Where
研究室。
「こんにちはー…」
「…?」
中は暗い。
「(あれ…いつもいるはずなのに)」
「(明日も来てねとは言われたけど
何時かまでは聞かなかったからな…)」
「(どうする…?)」
3
「(ここに居ても仕方ないし…)」
研究室から離れる。
人を探すのだろうか?
廊下を歩く。
「「……」」
「「(此処って)」」
「「(外から見たら狭そうに見えるのに
中に入ったら今まで通りっていうか…
研究室がいっぱい入る広さがある…)」」
部屋は沢山あるが
どの部屋も無人状態になっている。
「「(前にジェイ視点から見た
外観と違いすぎる)」」
「「(…もしかして
別の研究室だったりするのかな?)」」
人は居ないが
研究物はそのままになっている。
「「(でもあの白衣は
なんか見たことあるんだよなぁ…)」」
あまりにも人が居ないので
大分遠くまで歩いてきた。
此処は別の建物だろうか?
元居た研究室が廊下から見える。
「……」
〖あれ〗
後ろから声がする。
〖君…なんで此処にいるんだ?〗
「?」
振り返ると1人の白衣が歩いてきていた。
「え、あの」
「探してるんです」
「誰も居なかったので…」
〖………?〗
〖えーと……被験…者?〗
「はい」
〖あ、あぁ…そうだったのか〗
「……」
〖……〗
〖…どこの研究室の奴を探してるんだ?〗
「あっち側のあの辺りです」
遠くの研究室を指差す。
〖う~ん……〗
〖(何号室の誰かまでは分からないが)〗
〖(大体は同じとこに行ってるはず…)〗
〖俺もこれから行くんだが〗
〖ついてくるか?〗
「え?」
〖ここからが直近の結果で〗
〖この1種類だけ 今までのパターンとは
異なる反応を起こしており……〗
〖………〗
〖………〗
〖遅いですよ〗
〖すみません……〗
申し訳なさそうにして
部屋の後ろに行く。
よく分からないが着いていく。
〖続けてください〗
〖はい〗
〖…では皆さん 次の頁へお願いします〗
1人が何か話しているのを
周りに居る白衣達が聞いている。
〖ほんとは連れてくるとかないんだがな… ?〗
「?」
〖……〗
前に立っていた白衣が
振り返って此方を見る。
〖(すみません)〗
音を出さずに反応を返す。
白衣が不機嫌そうに前を向く。
〖………〗
〖(多分この中に居るだろ)〗
〖(ちょっと探してみてくれ)〗
「……」
頷く。
手の動きと視線だけで
分かるものなんだろうか?
大勢の白衣を遠くから見る。
紙をめくっている白衣
そこに何か書いている白衣
隅の方で人と人の間から
話し手を見ようとしている白衣
居眠りしている白衣
話と関係なさそうな本を読んでいる白衣
これは何の集まりなんだ?
「……」
「「(後ろからしか見れないのって
ほぼ分かんないんじゃないの?)」」
何度も隅々まで見渡す。
皆同じような髪と白衣なので尚更分からない。
「「(この人が見知ってる人が居るとしても
それだけで判別出来る?)」」
「「(さすがに前に出て
顔見て探すってことすると
話の邪魔だから仕方ないけどさ)」」
「……」
「(居ないな…)」
来た位置に戻る。
〖(いたか?)〗
「……」
首を振る。
〖……〗
白衣は持っていた物で
何か書いて見せた。
「「(いなかったら
ずっとここにいてもあれだし)」」
「「(元の部屋行って待ってるか?)」」
「「(ここじゃない所で
やってるかもしれないし)」」
「「(あっちも探してるかもしれないぞ)」」
「「(…文字下手だなあ)」」
「……」
無言で頷いてドアを指差す。
〖……〗
じゃ、と手を挙げる。
互いに頷き合って
1人廊下に出た。
「……」
「……」
「(戻ろう……)」
廊下を歩く。
来た道を戻って
研究室に帰ってきた。
〖あ、___じゃん〗
〖来てたんだ〗
数人の白衣が戻ってきていた。
「あ、はい…少し前に」
「居なかったのでちょっと探してました」
〖…え〗
〖………〗
〖………あっ〗
〖ごめんね!?〗
〖だから 誰か1人残ったら?って言ったのに〗
〖あれは皆で行くもんでしょ?〗
〖まぁ…そうですけど〗
〖本来 代表が行きさえすればいいんだけど〗
〖いちいち説明し直すのも面倒だし〗
〖なんかもう皆で行こうノリが
できちゃってるんだよね…〗
〖…あー〗
〖こういうことあるの忘れてた……〗
「……」
〖ごめん直ぐ準備する!!〗
走り出しそうになる白衣を
白衣が捕まえる。
〖あなた他に
優先すべきことがありますよね〗
〖そうでしたそうでした〗
〖分かってますよ〗
〖……〗
「……」
〖後で呼ぶから好きにしててもらって…〗
「…分かりました」