Trial
『復元のランクってあるのかな』
…もしそれがあったとして
高ければどうなんだ?
『もっと復元されるとか?』
「「(単純だなあ)」」
『あっ』
『ランクとかは書いてないんだけど』
『復元度が調整できるみたい』
「「上がったままだと不便だよね」」
『まあこれは
上がった上限までで動かせる仕様らしい』
安心設計だな。
『今は…そりゃ初期状態か』
『何が出来るんだろう』
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‘そういえば博士さん’
〔?何だ〕
‘能力の紙を持ってるってことは’
‘ケイさんに貰うとか以前に
持ってるじゃないですか’
‘それは使わないんですか?’
〔まぁ…〕
‘あの能力本に大量に載っていた
アビリティ一つ一つが
手元にあるんじゃないですか?’
〔いや、それはない〕
〔俺が持ってるのは
独自に開発したやつだけだ〕
〔ケイが持っていたのは
俺なんかより専門の奴らが作ったもので…〕
〔公になれる能力というか〕
‘一般の人にバレても良いような?’
〔バレちゃまずい〕
〔多くの人に変な使われ方されたくないだろ〕
‘確かに…犯罪になりますね’
‘想像できます’
〔…あと、軍事利用されかけたのもあったな〕
“それはどのような能力で?”
〔殺傷系だろ〕
〔大体は〕
〔まぁでも利用禁止くらいにはなるだろ普通〕
〔だから使われたのかどうだか…〕
‘覚えてないんですか?’
〔現場に居なかったからな〕
〔噂みたいなもんだ〕
〔俺はただひたすら、開発開発〕
〔失敗作もすげえできてなぁ〕
〔…ま、昔のことはいいだろ〕
‘思い出話もっと聞きたいです’
〔そうか…?〕
〔………〕
『ものは試しだ』
『ここら辺で変わったものといえば』
『まずはエルの家でしょ』
「「まずはって何」」
「「試しまくる気?」」
『自分の持ってるものに責任を持たないと』
『だから確かめるの』
『あと街で変わったものって
あんまりないからね』
「「…それは確かに」」
エヌが復元を発動した。
すると、僕の家中の物が散らばりだした。
……
エヌが来る前の部屋になった。
『なるほど…』
『このくらい戻るのか…』
変化は物だけか。
「「なに」」
「「家が建つ前の土地にでもなると思った?」」
…それは考えていなかったが、
そうなったら困るな。
『……』
『…ってこれ また片付けないといけないのか』
『うわぁ』
『めんどくさ…』
『前の僕、何処に何を置いたんだっけ』
〔…てな事があって〕
‘それは…’
“色々大変だったんですね”
〔俺にとっては
まあまあ楽しい部類に入ってたけどな〕
‘感じ方は人それぞれですね’
“……”
〔他にも聞くか?〕
〔今度はもっと遡るんだが〕
‘それはいいです’
〔えぇ…〕
‘研究時代以外は知りたくないです’
〔……〕
“…研究時代をより深く知りたいそうです”
〔再翻訳ありがとな〕
『ねぇ』
『これ何処にあったか分かる?』
「「ちょっと覚えてない」」
『だよねぇ』
『前の僕なら…うーん…』
『あ』
『これも反逆できるかなぁ』
『………』
「「おっ」」
復元の取消が出来た様だ。
『じゃあ次は小屋に行こう』
小屋前。
あれからもう調べる必要が無いのか
以前程は立ち入らなくなっている。
『………』
外に出された本棚諸々が
次々と小屋に逆戻りし始めた。
クモの巣も戻ろうとした時
それらは直ぐに外に出て
中も片付いていった。
『…今できる事って
僕らが動かしたものに限るのかな?』
『復元度を上げたら』
『どのくらい、何が戻るんだろう』