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〖何から教えましょうか〗
〖そうだな…〗
〖まずは読み書きからじゃないですか?〗
〖何も分からない状態でしょうし〗
〖そこまで幼稚か?〗
〖子供の中では最年長だ〗
〖それくらいの知識はあるはずだが〗
〖分かりませんよ?〗
〖文字に触れて育っていないかもしれません〗
〖此処に来た子達はほとんどが無能〗
〖学力のある子は
そもそも孤児になんてなっていません〗
〖親に愛されている証拠です〗
〖…〗
912__ _
〖あの…〗
〖?〗
〖この子、能力を追加した途端に
賢くなった様な気がするんですが…〗
〖今は能力能力しているので
人並みの理解になるまで難がありますけど〗
〖教えるべきはもっと上の方じゃないかな…と〗
〖……〗
〖そうだな〗
〖まず〗
〖何から分からないのかを調べなければな〗
〖場合によってはまた追加で能力を…〗
〖あれ〗
〖どうした〗
〖さっき追加したはずの五感能力が
表示されていません〗
〖消えてしまったんでしょうか〗
〖……〗
〖見たところ
先程の無反応は戻っていませんよ〗
〖これが完全ではないのでしょう〗
〖一時的に表示されなくなる不具合辺り…〗
〖それとも、今追加した
言語能力が関わっているのだとしたら〗
〖開発者に聞かないと分かりませんね〗
〖…じゃあ私…聞いてきます〗
〖すみません〗
〖?〗
〖…何か用ですか?〗
〖エムさんと同じ研究室の者です〗
〖あぁ〗
〖聞きたいんですが〗
〖はい〗
〖言語能力を追加したら、あの…〗
〖?〗
〖違うとこなんで
分からないかもしれないんですけど〗
〖小さい機械…の能力の表示で
五感が消えてるんです〗
〖それは…?〗
〖能力はあるみたいなんですが〗
〖表示がされなくなっていて…〗
〖………?〗
〖あの子、大丈夫かな〗
〖?〗
〖しどろもどろだからさ〗
〖ま、大丈夫でしょ〗
〖誰が伝えたって伝わるから〗
〖そうかなぁ…〗
『あー分かったよ』
『親は居ない』
『分かった分かった』
〔………〕
『(居ても居なくても昔の話だし)』
『(今更何か出来ることもないし)』
『本当の事が知れてむしろ良かったと思おう!』
『そうだ!そういうことだ!』
‘(自分を説得してますね)’
“………”
『……よし』
『気を取り直して、他の物を戻しに行ってくる』
「「(懲りずに戻すんだ)」」
「「またなんかあって
ショック受けても知らないよ」」
『これ以上の
衝撃があるかって感じだから大丈夫』
「「……」」
〖……〗
〖大体分かりました(気がする)〗
〖現物を見たいので〗
〖確認しに行きましょう〗
〖あ、はい…〗
〖此方です〗
〖…失礼します〗
〖(あ、連れてきたんだ…)〗
〖……〗
〖(この人が能力を作った人かぁ…)〗
〖凄いですね!〗
〖……??〗
〖ありがとうございます…?〗
〖来てもらったのか〗
〖悪いな〗
〖別の研究があるというのに〗
〖気にしないで下さい〗
〖提供したものは
最後まで責任を持ちたいので〗
〖(硬派…)〗
〖………〗
〖特に異常は無さそうです〗
〖表示がされないというだけで
追加したものは定着している様ですし〗
〖新たに加えた言語能力が
五感に影響している訳でも無いですね〗
〖そうか〗
〖あ、それについてなんですが〗
〖?〗
〖言語能力を加えたら知能って上がるんですか?
急に機械的に喋りだしたので…〗
〖そうなんですか?〗
〖知能が上がるかどうかは分かりませんが〗
〖皆さんが喋り方に
もっと人間味を追求するのであれば〗
〖それはこれから改善する必要がありますね〗
〖……〗
〖いや〗
〖そこまで手を煩わせることでもない〗
〖貴方は貴方で難しいことをしているのだろう〗
〖あとは任せてくれ〗
〖…そうですか?〗
〖まあ、また何かあったら呼んでください〗
〖じゃ〗
〖……〗
〖いい人ですね…〗
〖うん〗