Guide the way
“それを言うなら、
エヌ様も能力を所持していますから
常人ではないのでは?”
『そうなのかな』
『(透聴…)』
“ほとんどの人が持っていないだけ
価値があります”
『……』
『(ちょっと自信ついた)』
“まぁ、町人が取得出来る
レベルのものがそれなのですが”
『……』
“そもそもパーツ類の存在を知らなければ、
同時に能力も知られないでしょうね”
『……』
『(自信持っていいのか…?)』
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「………」
‘…………’
「(道が複雑と言っていたな。
直進ばかりではないということか)」
「(この辺りで一際大きな家を探すならまだしも
違いが何一つ無いのなら難易度が上がる)」
「…その家は、周りや中に
何があったか覚えているか」
‘内装外装は変わらないんですが、
とにかく奥めに位置していました’
「なら、奥に行けば見つかったかもしれないが」
‘……’
「(責め過ぎたか)」
「(よほど複雑なのかもしれない)」
「………」
‘…………’
‘(A、何か家に分かりやすい目印を付けてください)’
“(分かりやすい目印、ですか)”
“家に目印を付けて欲しいそうです”
『家に?うーん…』
『(一応この家はエルの家だから、
勝手にするのはな)』
『…Aさ、透明になれたよね?』
“はい”
『…人に触れるよね?』
“はい、意図は分かりました”
『理解が早くて助かるよ』
‘(…はい、その角を曲がった所に居ます)’
‘(あ、そっちじゃなくて。はい、その道です)’
‘(でも、そういう方法で…
不思議がられないですかね?)’
‘(こっちで探しているよりは早く着けますね!)’
「?」
「…どうした、具合でも悪いか」
‘えっ、大丈夫です’
「そうか」
「(気のせいか)」
「(辛そうに見えたのだが)」
「もし、何かあった、ら……?」
“………”
‘(来ましたね…全く見えませんが)’
「ア、アイ、これは
(言っても分からないかもしれないが)」
「(何かに引っ張られているような)」
‘(勿論分かりますよ)’
‘(Aがエムさんを引っ張って
連れていこうとしている事)’
‘どうしたんですか?’
「いや、何かに引っ張られ…(力強い)」
‘よく分かりませんが、
試しにその何かに従ってみませんか?’
「え」
‘まぁとにかく!’
「あ、あぁ……(?)」
『順調?』
“《多少の抵抗はあるものの、順調に進んでいます》”
『うん、強引だけどこれで良いか』
❲エヌ❳
『?』
❲さっきから何をしているんだ?❳
『連れてこようとしてる』
❲…だったら、俺が行って帰ってきたら
即連れて来られるぞ❳
『…あー、もう手遅れだね』
❲もう!?❳
❲でもまだ来てな❳
「(何処まで引っ張られるんだ)」
‘少し思い出しました!
このすぐ近くですよ、エムさん’
「そ、そうか」
「(まさか、この力は道案内を…?)」
『はい』
『声がしたから終了』
❲……❳
「……」
「(力が消えた)」
「此処が目的の家か」
‘そうです!お礼にお礼します!’
「……」
‘あがって下さい’
「…邪魔する」
「…アイは、此処に住んでいるのか?」
‘いえ、立ち寄ろうとしていただけというか…’
「その途中に迷っていたのか」
‘そうですね、大体…そうです’
‘(誤魔化すのは苦しい)’