Privilege
小屋からエヌ達を帰して
僕だけ残る。
危険な所だと分かったので、
パズルは持ち歩くことにした。
さて、始めるか。
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「「何処に行く?」」
僕は今、この都市の住人になっているだろう。
怪しまれずに入れる所に行こうか。
まずは建物の反射する壁の前に行き、
全身を確認する。
「「背が高い」」
そうだな。
髪が肩まであり、それを結んでいる。
「「性別は、女?」」
顔からして男だろう。かなり美形だが
「「じゃあ行けるところは広いはずだ」」
それは分からない。
まぁ、この容姿で入れる所を見極めるより、
僕が行きたい所へ行く方がなにかと気が楽だ。
…笑っておけばなんとかなりそうだしな。
「「うん、美形の特権」」
でも、笑えるのか?僕が
「「ボクがほとんどやってるんだから」」
「「容易いよ」」
建物の壁の僕は爽やかな笑顔を振り撒いた。
博士がさっき侵入に失敗した所、
あれは気になる。
「「あそこは制限ありそうだよね」」
「「身分を選びそう」」
この顔はその身分なんじゃないか。
「「気になるなら行こうよ」」
…
…そうだ、博士は無理矢理入ろうとした。
「「?」」
だから、何か持っていないといけないとか
何かでどうこうしないといけないとか
そういう物があるんじゃないのか?
「「ありそう」」
「「だけど早く行こう」」
長いこと歩いた。これで2回目だ。
疲弊よりも
同じような道ばかりで退屈になった方が強い。
「「正面突破は駄目なんでしょ?」」
また、何かが出てきてしまう。
「「でも、これ以外の入口なんてあるのかな」」
……
少しの間の後、足が動く。
エル、やはり正面しかないというのか。
「「何のこと?ボクは何もしてないけど」」
そうなると、僕が歩いているのか。
「「何、どうしたの」」
無意識か?
僕は迷わずに正面の入口に向かっている。
すると、両脇に人が現れた。
〖お疲れ様でした〗
〖明日は15件です〗
「ありがとう」
2人を見ずに僕が返答する。これはエルだよな。
「「…」」
違うのか。
「「違うよ、気付いてよ」」
…
扉が開く。
僕は何もすることなく中に入り、
歩き慣れているように建物の
ある場所を目指しているようだ。
これは何だ、この勝手に足が動いて
エルに操作されているような感覚は
「「だから、ボクじゃないっての」」
それだと、僕が歩いている他ないじゃないか。
エルだろう、僕はなにもしていない。
「「ボクもだよ、何回言わせるの」」
気付くと
大勢の人が通っている廊下に出ていた。
〖おい〗
立ち止まる。
〖独り言は部屋に入ってからにしてくれないか〗
「?、すまない」
ここにずっと立っていそうな人から注意された。
警備しているんだろうか。
それだけ此処が守られているということだよな。
「「そこまで守っていそうな人、
多くないけど」」
〖……〗