A temporary name
「「呼び方?」」
「「そんなの エルで良いじゃん」」
『……』
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『いや、それだと
僕が混乱するよ』
『いずれ』
「「じゃあ、どっちか名前変える?」」
「…」
『…』
『それだと…エルじゃない』
「「?」」
「「どっちもエルなんでしょ?」」
『……』
『うーん…』
『エル と 表音のエル って呼べばいいのかな』
『(それか、アビのエル で アビエル? とか)』
「「なんかそれ嫌だ」」
『?』
「「ボクは アビリティ扱いされたくない」」
『…』
「「現にそうなんだけど」」
『普通の人として見てもらいたい?』
「「そこまでは」」
「…」
『…』
『エル』
「「?」」
何、エヌ。
『ほら、同じ名前って ややこしいんだよ』
「「だったらやっぱり」」
『名前を変えるって そんな簡単なこと?』
「「…」」
『エルは、じゃない』
『君は、会った時
自分の名前を覚えていなかった』
『だから、僕は』
『仮の名前をつけた』
『きっとエルは そのうち』
『自身の名は違う、ってことを思い出すだろう』
『でも、今は無名だ』
『君は未だ 無名なんだよ』
「…」
『仮名なんて所詮 仮じゃないか』
『…僕は、仮であったとしても』
『このエルって文字が』
『君に似合うと思ったんだ』