Visitor
『……』
『行くんだね』
これでこのよく分からない旅も最後だ
『旅って』
『まあそうか』
『…何かあったら
出来ないかもだけど 戻ってきて』
「「(矛盾…)」」
『気を付けて』
「「だからボクらに実害はないって」」
『それはそうかもしれないけど』
「「…」」
「「研究者だよね?」」
『え?』
「「こういうの、 …いいや」」
『え、何気になるじゃん』
『最後まで言ってよ!』
「「…はは」」
「いってきます」
15
“エル博士”
〔うわっ〕
〔なんだ、Aか〕
“……”
“また博士に頼みたいのですが”
“其方の町の知人にですね…”
〔おう〕
…__……
“!”
〔?〕
〔何だ?〕
“………”
〔おい、聞いてるか〕
〔知人に?〕
“………”
…___
〔A?〕
〔…なぁアイAどうしたんだ〕
“しっ!”
〔……〕
〔(なんだよ…)〕
{ほっ、と}
{無事に移動出来たみたいでなによりですな}
{…ふーん}
{成程……此処があの…}
“博士、今すぐ
街を見渡せる所へ連れていって下さい”
〔えぇ〕
〔突拍子もないな〕
{まずは人を探そう。うん、それがいい}
{何処から行こうかな~}
{って此処、家の統一感すごいな…}
{特殊な文化とかなのかな?}
{分布的には違うんだけど}
{確かこの辺は…}
{ま、どこかしらに異端児も辺境もあるってか}
{ふむふむ…}
‘突然の対応凄いですね’
〔え、いやまあ〕
〔そりゃわかんねぇけど〕
〔とりあえず連れていくしかないだろ〕
〔Aが珍しく活発?だし〕
‘……’
‘そういえば前にもこんなことありましたよね’
〔そうか?〕
“……”
“(近付いた気がした)”
“(いつもの遠い音が)”
“(何か此処に変化があるのかもしれない)”
“……”
“…見えない”
“(透視)”
“………”
〔本当にどうしたんだ?〕
‘私だって分かりませんよ’
‘聴いたものも意味不明です’
“…!”
“博士”
〔おう〕
‘なんで対応出来るんですか’
{捜索第一号の家~!}
{誰か居るかな?}
{…いない}
{すいませーん}
{……}
{すいませーん!!}
{ここにもいない}
{あっ此処は?}
{……}
“何方ですか?”
{……}
{そうだなぁ…}
{しらみ潰しとかめんどくさいなぁー}
{こう、手っ取り早くさぁー}
{…}
{あーもっと勉強して来るべきだったかぁ…}
“あの?”
{一旦戻るのも嫌だし}
{早く片付けてこ}
{中心部よりは数少ないし}
“……”
〔?〕
‘無視しました?’
〔だよな〕
‘あっ着いて行きました’
{こんにちはー}
{今私人を探してましてー}
“……”
‘戻ってきました’
“……”
“あの方、見えていない可能性があります”
“私を”
〔いや見えてないだろ〕
〔あれは〕
“試しにアイ様 行ってきてもらえますか”
‘…私ですか?’
‘すみませーん’
{すみませーん}
‘あのー!’
{あのー!}
‘わざとしてますかー!!!’
{誰か居ませんかー!!!}
{ここもいないか…}
‘……’
‘あれは見えてないです’
“そうですか…”
〔そうだと言ってるだろうよ〕
〔信じろよ俺の言葉を〕
‘何が起きてるんですかね…?’
“分かりません”
“ですがあれは何かの間違いです”
〔見えないもんは見えないって〕
〔聞けよ俺の見解を〕
‘じゃあついでに博士さんも行かせてみては?’
“私達と同じ結果でしょう”
“というかそれ以下です”
〔(それ以下ってあるのか)〕
〔(じゃなくて)〕
〔何処で落としたんだろうなあ…〕
〔(信頼とか)〕
〔色々…〕
〔逆に何処で拾えるんだ?〕
‘何言ってるんですか?’
〔…なんでもないです〕