After the festival
エヌが復元を発動した。
まではいいのだが
どこを見渡しても
エヌ達が見当たらない。
もしかすると復元ではなくて
またパーツで移動したのではないか。
というくらい
僕以外の人が見つからない。
僕の街は
復元したらこうなるのだろうか?
今の街しか見たことがないので
全く分からない。
ただ、此処が村や町ではない
ということだけは分かった。
〔おーい〕
〔聞こえるか?〕
『!』
『おじさん!』
〔お、皆 疎通が取れるな〕
『何処に居るの!?』
〔よく分からん〕
〔まぁでも屋内だな〕
『屋内…』
『アイ達は?』
〔屋内らしいが、俺と一緒には居ない〕
〔建物が同じか違うかも分からないな〕
〔エヌは何処だ?〕
『僕は…』
『外には違いないけど』
『壁が多くて 周りが見渡せないんだよね』
〔外か……〕
〔アイ、エヌは今 外らしい〕
『………』
『そうだった』
『僕ら能力使えるんだった』
『報告し合えるじゃん』
〔なんとも初歩的な……〕
〔?〕
〔あぁいやエヌがな…〕
『いい、いい』
『そんなこと伝えなくていいから』
『……』
『(ってあれ?)』
『(透聴が出来ない…?)』
『(アイの声が聴こえないな)』
『(おじさんの能力に
返答を受け取る機能は付いてないから)』
『(反逆は出来るみたいだけど)』
『今話せてるのは
おじさんしかいないのか』
〔悪いか?〕
『(話せてるだけまだマシだけど…)』
『アイ達の方は透聴使えないの?』
〔アイ、透聴は使えないのか?〕
〔……〕
〔…使えないようだぞ〕
〔反逆は出来ると言っている〕
『距離があるのかな?』
『少なくとも僕の方は
距離があると聴こえないから』
〔距離の問題か〕
〔それを直ぐにでも試してみたい所だが…〕
『?』
〔この場から動けないんだ〕
『えっ僕も』
〔あ、アイもか〕
『皆動けないの…?』
『これはまずいね』
〔そうだな〕
『歩いて探る研究者 である僕が
歩けないなんて…』
〔お前最近 俺の瞬間移動に
まるっきし頼りきりだろうが〕
『やっぱり歩いてないから
動けないのかな…』
〔そりゃないだろ〕
〔…エルはどうした?〕
『分かんない』
『動けないから
いつか来ないかなーって』
『探索でうろうろするから その内…』
『あ、おじさん』
『エルに話しかけて
僕のところに来させてよ』
〔(随分と利己的だな……)〕
〔……〕
〔いや〕
〔通じない感じがする〕
〔この、エヌとアイにはある感覚が
エルに対しては無いというか〕
〔…待つしかないな〕
『えぇ…』
〔各々何かあったら報告してくれ〕
1人くらい 人は居ないのか?
僕が気付かない内に
皆帰ってしまったのだろうか。
それにしても、街を戻したら
こんな景色になるとは思わなかったな。
『あ、エル!』
?
今エヌの声がしたような。
『エル!』
『通り過ぎないで!!』
『僕!ここ!!』
探す。
エヌが狭い路地に居た。
「「なんでそんな所に居るの?」」
『僕だって分からないよ』
『動けないし…』
動けない?
『理由は分からないんだけど…』
『エルが来るのを待ってたんだ』
他の皆は?
『何処に居るんだかさっぱり』
『おじさんとアイは建物の中に居る』
『…ってことしかまだ分かってない』
『あとは
おじさんの能力を介して
報告出来ることくらいかな』
……
「「まぁでもとりあえず」」
「「こんな狭い所に居られたんじゃ
いちいち来ないといけない」」
「「手間がかかるね、エル?」」
そうだな
動けないなら僕が連れていけばいい
何処か広い所へ。
手を引く
「「歩ける?」」
『うーん』
『あんまりかな』
肩を貸す
『なんとかなりそう』
歩き出す
『いや やっぱり駄目かも』
……
広い場所まで歩いてきた。
結局エヌをおぶってきた。
重かった。
『それはごめん』
『(やっぱり太ったかもしれない)』
『おじさん』
『エルと会ったよ』
?
『そうそう』
『わかった』
『エル』
『今、おじさんとアイが
何処か屋内に居るんだけど』
『僕みたいに動けないらしいから
連れてきて欲しいんだ…』
皆 動けないのか。
「「面倒だね」」
『離れてるからか 透聴が使えなくて』
『おじさんを介してじゃないと
情報を共有出来ないんだよ』
『嫌でしょ』
「「それは嫌だなあ」」
『集まった方が自由に話せるんだ』
『アイ達とも話がしたい』
『だから皆を連れてきて欲しい』
分かった。
見つけたら連れて行く。
『ありがとう』
『ここで待ってるよ』