Kidnapping
僕はまた、文字が書いてあるものを操作した。
すると、地図のようなものが出現した。
現在地と思われる場所に印が付いている。
その近くに別の赤い印が見える。
これを見ると、
真っ直ぐにそこへ向かった。
808__ _
声が聞こえる。
〖ん?なに、もう立てないの?〗
〖つまんないねぇ〗
〖暇潰しにもならないな〗
〖だねー〗
〖………〗
〖どうします?〗
〖とりあえずこの子は没収〗
〖あとは廃棄っ〗
〖了解です〗
視界に入ったのは、
女の人を無理矢理連れていこうとする集団と
転がっている男の人。
「「(なに、これ…)」」
僕はそこへ出て行った。
〖?誰、あんた〗
「君らと同じ、同業者だよ」
〖…はっ、知らない顔だな〗
「最近移動してきてね」
〖……〗
「私は 縄張り争いだとか
そういうことは極力したくない」
「1人で君らに勝てる気もしないし」
「だから、仲間に入れて貰えないか」
〖……〗
〖こいつ、怪しいぞ〗
〖絞めるか〗
〖まーまー〗
〖いいじゃん〗
〖連れてってあげる〗
〖でも、〗
〖仲間は多い方がいいでしょ?〗
〖そりゃあそうでしょうけど〗
〖何かあったら始末するのみ、だよね?〗
〖はい〗
〖じゃあ、ばいばーい〗
〖この子は貰ってくね〗
〖………〗
転がっている男の人は
かろうじて息をしているようだ。
この集団にここまで
暴力を振るわれたのだろうか。
「「………」」
僕は男の人の方へ向かい、耳元で
必ず助けると囁いた。
〖何してんのー??〗
「……」
「実は私、やられた顔を見るのが好きなんだ」
〖へー〗
〖いい趣味してんね〗
それから、丸い物が付いた
動く鉄の塊に乗り込み、移動した。
これは何というのか。
「「(どういうつもりなんだよ、この人)」」
「「(助けるなら、男の人と女の人を
その場で助ければ良いのに)」」
「「(なんで手間のかかる、
もっと言えば危険な方にするの?)」」
「「(この人の事、理解出来ない)」」
〖あんた、名前は?〗
「ジェイだ」
〖ジェイ?〗
〖…聞いたことあるな〗
外を指す。
〖確か、あそこで研究してる奴の名前が〗
「それは私だ」
〖いいこと聞いたな〗
〖あんたが裏で
こんな事やってるなんてここらに知れたら〗
「………」
〖バラして大丈夫?〗
〖俺には関係ないけどっ〗
「それだけ私を信じて欲しい
ということを証明したいということだ」
「保険だ、保険」
〖(ま、簡単には裏切れない、と)〗
〖…俺らもそれ、利用させてもらうね〗
〖影響力のある研究者を〗
長いこと走っていた
鉄の塊が止まる。到着したのか。
目が隠され、
口に何かを入れられている
女の人が連れ出された。
建物の中に入る。
そこには、多くの仲間らしき男集団と
多くの女の人が居た。
「「(これって…
女の人を集めてるってこと…?)」」
「「(何の為に?)」」
女の人の障害が外された。
〖ここから出して!〗
逃げ出そうとする。
〖あーうんうん、すぐに慣れるよー〗
すぐに捕まえる。
〖何のつもり!?〗
〖さあね、知らない〗
〖はっ!?〗
〖もうじき偉い奴来るから〗
〖それまで皆と一緒にいるんだよー〗
女の人は突き放され、扉が閉まった。
僕は近くにいた仲間に
「此処で何をしている?」と聞いた。
仲間は
〖あんたが前に居た所でもしてたこと〗
と言った。
分からないな。
「……」