In detail
『そうだな…』
『君は白い服を着ているから…』
『L…
エルなんかどうかな?』
エル、
どこから 出てきたんだ…
『…勘、じゃなくて
似合う名前だと思って』
「…」
『でもこれは仮の名前ね』
『本当の名前が分かるまでの』
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『…じゃあエル、行く?』
うん
『あ、荷物とか大丈夫?』
無いから大丈夫
『そ、そうだったね』
『ひとまず 無理の無い程度で 移動しよう』
歩行する。
いつもとは進行方向が逆だ。
境界線を越える。
同じような景色の中に、増して 緑が多く見える。
一度も、この街の外に 出たことがなかった。
『…』
「…」
『…』
「…」
『…無言も寂しいな』
『なにか話そうよ』
話すって、出来ないけど
『そういう返答の仕方でいいから、ね』
『んー でも、話題が…』
…透聴について詳しく聞かせて。
『あ!いいよ』
『何が聞こえるか…っていうと
直接聞こえない声が聞こえるんだ』
直接って
普通に話した時の声?
『…うん』
『その例としては
今 エルが喋っていないのに
僕が聞いて返答ができる、とか』
『あとは、埋まっている物の内部の声とか』
『聞き取れる筈が無い声を聞くことができる』
『ちなみに、このアビリティのランクは 3 くらい』
3? 急に微妙な数字を言われても
想像がつかない…
『微妙か…』
『まぁ… 1とか10とか
きりのいい方が 聞こえは良いからね』
『透聴のアビリティのランク 3 って
ちょっと苦労したんだよ…』
ごめん
『いや、いいよ』
『(エルの疑問は素朴だけど…
だからこそ、答えることが難しい)』
『(でも)』
『エル』
?
『なにかあったらいつでも』
『聞きたいこと、遠慮しないで言ってね』
「…」
ありがとう、エヌ。