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Understand
『どうかな』
「…」
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『ちゃんと聞こえる?』
『理解出来る?』
出来る…
『良かった』
『これで本題を話しやすくなったね』
一つ一つの言葉が 意味を持っている。
ようやく この人の言っていること、
全てが分かるようになった。
『もう一度言うけど』
『僕はこの街の無人化について調査をしている』
『今までたくさんの情報を探して、
此処にたどり着いた』
『時々 アビリティを駆使しながら
難を乗り越えてきた』
やっぱり分からなかった。
『あーいいよ、これくらいは…』
『その説明は後々ってことで』
『ここまでくるのに時間がかかったけど、
改めて君に聞きたいことがある』
「…」
『この街のことはどれくらい知っているの?』
詳しくは知らない。
覚えているのは 今とは全く別物の景色、情景。
笑いあっていた 見ず知らずの街人。
所々しか聞こえなかった 誰かとの会話。
全てが曖昧で、嘘のようなものばかりだ。
これは 僕の頭が記憶していたとしても、
現段階では信じきれない情報なんだ。
『そうかな』
「…」
『僕はその情報、
有力でしかないと思うんだけどな』