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T o w n  作者: 街灯兎
City
185/188

Reunion

〖出来るだけ早く終わらせるから!〗

白衣が部屋の奥に消えていった。


……


どのくらいで

呼ばれるのか分からない。


「(一旦家帰るのも違うだろうし)」


「(とりあえずこの中で

うろうろしていよう)」



2


人探しの為に

別の建物に来たのがきっかけなのか

またその辺りまで歩いていく。


〖おっ〗

〖さっきの〗

「?」


近くの部屋から声がする。

見ると先程の白衣が居た。


集まりは終わったのか。

「「(結構遅刻してたのかな…?)」」


〖見つかったか?〗

「はい」

「戻ったら居ました」

〖良かった良かった〗


〖俺が連れて行かなきゃ〗

〖もっと早く

合流できたかもしれなかったけどな〗


「…あの」

〖?〗


「それなんですか」


白衣は

よく判らないものを持っている。


〖これか?〗

〖……〗

〖研究の材料だ〗

「……」


「何の研究してるんですか?」

〖主に能力の……あー〗

〖見ていくか?〗

「いいんですか」



〖俺がしているのは〗

〖例えば 不便だなーって思うことがあったら

それを解決する能力を作る〗


〖能力なんて広く普及するもんじゃないから〗

〖特殊な物になることの方が多いが…〗


〖俺は、一般に有るはずのものが

欠けているって時の選択肢として

能力があっても良いと思っている〗


〖悪用厳禁で〗

〖本当に必要としている人を

助ける為の能力を作っている〗

〖…という感じだな〗


「……」

「凄いですね」


〖だろ?〗

〖こういう考えで

能力を開発しているのは少ないからな〗

〖能力を知る奴の大体は私情が入る〗


辺りを見渡す。


〖その辺にあるのは

全部開発中の能力だ〗


〖あ、ちょっと散らかってるから

下手に触るなよ〗

〖俺すら把握してない何かが

隠れてるかもしれないから〗

「片付けてくださいよ」

「(危ないな…)」


〖よく使うものは

片付けてるとキリがないんだ〗

「この散らかってるの、

全部使ってるんですか?」

〖使う使う〗


「これはいつ使ったんですか?」

〖1ヶ月前…とか?〗


「……」

〖……〗


「あっちは何があるんですか?」

〖あっち?〗


〖…能力の廃棄所として使ってるな〗

〖といっても出入りは滅多にしないが〗

「廃棄所…」

「能力がゴミになるんですか?」


〖そりゃあれだ〗

〖失敗作とか〗

〖機能が思った通りにならなかったとかでな〗


〖途中で調整するのを止めている〗

〖だからほとんど不完全な能力で

色々と危険なんだ〗


「……」

「大変なんですね」

「俺には分からない世界です」


〖そうだな…〗

〖ま、能力の開発は面倒だってことだ〗

〖聞いてくれただけ有難いよ〗

「そうですか」


〖……〗


〖(あれ)〗

〖(この感じ…)〗


白衣は此方を注視している。


「?」


〖まさか〗

〖あの時の少年か…?〗


「あの時の?」


〖向こうの棟で君くらいの歳の

被験者が居る所は少ないからな〗


〖あれから…何年経ったんだ…?〗

白衣は何か考え込んでいる。


〖そりゃ分からんわけだ〗

〖全然気付かなかったなぁ〗

〖背丈も伸びてるし〗

「??」


「何のことですか?」

「俺、今日…初対面なんですけど」


〖覚えてないか?〗

〖俺だよ〗

「……」


〖傷ちょっと治した人だけど〗

「傷?」


〖……〗

〖覚えてないか……〗

〖まぁ結構前だからな…〗

〖仕方ないか〗

「……」

「「(心なしかしょんぼりしてる)」」


〖じゃあなんだ、今は

勉強部活その他諸々してるのか?〗

「まぁ…はい」

〖今何の授業を受けてるんだ?〗

「何のって、普通の…」


〖もし 俺の知識が役に立つなら幾らでも…〗



音が鳴る。


見ると 機械に文字が表示されている。

「…呼ばれたので戻ります」


〖あ、そうか〗

〖用事があって探してたんだよな〗

〖……〗


〖俺は大体ここに居るから

いつでも来ていいぞ〗


「…気が向いたら」


〖じゃあな、気を付けて帰れよ〗

「はい」


白衣の部屋を後にした。



〖さっきはごめんね…〗


〖時間指定も無しに〗

〖無駄に待たせちゃったし〗

〖捜させちゃったし〗

「いや別に…」


〖じゃ〗

〖時間も遅くなるから〗

〖サクッと終わらせよう〗


〖えーと、1日過ごしてみてどうだった?〗

〖変わった事とか おかしい所なかった?〗

「特に無かったです」


〖よし〗

〖次〗


〖またちょっとしたメンテナンス挟むから〗

〖部屋に居てね〗

「はい」


機械を見る。

「(今日はどのくらいかかるかな…)」

「(今の内に課題の確認でも)」


物音がする。

「(あ、こいつプロフィール変えてる)」

「(これ誰?楽しそうだな)」

「(部活の仲間かな)」


顔を上げる。

「……」


「(そんな気はしてたけど)」


「(またあの子が来て 隣に座っている……)」


〖……〗

少女は虚空を見つめている。


「(退屈じゃないのかな?)」

「(本とか持ってくればいいのに)」

「……」


「君の部屋はどこ?」

〖……〗


壁を指差す。

隣か更に奥の部屋だろうか。


「(そこに行けば何か

暇が潰せる物があるんじゃ)」

「……」

「(俺今動けないんだった)」


少女はまた虚空を見ている。

「(でもなんでこっちに来るんだろう…)」



〖終わったよー〗

〖とりあえず後は様子見かな〗

「分かりました」


「(何かしたんだろうけど

変化はないな…)」


〖あ、また来てるね〗


「この子 よく来るんですか?」

〖うーん…〗


〖来ないかなぁ〗

「来ない」


〖君が来た時だけなんじゃないかな〗


〖って言っても

いつも見てるわけじゃないから

たまに来てるかもだけど〗

「はあ…」


〖何故か分かんないけど良かったねぇ〗

〖懐かれてるなんて〗

〖何かしてあげたの?〗

「してないですよ…なんも」


〖ふーん?まぁいいんだけど〗

〖(珍しいから寄ってきたあたりかな)〗

〖(そういや、この子に

好奇心ってあったっけ?)〗


〖じゃあ今日のところはおしまいです〗

「はい」


〖…呼ぶ時あったら事前に送るようにするね〗

「そうだと助かります」


「あ」


「帰る前に」

「この子の部屋に行っても良いですか?」


〖?〗

〖いーよ〗



「さ、君の部屋に行こう」

「何か遊ぶものはないかな」


少女が立ち上がる。

部屋を出る。

着いていく。


髪の長い少女に

案内された部屋に入る。

「「(案外近かったな)」」


「お邪魔しまーす…」


机が2つ。

「(2人部屋なのかな?)」


「(遊べる物…あるか?)」

「(見たところ、無さそうだ)」


「君の机はどっち?」

〖?〗

少女は首を傾げた。


少しの間の後、入口に近い方を指差した。

「奥のはもう1人の机?」

「どんな子がいるの?」


〖……〗

少女は答えない。

あまり知らないのかもしれない。


机に近付く。

「(勉強机の棚にある教科書が

右と左で全然違う)」


「(左の机は小学生向けの教科書だし)」

「(右の机は……)」


「え、この机の子って

___だったりする?」

「だとしたら…」

〖?〗


〖……〗

「……」


「ごめん、分からないよね…」

機械を見る。


「(もうこんな時間か)」

「(夕飯の支度しないと…)」


「ありがとう」

「部屋に連れてきてくれて」

「俺、一旦家に帰るね」

〖……〗


「……」

「また来た時に寄ろうかな?」

〖…!〗


嬉しそうだ。


「じゃあまたね」

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