Research
〖消えた…〗
〖あいつ、何者だ?〗
〖研究者だと〗
〖名前は?〗
〖存じ上げません〗
〖…調べましょうか?〗
〖いいよ、探すから〗
810__ _
〖…ねぇ、…ねぇってば!〗
「……ん?」
〖こんなとこで寝てないでよ〗
〖せめて自分の部屋?で寝なよ〗
〖(あれ自分の部屋、だよね…?)〗
「…」
「寝てたのか…」
前にも見た人だ。
この人はよく世話を焼くな。
〖今まで何してたの?〗
「研究の一環で外に」
〖また何か無茶なことしてたでしょ?〗
〖そういうの、後々になって大変になるよ〗
「……」
〖ねぇ何してるの?いつも〗
「何も」
〖何もってことはないでしょ〗
「あ、用事を思い出した」
〖ほらそうやって逃れようとする〗
「「(この人は)」」
「「(ジェイが)」」
「「(あんな危険なことしてるの、
知らないんだ)」」
〖でもそっち優先だから〗
〖終わったら何やってるか聞かせてよ!〗
「あぁ、考えておく」
〖……もう〗
15件というのは、15人という事か?
この数字は人数でしか出てきていない。
歩く。また奥めいた部屋に向かう。
何部屋も何部屋も通り過ぎて1番奥に着く。
そこには一人一人が入っている
巨大な筒が沢山あった。
以前見た時は
1匹の大きな何かが居ただけだったのだが。
ジェイはその1匹の元へ近付いた。
「待たせたね、ご飯だよ」
ご飯?何が?
その何かは、上へ向かって飛んだ。
どうやら筒は上の方で繋がっているらしく、
見上げると隣、そのまた隣と
筒の上方を移動しているのが見える。
筒に入っている人は、
まだ状況が掴めていないようだった。
先程消えた女の人達と
男の集団が1人ずつ入っていて、
筒から出ようともがいている。
〖何これ!?あ、おにぃさん!?〗
〖これ何!?どういう事?〗
〖ずっと閉じ込められてたんだけど!!〗
〖助けて!なんか羽音がするし〗
「……」
〖何だ、これ…〗
〖おい、これなんなんだよ!!〗
〖研究者、お前…俺達に何をする気だよ!?〗
「……」
ジェイはおそらく静かに笑っている。
口角が上がっている感覚があるからだ。
羽音はある筒の上で止まった。
〖何、なんかいるの!?〗
〖上、上!!上に何かいる!!〗
〖え〗
1匹は筒を急降下して、その女の人を食べた。
いや…吸っている?
女の人はものの数秒で人ならざる物になった。
1匹は上昇する。
〖いや、いやぁ!!来ないで!!〗
〖ねぇ!!助けて!助けてよ!〗
筒を叩き続ける人。
〖何が起きてるんだよ…?〗
〖いいからここから出せってんだよ!!〗
まだ理解が遅れている人。
「……ふふ」
「「(!?)」」
それを鑑賞し、楽しむ人。
1匹は急降下、上昇を繰り返し、
全員食べて腹が膨れていた。
「「(これ、…これが目的で…?)」」
「見てる?異物さん」
「私は毎日、何処かで発生する
沢山の要らない肉を この虫けらに与え
その成長過程やどんな反応が起きるのかを
記録していっている」
「半ば趣味と言ってもいいのかも知れない」
「頼まれたからやっているとでも」
「これで分かっただろう」
「研究者に希望を抱いても仕方が無い事だ」
「これで、見世物は終わりだ」
「早々に消させてもらうよ」
ジェイは目の前に現れたものを操作した。
それからの僕の視界は 別の場所を映していた。
……
消されたのか?
「「消されたらしいね」」
そしたら、此処は何処だ?
「「何処だろう…」」
街に戻ったのか?
でも、街に戻るには、
現時点で パズルを経由しなければいけない。
それなしで街に戻ったというなら
また考えものだ。
「「うーん、とりあえず」」
「「街には戻ってないみたい」」
「「村、…建物の中かな?天井がある」」
此処は見た事がある。
ジェイが前に通った所だ。
「「消したってのは異物を、で」」
「「本当は別の人が居るんだよ。多分」」
「「ジェイの中に入り込んだ人が」」