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Chase
回り道をしよう。
この影の正体がつかめるかもしれない。
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影が出す音は
僕が近づいていることに気付いたのか、
どんどん速くなっていった。
近道はどこだ。
影を 草むらを隔てて すぐさま追いかける。
姿は見えないが、息の音が絶え間なく聞こえる。
これは虫ではない。
では 何だ?
少し接近する。
草の向こうに出た。
前に 影がいるはずだ。
見ると、髪の長い人が走っていた。
そこで、影… 人を見失ってしまった。
僕の息が荒い。
長いこと 走っていたせい だからだろうか。
一旦道に出る。
ここまで移動して来たんだ、僕。
…今はエヌを探していたんだ
こんなことをしている暇は無かった。
『エル!』
『探したよ』
エヌ、戻ってきたんだ。
『うん』
『それよりさ』
『今、よくは見えなかったんだけど』
『人が走って行くのを見たんだ』
エヌも?
『え、エルも?』
僕、ここを行き尽くしたよ。
『早いね』
この奥にある家に、生活した跡があった。
『なるほど』
『って 僕より収集早いじゃん…』
『人が居ると分かった』
『ということは 無人の村ではないんだね』
村…
『町かな?』
『村?』
『その判断は難しいところだけど』