After school
「……」
「(朝か…)」
「「(寝れるって方が良いのかもなあ)」」
「「(ボク達はずっと
動かない体で何もすることなく
互いに話せずにいるんだから)」」
「「(退屈ったらありゃしないよ)」」
「「(ただただ外が明るくなっていくのを
眺めるしかやることがない)」」
何やら下の方で音がする。
此の音は色々で
この人が起きる前から聞こえている。
12
「……」
〖おい、おい〗
〖意識飛んでるぞ〗
「?」
〖なんか最近元気ないよな〗
「「(そうなんだ?)」」
〖深刻な寝不足だったら今の内に寝とけよ〗
「…?」
「いや」
「だから寝不足言う程のやつじゃないって」
「「(明るくなるまで寝てるんだから
寝不足ではないだろ)」」
「たださ」
「最近記憶無いなーと思って」
…?
〖?〗
「移動してる時とか」
「学校着いてこれまでした事覚えてなくて
無意識に来てたんだなって思って」
?
支度をして家を出て
がっこうに来るまでの事を?覚えていない?
〖あー〗
〖確かに毎日同じことしてるとなあ〗
〖そういうのよくある〗
〖気付いたら髪洗ってたり
洗ってなかったりとかな〗
〖今洗う工程のどこら辺?ってなるよな〗
「…何か考えてるからだろ」
「俺は無意識だから」
〖熟考すると
他のこと見えなくなってるんだよな〗
「何考えてんの」
「逆に」
〖逆に?〗
「風呂で何考えてんの?」
〖俺も色々あるんだよ…〗
「……」
〖……〗
〖今お前なんかが
何を考えることがあるんだって顔したろ〗
「してないよ」
「見た目に反して自己肯定感低いな」
音が鳴った。
周りが帰りの支度を始めた。
〖おつかれー〗
〖俺は部活だけど着いてくる?〗
「いや」
「ちょっと用事あって」
〖分かった〗
〖じゃ明日な〗
「うん」
用事。
「「(この人は
ぶかつってのには行かないんだ)」」
「「(そこで何するのか分からないけど)」」
家に帰る道を歩いている。
何処かへ寄っていくのだろうか?
…家に着いた。
「「(用事って
家でやりたいことあるって
意味だったのかな)」」
主に食事をする時に居る部屋を通り
外に出た。
「「(ここからも外に出られるのか)」」
隣の家?に入った。
ドアを開けて中に入る。
「「(他人の家ならまずいんじゃない?)」」
「「(此処で何するんだろ)」」
そこは少し見たことのある場所だった。
長い廊下と沢山の部屋。
〖あっ久しぶりー〗
白衣の人。
部屋の中の機械や生き物。
〖どう?最近は〗
「普通です」
うるさい部屋と話し声が聞こえる部屋。
〖もうそろそろ進路選択かぁ〗
〖こんなに成長しちゃって〗
〖ちょっと寂しいなーなんて〗
「……」
光ったと思えば異臭のする部屋。
…此処は研究室の様だ。
「あの」
「俺親居ないんですよね?」
「何で居ることにしてるんですか?」
?
「「?」」
〖……〗
〖そりゃあ…〗
〖何かとあるじゃん?授業参観とか?〗
「もうそんなのないですよ」
〖でもこれから三者面談…〗
「その時は正直に言います」
「俺親居ないんですって」
〖うーん…〗
〖まあ家政婦とでも思ったら?〗
〖居た方が楽なこともあるでしょ〗
〖掃除洗濯、ご飯作ってくれたり〗
「嫌ですよ」
「本当の親だったらまだしも
他人みたいな人が家族ぶって
進路のことまで口出してくるんですよ」
〖そう設定されてるから…〗
〖ていうか親って大体そんなものじゃない?〗
〖うるさいのは愛があってのことだよ〗
「そうですかね」
「とりあえずあれは止めてください」
「俺は1人でいいですから」
〖えー…〗
〖分かったよ〗
〖(せめて見えないところで
何かしてもらおうかな)〗
〖寂しくなったら戻すから言ってね?〗
「戻しません」
〖強がっちゃって~〗
「……」
〖…ごめんごめん〗
〖よかったらお菓子でも食べてく?〗
「食べます」
あの部屋は見覚えがある。
5の時に居た部屋だ。
〖やっぱりまだ子供じゃん〗
「は」
「大人だって食べますよね?」
〖え?うん〗
〖(なんか巻き込まれた)〗
その隣は…
「お菓子1つで
子供かなんて判断するもんじゃないですよ」
〖……〗
部屋の奥に長い髪の後ろ姿が見えた。
あの子は見たことがないな。
〖(口が達者でよろしいですなあ…)〗
家に帰る。
この時間に居るはずの人が居なくなっていた。
「はぁ…」
安堵なのか後悔なのか
解放感からなのか 一息つく。
1人で食事を作って食べる。
机に向かって何か書く。
…淡々と様々な作業をこなして寝た。
「「(何でも出来るんだ、この人)」」
「「(だからあの人は必要なかったのかな)」」
「「……」」
「「(親、居なかったんだ…)」」