Sleep
見た所、研究室だな。
「「(寝るスペースあるし。
部屋なの?ここ)」」
「「(住んでるの?)」」
僕は勝手に
近くにあったソファに座った。
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「(…独り言か)」
「(もしかしたら)」
僕は近くにある何かに手を置いた。
〖………〗
〖……完了しました〗
〖異物を発見しました。除去します〗
「…」
「その前に調べてくれ」
〖はい〗
〖…結果、異物は人です〗
〖何らかの方法で貴方の中に入っている模様〗
「……」
「「(これ、ボクらのことだよね…?)」」
「「(ボクが喋らなければ
いつも通りってことだよね)」」
「「(…黙っておこう)」」
「「(周りに言われるし)」」
〖実行します〗
「……」
「いい」
〖本当に?〗
「この異物に見せたいものがある」
「消すのはその後だ」
〖……〗
〖了解しました〗
エル、これはどういうことなんだ。
消すって、誰を?
「「……」」
……?
それきり、エルは話さなくなった。
〖ねぇねぇ、いるー?〗
「(きっと、異物は住人の仕業だろう)」
「(何を考えているのか知らないが、
その好奇心は余計だったと思い知るだろう)」
「(1人が見たものを
周りに言ったところで、誰も信じない)」
〖おーい、聞いてる?〗
「(それはこちら側が常に有利だということ)」
「(せいぜいこの機会を楽しむことだ)」
〖……〗
〖ねぇ!〗
「……なんだ」
誰だ?
〖呼んでんだけど?〗
「どうした」
〖…もう遅いから寝ろって〗
「…」
〖それとも、これから朝ですかぁ〜?〗
「…そうだ、私にとってはこれからが朝だ」
「「(仲良さそうな人ってことは分かる)」」
〖でも、1回休んだ方が効率いいよ〗
〖これからもやることあんでしょ?〗
「今日はあともう少し」
「明日は15件だ」
〖すでに明日なんだよ!〗
「そうか。じゃあ」
僕が歩き出すのをその人は制止する。
〖だぁっもう!寝とけや!!〗
〖今日の分終わらせても
すぐ今日になって今日の分増えるんだし!〗
「…どうした?」
〖こっちが心配してんの〗
〖いい?寝てよ〗
〖起こしてやるから〗
「……」
「4時に」
〖そんなんでいいの?いいよ〗
「だったら、君も同じことでは」
〖あたしのことは気にしなくていい〗
〖それよりか、自分をもっと大切にしてよ〗
「…そうか」
僕が寝た。
僕が寝ると、自由がきくようになった。
「「(もういいか)」」
「「エル、もしかしたら
この人が寝てる間しか動けないかもしれない」」
「「今のうちに、何か出来ることを」」
他の場所も行っておきたい。
此処は後で見せてくれるらしいからな。
「「…なんかさ、」」
?
「「いつもはボクらが入ったら、
その人、抜け殻になってるから」」
「「今みたいに共存してるのは珍しい」」
確かに、そうだな。
「「4時って言ってたよね」」
「「ほら、あれ持ってって」」
針が動く物。
4時と思われる所、そこに針が指す前に
帰ってくればいいのか。
発展している都市だから、
こういうものも発達、開発されているのか。
アビリティやパーツを
知っている人数は極僅かだ。
だが、その僅かな人達が研究でもしていたら、
凄いことになっているだろう。
この都市は
その可能性が大いにあると思う。
あの見たことがない機械を使っているから、
何かしらの研究は行っているんだろうな。
建物から出ると、体が軽くなった気がした。
もとから重くはないが、
何かから解放されたような
抜け落ちたような感覚があった。
「「とりあえず歩き回ろう?」」
建物から少し離れ、道に従って散策を始めた。