うと山小屋かもね』
近づいていく。
徐々にその建物が
どんな造りになっているのかが 分かってくる。
窓は高い所にあり、小さい。
玄関は家具や木で塞がれていて通れない。
『これ…ずいぶん長く 人が居なかったのかな』
『エルはこの街にずっと居たけど、
この小屋の存在は知ってた?』
知らない、見たこともない。
『…じゃあ僕と同じ感想が持てるね』
?
『もう見てたら エルの発見は少ないし』
『僕自身で見つけるものも 多くはなかったと思うし』
近くで声が聞こえる。
「「あーじゃあ Aはどれが好きだった?」」
“そうですね…
皆 初めての香味で驚くばかりで 好みはまだ”
「「これから 色んなのを調べれば良いんじゃない?」」
‘私もいっぱい そういうのを知りたいです’
“はい、アイ様”
『?』
『僕らにもその話、聞かせてよ』
『そうなんだ』
『Aの味覚記憶って
人でいうところの味覚なんだね』
そのままだな。
『僕に返してくれた食料が 減らなかったのは
Aが分析して脳に記憶。
それからデータを舌に移すと味が分かる
…みたいなのをやっていたからなんだね』
‘はい。ばっちり当たってます’
『え、でもアイは表音じゃないから
食べることができたよね?』
‘いえ、私はAと共有関係にあるので’
“私が得たものは同時にアイ様のものになります”
「「ということは?」」
‘私は空腹がありません’
……