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T o w n  作者: 街灯兎
City
178/188

Hospital


「………ここは…?」


〖此処?〗

〖此処は病院だよ〗


「病院…?」

「(何で…)」


〖見た感じ〗

〖傷もないし健康そうだけど〗

〖どこが悪いの?〗

〖内臓?精神の方?〗


「…わからない」

「目が覚めたら此処に居た」


〖そっか〗

〖まあゆっくり休んでいって〗


9


〖学生?〗

うなずく。


「君も?」

〖…まあそうだね〗


「君はどこが悪いの?」

〖………〗


〖どこかが悪いって訳じゃないんだ〗

「?」

〖むしろ良くて〗

〖それが駄目で〗

「……」


〖…あっ〗

〖僕のことは気にしなくていいよ〗

〖それより君の回復だ〗

〖早く学校に行けるといいね〗


「「(むしろ良くて悪い?)」」

「「(良いに越したことないじゃん)」」

「「(この人は何を言ってるの?)」」


〖……〗


〖ねえ〗

〖もし動けるんだったらさ〗

〖僕の暇つぶしに付き合って〗

「?」

「いいよ」



ベッドがある部屋から出て


今さっき知り合ったばかりの

人の後ろを着いて歩く。


此処はびょういん

という所らしい。


びょういんには人が沢山居る。

だけれども

年老いている人や

不健康に見える人が多い。

此処はがっこうとは違う場所の様だ。


同じ服を着ている人が集まっている場所。

いくつもの扉。

長い廊下。

研究室のようだが

此処では奇声も異臭も感じない。

白い物で構成されている屋内は

不健康な人の為に用意されている様だった。


〖あら お散歩?〗

〖?〗

白い服を着た大人に声をかけられた。


〖暇だからね〗

〖そうねぇ…〗

〖今時の子が喜ぶ物

用意できなくてごめんなさいね〗

〖今の感じに慣れてるからいいよ〗

〖そう?〗

「「(仲が良さそうだな)」」


〖その子は友達?〗

〖最近隣に来た子〗

〖あぁ…〗


〖この子あんまり友達居ないから

仲良くしてやってくださいな〗

「はい」


大人と別れて廊下を歩く。


「いないの?」

〖?〗

「友達」


〖…いたかもしれないけど〗

〖もう誰も居ないんじゃないかな〗

「…」


〖忘れられてるか嫌われてるか〗

〖まあそこに大した違いなんてないよ〗

〖皆僕の事なんか忘れたいに決まってる〗


「……」



一通り見た後

階段を上がっていく。


〖此処は僕のお気に入りの場所〗

〖誰も居なくて〗

〖何も気にしなくていいんだよ〗


ドアを開けると

一気に視界が開けた。


空がすぐそこに見える。


〖居心地いいでしょ〗


〖よく部屋に戻されるけど〗

〖気付かれるまではここに居るんだ〗

〖最近は早めに連れ戻されてるけどね〗


「……」

「君は何の病気…?」


〖僕?〗


〖……〗

〖これが病気かどうかは分からないけど…〗



〖耳が良すぎるんだ〗


「耳?」

〖人の話してる声がよく聞こえて〗

〖うるさくて仕方ない〗

〖日常生活に支障をきたすくらい〗


〖そういうわけで〗

〖登校出来なくなってここにいる〗

〖今は少しでも

聞きたくないものが

聞こえなくなるように 治療してるんだ〗


「「(聞きたくないもの…)」」



〖病院は僕の家〗

〖学校なんて行けないし〗

〖帰る家もない〗


「……」

〖ちゃんと処理した?〗

〖ばっちりです〗


〖また起きてしまったのは

もう仕方がないとして〗

〖次を予防するのが優先だ〗


〖今はなかったことにしてるけど〗

〖いつ気付くか分からない〗

〖そうですよね…〗


〖あとあんまり刺激しないように〗

〖今は危険な状態かもしれないから〗

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